23.国都へ
(。・ω・。)……。
村に滞在してから1週間が経とうとしていた。私がこの世界に来てからどのくらい時間が経ったんだろう……よく気絶とか爆睡こいてるから正確な日数が把握できていないのだ。そんなこんなで村でまたニートに近いような生活をしていた。ニートに近いとはいってもちゃんと畑作業を手伝ったり重い荷物を運んだり高台の再建を手伝ったりしてるんだからね!!
「そうですね。一度国都へ行かれては?」
こうマリンに言われたのは今から10分くらい前の話だ。村としてこれ以上魔族を匿ってはくれないということか……それか国都に私を売り払って金を得ようとしてるのか……
「ここよりきっといい暮らしができますよ!あそこではモンスターでも立派な冒険者になれるんです!!」
……前に聞いたモンスター受け入れのギルドか。そうなると下手に決めることは出来ないな。そこで冒険者になったとして、自由が聞かなくなる可能性もある。ギルド側には存在を認知されていると言うことだもんな……。一度マリンから目をそらし、考えさせてほしいとだけ伝えてみた。
「…………そうですよね。人と話すのが苦手だとおっしゃってた筈なのに……ごめんなさい。」
想像以上にマリンが落ち込んでいる。なんとか励まそうと肩をポンと叩いてみる。……ヤバい。右手で叩いてしまった。
「きゃあああぁ~!」ボジュッ
げぇっ!!右手で普段殴り合いしてるせいで加減ができなかった!!前世でポンと叩いてみるくらいの力だったと思うのだが、彼女の肩には引っ掻き傷が出来ていた。これやばくない!?えっとえっとえっと……止血!止血!まずは止血だ!これ出血してるだけだよね!?なんか状態異常になってたら解説してくれ!!マリンがショックで倒れてるんだけど!!
〈………………。〉
よし大丈夫だ。なんとか私のマフラーを切ってそれを包帯代わりにした。前世で見たものとは違う特殊な素材なのだが、大丈夫だろう……。
「マリン……ごめん。」
「…………。」
そうとだけ言って私はマリンの家をあとにした。
マリンの家は他の村家より若干離れている。そのためか村人が異変に気づく様子はなかった。この村も見納めになるのかな……。
「きゅヴ……」
フィルも私の肩に乗って着いてきている。随分マリンになついていたもんな……この一週間足らずで。きっと私がしたことが仇になってその矛先がフィルに向いたらダメだと思ったからつれてきた。にしても……
本当ダメだな。私。社会不適合者だわ。
≧≦
村を逃げるように出ていってからどのくらい経ったろう。今は一面漆黒に包まれている。山を上るルートで宛もなく進んでいる。道中に眠ったままのディノスレーターなどを無視して駆け回る。
「ふぅ……ふぅ……。」
「きゅヴっ!!」
暫く駆けつづけ、山の斜面に投げ出された。逆側に着いたようだ。恐らくだが。投げ出された体を立たせると、ふわふわ飛んでいたフィルがダークレストを使って回復してくれる。別に体力が減った訳じゃないんだがな……ありがとうフィル。
「きゅヴっ!」
フィルの体を撫でると再び肩に乗せてやる。そして辺りを見渡すと、西洋風の煉瓦でできた街が見えた。あれが国都なのか。お金ないんだけど……大丈夫かな。意を決してその街へ踏み込んだ。
その街には、夜にも関わらず多くの人がいた。時折頭の上や肩に小柄なモンスターが乗っているのが見える。私は暫く歩き回っていた。
「見ない顔だな。お前。」
声をかけられて振り向くと、巨漢な男性がこちらをみていた。服装は鉄の鎧。そして足にも鉄が使われた装備がつけられている。強そうな人間だな。
「まぁそう構えるなって。嬢ちゃんはその、なんだ。ギルドメンツか。」
ギルドメンツ……?ギルド+面子のことだろうか?よくわからないので首を傾げとく。
「その振る舞い方だと、まだこの冒険者ギルドを知らないということだな。まぁ大丈夫さ。連れてってやるよ。」
そう言って向こうへ歩き出したので、私もついていくことにする。ついた場所は、この街のなかでも大きな西洋風の建物だった。中に入ると、集会所のようになっており、多くの人間やモンスターが内部を行き交っていた。
「ここじゃあパーティを組んだり交易したり、色々なギルドメンツ……あー。要するに、ギルド登録者がうろついてんよ。ここの奴等はきちんと約束を守るやつだから。それは、わいが保証する。どや。ギルドメンツになる気は出来たか?」
「拘束されるのは嫌だから……断っとく。」
「まぁそういうなって。おいシェード!新入りだ。」
私断るって言ったろ。拒否権ってあってないもんなんですか。彼の声が聞こえたのか、カウンター側から紫髪の男が現れた。顔は若いと言えば若くみえるし、歳いってるようにもみえるというまぁなんともな人だ。
「……やれやれ。もっと静かに出来んのか。クエイダ」
「それは無理なお願いだね。」
「言っておくがギルドメンツ内の評価は低いぞ?罷免も視野に入れとくんだな。」
「聞いたか皆!罷免させるってよ!!」
「「クエイダ殿を辞めさせるなーー!!」」
なんだこれ。クエイダという人の人望が厚いのか、周りのギルドメンツ達が突然立ち上がってあれやこれやデモを起こしている。クエイダみたいな奴、私嫌い。口には出さないけど。
「そこの新入り。こっちに来なさい。」
こそこそとデモから逃げるように、シェードという人がこちらを呼んでいる。こういう行動を嫌っているのだろうか。苦労人だな。私は迷うことなく彼についていくことにする。
≧≦
「さっきは迷惑をかけて申し訳ないな。奴は人望にとらわれすぎて変わってしまった。今や奴は傲慢そのものだ。」
やはり迷惑だと感じている人だったか。謝罪から入るあたり、ちゃんとしている人でよかった。
「名を名乗ろう。ワシはシェードだ。シェード・アーデコフ。奴から聞いたかもしれぬがな。この街、アスティのギルドメンツの管理職であると共に、れっきとしたギルドメンツだ。」
この人がここを取りまとめているのか。罷免をネタにあれを止めようと考えられる人間はそういないだろう。さっきみたいにデモ起こされるかもしれないし。軽はずみにでもそんなこと言ったら、彼に処刑されかねない。ここは管理職が生きているのであろう。
「恐らくここに来たのも奴によるものだろう。この街にたまたま寄って、捕まってしまったという感じぞな。だが、これも縁だと考えてはくれんかな?このギルドでなくても構わん。他を手配してくれというなら喜んで手配しよう。どうかね。ギルドメンツとして、一度働いてみないか?」
「…………わかりました。」
ここまで下がってもらって断るのも失礼だ。活動するかは置いておくとして、今度は誰かを助けられたらと思う。これを機にコミュ症が薄れていってくれたら、どれだけ嬉しいことだろう。これこそ新たなる始まりか。
「きゅヴ!!」
(。・ω・。)ここでついにギルドメンツとなりました。ここまでシェードが下がってくれるのは、人手不足が理由です。なんの人手かは……




