新しい制服とデパートデート?
星羅魔法女学院。
19XX年により創設された魔法学校で幼等部・初等部・中等部・高等部、
そして星羅と通じる大学がいくつか存在するらしい。
制服はセーラー服で幼等部はピンクを基調として可愛らしく、
初等部は赤で思春期前で個人差はあるものの、活発な女子のイメージ
で、中等部は幼・初のよりも控えめの水色にし、高等部はクールで大人に近づ
いていることを強調するために青と、デザインが違うようである。
桜子のアルバムから幼等部から高等部にかけての写真を見せてもらいながら、
僕は「なんか、つくづく身分の差が違うって実感しちゃう」と彼女に愚痴をこぼした。
「そんなことないですよ。それより真さん、先程届いた制服試着してみて
くださいよ」
「えぇ~まだいいよ」
「真さんが良くても、私は早く見たいんです!!」
桜子に言われて仕方なく、押し入れにしまっていた制服の入っている箱を
取り出した。今朝早くに届いたらしく、母親が朝食の際に僕に渡したのだ。
ちなみに桜子は数か月前まで星羅にいたので制服はそのままである。
「どうなんでしょうか?楽しみです」
「そんな大げさな…」と未開封の箱を丁寧に開けてると、中には紺色の学ラン
が入っていた。
「うわぁ~学ラン」
「真さん、さっそく着てみてください」と僕の服を脱がそうとする桜子に
必死で抵抗する。
「分かったから、いったん外に出て!」
数分後、僕は学ランを試着して桜子に見せた。
「真さん、すごくお似合いです!」
「ちっとも嬉しくないんだけど。学ランなんて中学の時以来着てないし、
前の学校の制服の方がまだ良かったよ…」
「では、私の制服着てみますか?」
「お前と僕の身長さだと絶対サイズ合わないでしょ?それに…「それでしたら
影富先輩にお願いして作っていただきましょう」
「って人の話を聞けよ!?」
私服に着替えて、僕は桜子とデパートへ買い物に出かけた。
髪をくくるためのヘアゴムが欲しかったのだ。桜子は自分のを貸すと申し出た
が、さすがに使用している物を使うのには抵抗があったので仕方なしにこうし
て買いに来たのだ。
「星羅って、身なりとかに厳しそうだよね?女子高だし」
「そうですね。ほかの学校よりは厳しいと思われるかもしれません」
「うちの学校では髪型は自由で良いけど、男子はズボンで女子はスカートを
短くするなとかよく注意されてるけど。そんな感じ?」
「えっと、髪型が決まっています。ショートにするか、一つか二つくくり、
三つ編みのどちらかにしなさいと言われています」
「じゃあ、桜子ってずっと三つ編みだったの?」
「いえ。高校から髪を伸ばし始めたので、それ以前はずっとショートでした」
そういえばアルバムで見た時、幼等から中等部までショートだったな。と
思い返す。
「なんで伸ばそうと思ったの?」
「それは…全然変わってないって言われたからです」と桜子の顔が急に暗く
なった。嫌なことを思い出したかのような顔だとすぐに気が付いた。
「そう。でもまぁ、人間ってやっぱり外見見られることが多いし、気にしない
方が良いよ?僕は外見より中身の方が目立つけど、基本的に他人に言われても
気にしないようにしてるからさ」
「…そうですね。真さん、ヘアゴムは予備に二本ほど買っていた方が良いで
すよ?長く使うと切れちゃうことがありますから」
「えぇ~長持ちするやつないのかな?」
「それだったら苦労はしませんよ」
桜子に言われた通りに、ヘアゴムを三本購入してせっかくだから昼食も
こっちで食べようということになった。
「なんかまるでデートしている感じですね?」
「僕達姉弟だってこと忘れてない?」
「それでも、真さんとこうしてお出かけすると本当に恋人同士になった
みたいですごく幸せです」
さらりと言ってるけど、これでもし本当に付き合っている者同士なら
彼女が「すごく幸せ」と目の前で言われたら恐らく心臓を打ち抜かれていた
ことだろう。
だが、僕はこいつのことをそういうふうには思っていないのでそんなことに
はならないけれど。
でも、さっきから僕達の会話をこっそりと聞いていた女子高生達が
「いいなぁ~ああいう彼氏欲しいよね?」
「見てみて、あの幸せそうな顔」
「羨ましいなぁ~」と恋愛妄想をかなり膨らませて、こちらを見ていたので
僕は本音を口に出すことが出来なかった。
さすがに、空気を読んだ。
それから、適当な所で昼食をとって僕達は家へと帰って行った。