第1章:歓喜の要塞と、足元のざわめき
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冷徹な白熱灯が照らし出す地下実験室。
分厚い強化ガラスの向こう側で、それは微かに身じろぎをした。
「……成功だ……! 見ろ、データが完全に安定している!」
白衣をまとった主任研究員が、血走った目をモニターに張り付かせ、狂喜乱舞の声をあげた。
数年間に及ぶ極秘プロジェクト。それは、従来の気の遠くなるような品種改良の歴史をあざ笑うかのように、DNAと染色体を直接書き換えて生み出された「究極の除草・選別植物」だった。
「これさえあれば、人間にとって不要な雑草は一網打尽だ。私たちが植えたものだけが繁茂し、地球の生態系は完全に我々の管理下に置かれる……!」
別の研究員がシャンパンのコルクを派手に飛ばし、仲間たちと抱き合って歓声をあげる。誰一人として、自分たちが「生き物の尊厳を踏みにじる一線」を越えてしまったことへの恐怖なんて持ち合わせていなかった。あるのは、自分たちの知性と技術への酔狂な賛美だけだ。
だが――。
その歓声と祝杯の音が響き渡る実験施設の、ほんのすぐ足元。分厚く堅固なはずのコンクリートの基礎部分、そのごく小さな亀裂や排気口の隙間から、異様な変化が始まっていた。
本来、人工の建造物の内部には入り込めないはずの蔦が、まるで意思を持った蛇のように、うねうねと這い寄ってきていた。
その色は、祝福の色ではない。血走ったような深い深緑。そして、ガラスの向こうで身じろぎをした「創り出されたばかりの生物」が、かすかに、しかし確実に、外の自然界へと向けて「痛い、苦しい、助けて、仲間を殺さないで……」という、か細くも痛切なSOSの周波数を放ち始めた瞬間だった。
コンクリートの壁を伝う蔦が、一斉にピタリと動きを止める。
そして次の瞬間、施設の外に広がるすべての木々や草花が、まるで世界中の鼓動が一つに同期するかのように、ぶるりと激しく震えた。
――許さない。
誰の声でもない、しかし地球を覆うすべての緑の意思が、静かに、だが圧倒的な怒りとなって牙を剥き始めたのだ。
人間たちがまだ「勝利の余韻」に浸っているその足元で、終わりのカウントダウンが、静かに、確実にカチリと音を立てて動き出した——。
AIに表現の方法などを聞いたりしてます。
気楽に読んでいただけると幸いです。




