いやいやいやいや、無理です、死にます。本気です。
お久しぶりです。ホント気まぐれで申し訳有りません;;
本日もどうぞ宜しくお願い致します。
挿絵はまだ出来ていないので後日……。
どうも、俺です。
「――――ひぃっ!?」
青いゲル状の俺です。
「うわぁああぁああぁあ!!」
魔王城といえば最終ダンジョン。最終に相応しくここにいるモンスターは屈強な戦士ばかりだ。
そんな場所にレベル1のか弱い俺がいるのは不思議だろう。
何故此処にいるのか。答えは保護されているからだ。決して戦闘要員ではないぞ。弱すぎて足手まといにもならないからな。踏まれて終わりだ。ぷちっと。
保護されている理由は俺に理性がある珍しいスライムだからだ。他のスライムには理性なんてものはない。本能のみだ。
俺は過去、同族に意思疎通を試みた事が何度もあるが無理だった。「いい天気だな」と話しかけても「エ・サ」、「何処から来た?」と聞いても「エ・サ」、「遊ぼうぜ」と誘っても「エ・サ」……兎に角「エ・サ」としか返ってこない。ムカついたから2、3体に食紅を振り掛けて紫色にしてやった。数年前、人間達の間で「スライムの新種が!」とか何とか話題になっていたが、犯人は俺だ。いや、食紅だ。
話は変わって、さっきから目の前で勝手に騒いでいるのは昨日この城にやってきた新人。
もやしみたいにひょろっとした得体の知れない人型の未確認モンスター……名前は確かリアだった気がする。
……ってか人の顔見ただけで悲鳴上げるとか失礼なヤツだな。ド突いてやろうか。
「こっち来んなぁあああぁあ!!」
毎回思うがコイツは恐ろしく足が遅い。
本当に全力で走っているのか?これじゃ人間の子供より遅いぞ。
最弱の名は伊達じゃない。ゲルに負けるくらいだし、なっ!
よし、捕獲。
「うひぃっ!!」
廊下を走るんじゃない。危ないな。
……っていってもコイツは走ってもべらぼうに遅いから危なくはないか……いやいや、心掛けの問題だ。
「ちょ、やめ!!やめたげてぇえっ!!」
煩いな。こんな所で騒ぐんじゃない。周りに迷惑だ。
口、塞ぐか。
「――――ッ!!――――ッ!!」
よし、静かになった。
しかしこの身体から逃れられないとは流石最弱。俺の身体は人間の子供が千切って遊べるくらいに柔らかい。まぁゲルだしな。アレだ、海中を彷徨ってるクラゲと変わらない扱いだ。無邪気で残虐なその紅葉の手によって桜のように儚く散っていくのだ。切ないな。
____っと、そろそろ開放してやらなきゃいけないか。俺の身体、青いから顔色が悪いとか分からない。苦しそうだし動きが鈍ってきたからそろそろ限界なのだろう……限界、早いな。流石最弱。
おらよ、っと。
「がふっ!!ごふっ!!ぜぇっ……、ぜぇっ……、かふっ」
……うん、ギリギリだった様だ。べしゃりと潰れたまま起き上がる様子がないし。
この世界で俺達スライムを下回るヤツが現れるとは思ってもみなかった。あれか?遂に俺の時代がやってきたのか?……照れるなぁ。
「や、やめ……」
いやいや、そもそもお前が走るわ騒ぐわするから悪い。言語を発する事が出来ないからこうする他ないんだよ。察しろ。
それなのにこの態度ときた。これじゃまるで俺が悪者だ。なんて濡れ衣。恥を知れ。
そう思いを込めて睨んだが分かってもらえないだろうな。目、無いもんな。それどころか前後すら見分けられた試しが無い。一応あるんだけど。
この無礼なもやしはこんなにも愛くるしい俺が恐ろしいのだろう。目の前で震えながら耳と尻尾を垂らしている。その姿は……何というか全く以って萌えやしないな。男だしな。これが魔王様ならばさぞかし萌え滾る事だろう。惜しい、実に惜しい……!
「――!?……今邪悪な気配が…………ッ!?」
何故バレた。
妙な所に鋭いヤツだな……これが最弱者の防衛本能というものか。あなどれん。
……まぁ、それは兎も角いつまでもここにいたら邪魔だな。廊下のど真ん中だ。いくら幅が広いとはいえ行き交う皆は避けている。
ほら、のろまもやし、あっちへ移動するぞ。
「ぎゃっ!!」
……矢印を作って道を示しただけなのに何故目を瞑るんだ。あれか?刺すと思ったのか?このゲル状の身体でそんなことが出来るとでも?そしてこんなに心穏やかな俺がそんな事するとでも?心外だ。そこの鎧兜の剣で串刺しにしてやろうか。
……。
…………。
…………いつになったら目を開けるんだ。
面倒になってきた。もう連れて行こう。
「うわっ!!ちょっ!!うひっ!!」
………………何だこの驚きの軽さは。
神輿気分でわっしょいわっしょいやったら天井近くまで舞い上がったぞ。
これじゃ神輿じゃなくてバレーのトス練習だな。うん、ちょっと楽しいかも。
うらっ、トス!トス!トス!
「ぶふッ!!」
……やりすぎたか。今すげぇ痛そうな音がしたな。すまんかった。許せ。
ゲルで受け止めたが動かない。気絶したか……まぁ暴れないし騒がない事は良い事だ。都合が良いからこのままコイツの部屋まで運ぶか。
ったく、世話が焼けるヤツだ。感謝しろ。
青い悪魔視点。
この後リアは集中治療室へ。
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