エピローグ
数日後の放課後。
俺が一人でフィギュアを作っていると、美術室の引き戸が開いた。
「日直が大変すぎる」
文句を言いながら、快吏が入ってきた。その後ろには椿原もいる。
「変ですね〜、私がほとんどやってた気がしますけど〜」
「手伝ったよ? 黒板消したり」
「それだけですね〜」
二人はそのまま作業机までやってきた。
「余、どこまでできた?」
俺は手元の作品を快吏に見せる。
まだ芯に大小の粘土の塊をつけた程度で、何になるかは分からない。ただ、人の形でないことだけは分かる。
「……これ、オレが言ったアイドルのやつじゃないよな」
「違う。作りたいものができた」
「できたっつって、もう作り始めてんじゃん」
「良いものにする」
「まあ、いいけど。オレも動画の見せ方、考えないとな」
「遅くなっちゃった」
朝宮が入ってきた。今日はいつものスポーツバッグを持っていない。
「助っ人は」
「お休み。これからは、頼まれても毎回は引き受けないことにしたんだ。私、こっちにも来たいから」
朝宮は夏休みに使っていた丸椅子へ腰を下ろした。
「それ、どんなのになるの?」
「朝宮が作った動物を題材にした置物だ。20センチくらいになる」
「私が作った動物?」
「ああ。あれをもとに、新しく作る」
「なんかちょっと悔しい……私が作ったのより、絶対うまくできるもん」
「朝宮さんもまた作れば? そういやオレたち、気づけば造形部になってたんだもんな。あ、まだ同好会?」
「五百蔵くんもみなもちゃんも意欲があるようですし、造形同好会は正式な部にします。いま決めました〜」
椿原は一枚のプリントを作業机の上に置いた。
「ということで、来月、市民文化会館で高校生創作展があるそうです」
「いま決めたにしては、用意よすぎだろ。……創作展?」
「部や同好会ごとに展示区画を借りられるんですよ。立体でも映像でも、小物でも構わないそうです」
「私が作ったのも一応出せるんだね」
「はい。ですので、造形同好会として参加してはいかがでしょう?」
「締め切りはいつだ」
「参加申請は来週です〜」
「また急だなー」
「正式な部として認められるには、設立から半年の活動実績が必要ですからね〜」
「まだ先なのか」
「ですので、次の作品も、その次の作品も、お待ちしておりますよ」
「望むところだ」




