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憧れの方を追いかけて騎士団に勤めたら、実はずっと愛されてました。  作者: 漆原 凜


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2/2

目が回る速さ

手をどうぞとエスコートされる。2人で馬車に乗り込み我が家へと向かう。今日ルシウス様が馬車を用意してくれたのだが、とても豪華で中もふわっふわで緊張してしまう。


「天気が良くて安心したよ。帰るのは久しぶりなの?」


「そうですね…えーっと3年ぶりですかね?」


「え?騎士団で働き出してから帰ってないの?」


「領地の修繕にお金もかかりますし、あまり無駄遣いする気にもならず…定期的に仕送りもしていましたので帰る費用も心もとなくて。休みには勉強をしていたので気がつけば帰ってなかったです。」


「そうだよね。連れて帰ってあげれば良かった。私は領地の事を知っていたのに気が回らずゴメンね。」


「いえ!ルシウス様のせいではないので!ただの上司に連れて行ってもらう事など出来ませんよ。」


ルシウス様が見るからに落ち込んでいる。気にしないでください!大丈夫ですよ!と励ます。


「ただの上司…そうだよね。ゴメン。」


そっちかー!難しい!どうしたものか…微妙な空気が流れる。


「これからは私を頼って。アリスティア嬢の事は何でも相談して欲しい。」


「ルシウス様も私を頼ってくださいね?側で支えたいのですから。」


ありがとうと破顔している。狭い空間で笑顔が眩しい。馬車の揺れで朝が早かったのもあり眠くなる。


「眠っていいよ。近くなったら起こすから。」


いえ、大丈夫ですって言ったまでは覚えているが、何故私は横になっているのだろう。温かく誰かに頭を撫でられている…え!膝枕?!膝枕をされブランケットを纏い、ぐっすり寝てしまっていた。


「起きた?まだもう少しあるよ?」


「…恥ずかしいです。」


私は恥ずかし過ぎてブランケットに潜る。ルシウス様は笑いながら頭をぶつけそうだったから移動させたんだ。よく眠れた?と言っている。その間も撫でてくれとても落ち着く。


「もう少し眠る?」


「もう寝ないですけど…もう少しこのままでもいいですか?」


フフッと笑いもちろんと言ってくれる。幸せすぎる。


「いくらでも甘えてくれていいよ。」


「ルシウス様…大好きです。」


私も大好きだよと優しくいつまでも撫でてくれる。あの日相談して良かったな。


しばらく走りもう少しで着くと言われ起き上がると、乱れていたのかルシウス様が髪を直してくれる。ありがとうございますとルシウス様を見ると、目の前に綺麗な顔がありドキっとしてしまう。


頬を撫でられながらアリスって呼んでいい?と言われ快諾する。


「アリスと早く一緒に住みたいな。毎日側に居て欲しい。」


「そういえばいつ婚姻予定なのですか?公子様なので時間かかりますよね?」


「あぁ…実は今日正式に婚約して、3ヶ月後に挙式だよ。」


目を逸らしながらルシウス様が言っている。


「…え?」


「…3ヶ月後」


「ありえないスピードですよね?」


はいっとまたルシウス様が目を逸らす。え?準備とかは?何もかも間に合うの?


「権力を総動員しまして…最短で進めたらそうなりました…すいません。」


どれだけ私の事好きなんですかって笑ってしまう。普通王家に関する婚姻は1〜2年は準備に時間がかかる。どれだけの人が振り回されているのだろうか。


それだけ好きなんですと項垂れる姿は愛おし過ぎる。ルシウス様に抱きつき嬉しいですと伝えると、ギューッとされ今日から連れ帰りたいと唸っている。


公爵家に着くと両親が待っていた。とても歓迎してくれ話はトントン拍子に進み婚約書類が整い、最後に両親はあの日のお礼を言っていた。


「本当にありがとうございました。」


「私は当然の事をしたまでです。」


「あの日以来ルシウス様ルシウス様とこの子が煩くて…同じ職場へ向かったとおもったら、まさか婚姻相手として連れてくるなんて。お手紙を頂いた時には、まさかと目を疑いました。この子をよろしくお願いいたします。」


「一生大事にし、幸せにすると誓います。」


私は泣いてしまい両親とルシウス様に温かく見守られた。手を繋いでくれ泣き止むまで側に居てくれた。


「大事にされてるようで良かったよ。いやー、何処かに嫁いでくれたらとは思ったがまさかルシウス殿の元へとはねー。」


本当ねーとお母様も同意している。ルシウス様が私以外には嫁がせませんと言い切っていて、両親は少し目が潤んでいた。


帰る時間になり次は両家の顔合わせでと別れを告げ馬車に乗り込む。またって手を振り発車する。領地は復興されあの日の形跡など無いくらい街中は綺麗になっていた。


「あの日、君を見たんだ。震えながら皆を励ましていた。そんな君を守りたくて討伐へと向かった。」


「え?あの日から私を知っていたのですか?」


「知っていた。あの子元気かな?ていつも思っていたんだ。騎士団にきた時は驚いたな。思っていた通りの子でどんどん惹かれていった。私を選んでくれてありがとう。絶対幸せにするから。」


「そんな前から想ってくれていたなんて。ありがとうございます。一緒に幸せになりましょう。」


手を繋ぎ王都への帰路を戻っていく。


ーーーーー


そこから全ての休みは挙式への準備へとなり、怒涛の日々を過ごした。まさか本当に3ヶ月で準備が整うなんてと権力の総動員に衝撃ではあった。フルオーダーのドレスがすぐに出来上がってきて、どれだけの人が携わったのかと心配になる。


その間に両家の顔合わせもすませ、挙式まであと数日となる。


ルシウス様のお家で打ち合わせしていると、女性が急に扉を開け入ってきた。後ろから来た侍女が慌てて止めているがズカズカと目の前までやってきた。


「お兄様には想い人がいるのよ!何故貴方と婚姻なんかするのかしら!どうやって取り入ったの?皆も歓迎していておかしいわ!」


可愛らしい女性はルシウス様の妹のよう。想い人って私なのでは?急な出来事に呆然としてしまう。バタバタと走る音が聞こえ、バンッと扉が開く。


「メアリー!アリスに何した!!?急に帰って来たと思えば勝手な事して!」


「お兄様が悪いのよ!25歳まで婚姻しないと思ってたのに!なんでこんな人とするのよ?!!」


「…は?期限の前にやっと手に入れたのに捨てられたらどうする!!責任とれるのか?!お前か離縁して家を継ぐ事になるぞ!」


「はぁ?なんでよ…待って。想い人?」


「当たり前だろ!!帰れ!」


すいませんでしたと私に土下座している。何この兄妹…全くついていけない。


「期限までには無理そうだから諦めてポッと出の令嬢と婚約したのかと…。どうでもいいから挙式まで早いのだとばかり…だから悲しくて。お兄様今まで頑張ってたから想い人と結ばれて欲しかったの」


メアリー様が泣いている。うちの妹ちょっと感情が激しくてゴメンねとルシウス様が謝る。


「大丈夫です。気にしてません。お2人がとても仲良しで羨ましいです。」


2人に感謝される。そっくりだわ。


「あと、期限って何ですか?」


2人が目を合わせ気まずい空気が流れる。まぁ気にしないでと話をそらされて解散となった。帰り送ってくれるルシウス様の支度を待っていると、ルシウス様のお母様と出会った。


「お邪魔しております!」


もうすぐ貴方のお家なのだから気兼ねなく過ごしてちょうだいと、にこりと笑う顔がルシウス様と似ている。


「あの子ずっと浮かれてるわね。迷惑かけてないかしら?期限が迫っていたから焦っていたのはわかるけど、幼い頃からあんなに感情の出す子では無かったのに最近目に見えて浮かれているわ。」


「ちなみに…期限て何ですか?」


「3年前かしら?約束したのよ。気になる子がいるからその子と婚約したいと言い出して、誰を紹介しても全く駄目でね。25歳まで待つから頑張れと、無理なら違う人を選ぶって決めたの。あの子が選んだ子と結ばれて欲しかったから良かったわ。」


まさかの期限に顔が真っ赤になる。あの子をよろしくねって去って行った。その後お待たせとルシウス様が現れる。ギュッと抱きつくと、どまどいながらも抱きしめてくれる。


ーーーーー


ついに挙式の日、晴れ渡る空の下で盛大にとりおこなわれた。様々な方がお祝いしてくれ3ヶ月という短い準備期間の中、無事に終了できホッとした。


色んな方にようやく捕まえたかって言われるルシウス様を見て自分の鈍さに戸惑った。知らない間にどれだけ想って行動してくれていたのだろう。これからどれだけ返せるだろうか。一生かけて私は彼を幸せにしたい。


ーーーーー


↓ ルシウス様編【会いたい君へ】



ある日公爵領で魔獣が出たと伝令が届き、第三騎士団に討伐命令が出て現地へと赴いた。




年に数回討伐を行っていた為、正直また出たのかって思った。いつも通り向かい討伐をしただ終わるそれだけだ。向かいながらあぁ書類仕事残してきたなーって思っていた。戻ってあれをしてこれをしてと…胃が痛いな。


着いた時点で街中の建物が壊され人々は逃げ惑っていて、暗闇の中で叫び声や魔獣の雄叫びが鳴り響いていた。ふと目をやると小さな少女が領民を励まし諦めないよう奮い立たせ、自身も震えているのに果敢に立ち向かっていた。あの子の為にも早く終わらそうと決め剣を取り魔獣の元へと向かう。


なかなか強敵ではあったが問題なく討伐をする事ができ安心する。少女を見ると涙を流し皆と喜んでいて、その姿を見て守れて良かったと心から思った。その後帰還命令が出たため、後始末のために数人の騎士を残しすぐ戻った。気になったが残るわけにはいかず後ろ髪を引かれながら帰還した。あれ以降たまにあの子元気かな?と思う時があったが、見に行くわけにもいかず遠くで幸せを願うだけだった。


そんな時新人として彼女が入ってきた。入団の書類で彼女を見つけ第三騎士団へ入れるように手を回し、同じ職場で働く事を手に入れた。


「あの時はありがとうございました!倒す姿が綺麗で忘れられず一緒に働きたくて騎士団を目指しました!貴方様がいなかったら領地はどうなっていたか…本当に感謝しています!」


あの時たくさんの騎士が出向いてし、私の事など覚えてもいないだろうと思っていたのだが覚えてくれていた。キラキラした目で感謝を伝えてくれ、それだけで全て報われた気がした。


毎日ちょこちょこと動く彼女を見ていると、気持ちがとても安定していた。昔から責務を背負い簡単に出来る事が当たり前だった。必死で努力したが当たり前だと思われ、出来ないと陰口をたたかれずっと大変だった。それなのに彼女がいるだけで安らぐ。




辞められたら困るので優しく接した。そのたびルシウス様ルシウス様と懐いてくれ、とても可愛らしくて彼女が居ないなどもう考えられなかった。


父や陛下には彼女以外とは婚約しないと言い25歳を期限に猶予を貰った。そこから3年見守り続けた結果、騎士団内では周知の事となり密かに応援してもらっていた。残りあと1年どうしたものかと悩んでいたのだが、ある日転機が訪れた。


彼女が最近暗い顔をしていて、不安になり声をかけると何と退職を考えていると泣きそうに話してくれる。よく話を聞くと父君にそろそろ嫁いだらどうかと打診があったと。私の側に居たいと泣く子を離せる訳がない。私の中で一択のみだった。


「それなら私の元に嫁がない?」


勇気を出して言ってみた。あ、涙止まった。嫌なのか?あんなに好意をだしてくれ嫌われてないのは確実だから勝機はあるはず。私以外の男に笑いかけるなど想像するだけで吐き気がする。


しばらく押し問答をし、ルシウス様の元へ嫁ぐだなんてご褒美すぎて…と彼女は言う。あぁもう本当私を殺しにかかっているのだろうか。


「私は君が好きだよ。側にいてくれるだけで無敵にもなれる。君の心に私がいるならそれを貰いたい。誰よりも大事にするし幸せにすると誓うよ。」


「…」


「私と結婚してください。」


「…はい。私で良ければ。」


了承を貰い直ぐ様動く。はやる気持ちを抑え各方面への根回しをする。私の家は後回しでいいコリンズ公爵にまずは連絡しないとって、急ぎペンを取り返事を貰ってくるようにと指示し公爵家に届けさせた。すぐ戻ってきた返事は快諾で、明後日の訪問も許可された。私からの話を断るとは思わないが了承を獲るまでは安心出来なかった。


快諾の返事が来たので父と陛下へ報告に向かう。あらかじめ先触れを出していたのですぐ謁見でき、婚姻すると伝えると呆気にとられていた。2人にはこの前会った時にもつつかれていて、1年以内には進めたいと話した事もあり意外だったようだ。


とても喜んでくれ、これで大公家も安泰だなと2人話している。いつ頃婚約し婚姻する予定かと聞かれ明後日公爵家に行くと伝え、なるべく早く進めるつもりですと報告した。そうかと薄っすら嬉し涙を浮かべる父に感謝し、仕事があるのでと退室し第三騎士団へと戻る。いつも気にしない風だったが、父には心配させていたのだろうと反省する。


ーーーー


アリスティア嬢と食事の約束があったので、取り急ぎ仕事をするとふと気づくと彼女が側に居た。行こうかと誘い手を取る。



彼女との食事は楽しくて、クルクル変わる表情がとても愛らしくあっという間に時間が過ぎた。用意していたプレゼントを渡すと喜んですぐ着用してくれ、とても可愛らしく似合っている。私の色が彼女の側にある。それだけでたまらなく嬉しく長年の想いが報われた気がした。



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