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19歳男性の場合 part14

生きていた頃の記憶が不思議と自分の頭の中からどんどん出てきた。今ままで思い出そうと思っても出てこなかった自分の過去。きっと何かが作用している。もしくは、これが走馬灯というやつなのかもしれない。もしそうなら、自分の命もそろそろということだろう。でも、大事な部分はなぜか思い出すことができない。もう一度名前を呼びたいと願う人達の名前だけがどうしても出てこなかった。


「二人は自分に名前をつけてほしいとお願いしてきた。そういう名前をつけたかは思い出せないが、どんな願いを込めたかは覚えてる。」


自分がその子の名前に込めた願いは、


『もし、立ち止まったとしても、再び立ち上がる強さを持った人になってほしい。』


ということだった。


しおりはその話を聞いて、小さく自分に聞こえない声で、「私と同じだ。」とつぶやいた。


「そこから4人での生活がはじまった。なぜかその子は両親よりも自分に懐いていた。おむつを変えたり、ご飯を食べさせたり、沐浴をしたり。忙しいその子のお父さんに変わって父親代わりをしていた。その子が4歳の誕生日の日に、悲劇が起きた。強盗が入って、その子の父親が刺された。すぐに手術が必要で、大量に流れた血の代わりに大量の輸血が必要になった。その当時は、血液の保存の技術がなくて、親近者の血液を提供しなければまず助からなかった。親近者はその子しかいなく、もらうわけにもいない。周りにいた人間の血液型もみんな違った。ただ一人を除いて。」


そう。これが自ら命をたった理由。その子の父親と自分は血液型が一緒で、医学を勉強しているときに一緒だと盛り上がったことがあった。自分には選択肢が一つしかなかった。まだ幼いこの子に、救えた父親のいない将来を歩ませるわけにはいかなかった。自分が生まれてきた意味を、この時確認した。自分はここで、この人を救うために生まれてきたんだと。



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