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氷魔法師、氷浦真の日常  作者:
大切な人を守るために
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雪村真の決意

これは「魔法師Mの物語」の最終話に描かれていない雪村真のお話です。

雪村真を主人公としたもう一つの物語をお楽しみください。


これをお読みになった方は「魔法師Mの物語」もぜひご愛読いただければ幸いです。



「桜子・・・」←雪村

「なんですか?」←桜子

「頼みがあるんだけど、聞いてくれる?」←雪村


「僕に氷浦の魔法を教えてほしい」←雪村

「真さん、それって」←桜子


 桜子は僕の言葉の意味を理解したようで、びっくりしていた。

 正直、本当はこんな手段を使いたくなかったんだけど…。


「ずっと考えてたんだ。木野原と戦うだけでもダメだったのに、親父の方は手も足も出ずにやられて…。

 いくらランク・レベルが上でも、結局僕はあいつらにとってそこら辺にいる一般魔法師と変わりないんだって」


「そんなことありません!ただ木野原家と相性が悪かっただけで、真さんはそこら辺の一般魔法師なんかじゃありません。ご自分の魔法力が魔法師一族と比べものにならないからって、そんなの真さんらしくないです!」

 桜子は涙目で訴えかける。でも僕らしくないってどういう意味なのかは理解できなかった。予想が正しければ、たぶん「いつもの毒舌はどこいったんですか!」という感じだろう。

 本人に聞いても良かったけど、そこは聞かない方が良いと考えて話を進めた。


「でも、今のままじゃ…僕はあいつを守れない」

「真さん」

「だから…」


僕は桜子に頭を下げて「お願いします!」と頼んだ。

それを見た桜子は慌てて「真さん、やめてください!頭を上げてください!」とやめさせようとする。

でも、それでも僕はやめなかった。彼女が返事をくれるまで…


「…分かりました。ただし、私よりも父に教えてもらった方が良いと思います。

 氷浦の魔法を習得したいのなら、氷浦の養子になり修行を受けなければなりません。それでもよろしいですか?」

「それでも構わない」

「真さん。無理してないですか?」


桜子に聞かれて、僕は頭を上げる。あのままの姿勢でいるのはさすがにきつかったからだ。

「無理もなにも、それしか方法ないと思ったから。この際、無理してでも僕はやるよ」

「力輝さんが目を覚ましても、しばらくの間は会えなくなりますよ?」

「…うん。それも承知の上だよ」




僕は今よりも強くなるために、氷浦の養子になることを決意した。

そのため、僕は研究所を離れなければならなくなり工藤さんにそのことを報告した。


「氷浦の養子になる?」

さすがの工藤さんも驚いていた。

工藤さんは僕が氷浦を恨んでいることを知っているから、無理もないけれど…。


「急にこんなこと言いだして申し訳ないと思ってます。でも、僕このままじゃだめだと考えだしたらもういてもたってもいられなくて」

「それで氷浦に頼んだということか。それは構わないが…力輝のことはどうするつもりだ?意識は戻ってないが、目を覚ましてお前がいなかったら」


承知の上、と桜子には言ったが、正直なところ問題はそこだった。

記憶障害にでもならない限り、僕が氷浦に行ったことを知ったら…だいたい想像はついていた。


「それでも、僕は強くなりたいんです。今よりもずっと…」

「雪村…」

「だからその間、彼女のことをお願いします。工藤さんなら僕が言わなくても、あいつのこと見てくれると思いますけど」

「分かった。力輝のことは俺に任せろ。だが、お前が修行から帰って来たらどうなってるかまでは保障はしないぞ?それでもいいのか?」


それは、「お前が帰って来たら、力輝はもうお前のことが好きじゃないかもしれないぞ?」という意味だと悟った。

この人も力輝のことが好きだから。橋屋先輩よりも一番やっかいなのはこの人だ。


「その時はその時で考えますよ」と僕は工藤さんに返した。

先の事考える余裕は、今の僕にはない。


「そうか。なら、俺から部長に伝えておこう」

「ありがとうございます」



 

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