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52話 にこにこ笑顔の美夜ちゃん。


こうして空気もあたたまったのち、いよいよ今回の生配信の主題である質問コーナーへと入っていく。


事前に届いていた質問は、すでに選別を終えていた。

あとはコメント欄から、お互いが気になったものをそれぞれピックアップし、その場で答える手はずだ。


さっそく気になるものを見つけたのか、美夜が「あ」と声をあげる。


「じゃあ、さっそく一つ目! えーっと、あ、じゃあ、ハンドルネーム・委員長さんからの質問です! 

『2人の雰囲気が最近、前にも増して甘々な気がします。なにかきっかけはあったのでしょうか』だってさ」


……一つめに取り上げるにしては重くないですか、美夜さん!



そうは思えど、拾った以上は編集出来ないのが生配信だ。

本当はビジネスカップルであること、恋人になるための練習をしていること、はもちろん言えない。


どう答えようかと頭を悩ませていたら、美夜が先を取る。


「そりゃあね? 想像にお任せします、って感じだよね?」


カメラを上目遣いに見たと思えば、口元で緩く手を握る。

意味深に俺を見た美夜は、女の子座りの姿勢から、もじりと片足を引いた。


俺はそんな彼女の頭に軽くチョップを食らわせる。


「いたっ。ひなた、いたいよ~」

「そこまで痛くしてないっての」


むすっとした視線が向けられるが、知ったことか。


思わせぶりな態度で、余計な誤解をされたら大変だ。

こんな事実無根のせいで、男性ファンから疎まれる展開はごめんである。


……それになにより。

性的な話を連想されることで、美夜に生々しい目が注がれることも、俺は避けたかった。


「単に、動画に慣れてきただけだと思います。俺たちはずっとこんな関係ですから」


なかば無理に、美夜の肩をこちらへと寄せて笑顔を向ける。

誤魔化すためのとっさの行動だったのだけど、彼女は素直に抱き寄せられてくれた。もしかすると、練習の成果なのかもしれない。


猫が愛情表現をするみたいに、頭のつむじを俺の頬にこすりつけてから余裕のピースをカメラへと向ける。

漂うコロンの匂いに、どきりと胸が跳ねたが、あくまで平静を装う。クール気取りで、受け流す。


「あは、だね。私たちはずっとこんな感じだよ。うちの人、照れ屋なんだよ。それがやっとマシになってきたって感じ!」

「……みや、うちの人って…………」

「あは、気が早かったかな? でも、いつかそうなるんだし、絶対なってもらうし? いいじゃん。これは前借りだよ」


最後は話が逸れたが、どうにか一つ目のコメントをさばき終える。



しかしまぁ毎回こんな質問を拾われたら、こっちの気力がもたない。

俺は血眼になって、ましな質問を探ろうとコメント欄を凝視する。


『うわぁ、質問答えてくれてありがとうございます! この間、2人とまったく同じ名前のクラスメイトとお友達になったので、2人にも報告しておきます!』


そして、悟ったのであった。

このハンドルネーム『委員長』さん、まじでうちのクラスの学級委員・大内さくらさんじゃん、これ……! 


限界推しオタクのあの子じゃん。なんだよ、この安直なハンドルネームは!



美夜もこのコメントを見て気づいたようだが、生配信中なので口にはできず、ただただ2人笑いあう。


『うわぁいいなぁ、俺も自然と見つめあって、一緒のタイミングで笑いあえる彼女ほしい……!』

『ひなたくん、可愛い笑顔! 食べちゃいたい♂』

『やっぱり日夜カップルチャンネルがナンバーワン!』


なんてコメントが流れていった。

それとともに、投げられるはいわゆるスパチャ。これまでは気にしないでいたが、一気に画面を埋めるほどの額が放り投げられる。


もちろんありがたいのだけど、ここまでくると恐怖心すら覚える。

これまでは登録者の数ばかり気にしていたが…………これだけの期待が俺たちには寄せられているのだ。


そんなことを考えているうちにも、次々投げられるので、おいおい、と思っていたら上限額である1万円が放り投げられて……


『今の気持ちを一言でお願いします!』


との質問。

すかさず美夜はそれを拾い上げて、


「幸せ! ひなたと一緒にいられて、みんなに見てもらえる。今この時が。ひなたは?」

「もちろん俺も同じ気持ちだよ。美夜の隣にいる時間が一番幸せかな」


と、無難オブ無難な答えをする。



少しくらいボケをかましてもよかったかな、なんて演者として関西人として、後からひっそり反省するのだけど……


ちらりと隣を窺えば、今に髪が踊りだしそうなくらい、にこにこ笑顔の美夜がいた。



傍から見ればリアルな感情が漏れ出しているようにしか見えないが……こんなことで俺は勘違いをしない。


きっとあの上気した顔も、ビジネス用の演技だ。

だが、そうだとしたら、うちのパートナーは末恐ろしい才能をお持ちらしい。あまりにナチュラルで、作り物にはどうしても見えないのだから。






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