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氷魔法師、氷浦真の日常  作者:
大切な人を守るために
2/46

影富先輩の弱点


 それから間もなくして、氷浦家に行くため荷物を整理していた。

 別にそんなに物なんていらないと言ったのだけれど、桜子は「そういうわけ

 にはいきません!」と怒鳴るものだからこうして持っていく物とを整理整頓

 しているわけなのだが…


 「雪村君、このアルバム見てもいい?」となぜか影富先輩が現れて

 こうして隙あらば僕の小さい頃のアルバムなどを引っ張り出して見ているの

 である。

 

 「先輩。手伝わないなら帰ってください。はっきり言って邪魔です」

 「ひどいっ!?僕ちゃんとしてるよ?」

 「僕にはただ単に、昔のアルバムを読みあさってるようにしか見えないんです

 けどねっ!」

 

 朝起きて朝食食べて食器を洗ってすぐに

 「雪村君、氷浦さん家行くために整理整頓してるんでしょ?お手伝いに来ま

 した~」と突然家に押しかけてきたのだ。


 影富岬かげとみみさきは、魔法師一族の月ノつきのみやの遠縁

 で、弟の幸樹みゆきは月ノ宮の養子となって現在はアメリカ留学中。

 魔法素質はないものの、神出鬼没でなんだかんだで情報を持っている怪しい

 人物。僕もストーカーと呼ばれていたけれど、彼の方がよっぽどストーカー

 だと思う。


 「僕は一人で大丈夫ですから、それより桜子の方を手伝ってやってください。

 あいつの方が荷物多いんですから」

 

 女子だけにいろいろ必要な物があると言って、ここへ引っ越してきた時も

 それはもう大荷物で驚いたほどであったのだ。ただし、僕は中身をこれっぽ

 っちも見ていないから、どんなものが入っていたとかは言えない。


 「分かった。じゃあ、ちょっと様子見に行ってくるね!」と影富先輩は

 あっさり返事を返し、桜子のいる部屋へと向かっていった。


 なんかそれはそれで拍子抜けだった。

 でも、やっと一人になれてほっとしたとも思った。


 「さてと、後は…」とその時だった。

 「雪村君、助けて!」


 影富先輩が数秒で帰って来た。

 「どうしたんですか?先輩」

 「部屋にムカデが!」

 「はぁ?ムカデ?」


 僕は影富先輩に引っ張られて、桜子の部屋へと向かった。

 「あら、真さん。もう終わったんですか?」

 「桜子。ムカデが出たって聞いたんだけど…」

 「あっ、はい。でも、大丈夫ですよ」と桜子が丸めた広告を持ってきて

 「急に出てきてびっくりしましたけど」と言いながら広告を広げると中から

 は死んだムカデが出てきた。


 「ひぃっ!?」と影富先輩は僕の後ろへと隠れた。

 「真さんのお家に住んで数か月経ちますけど、ムカデを見るのは初めてでし

 た」と爽やかに言う桜子に対して、影富先輩はまだ怯えている。


 「先輩、もしかして虫とかダメなんですか?」

 「君達は平気なの!?ゴキブリとかガとかハチとか、ネズミとかっ!」

 「影富先輩、ネズミは虫じゃありませんよ?」と桜子が言う。

 「とにかくそれ早く捨てて!」


 ここでまさか、影富先輩の弱点を知ることになるとは思いもしなかった。

 

 

 

 

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