26歳男性の場合 part18
フードコートのようなところで食事を終えると、お土産屋さんによった。海の生き物のぬいぐるみやお菓子、時代を感じるスマホケースなど多種多様なものがお土産として売られていた。創はぬいぐるみの前で何にするか悩んでいた。
「決まった?」
「まだぁ。」
たぶん、イルカさんのぬいぐるみか鯨さんのぬいぐるみかで悩んでいるのだと思う。創は毎日ぬいぐるみを抱いて寝る。それも自分と同じか、それよりも大きいやつ。安心するのか、そのぬいぐるみを洗濯しようとするとめちゃくちゃご機嫌斜めになる。だから、大きなぬいぐるみを複数用意することで解決させた。流石に洗濯しない訳にはいかない。最近の洗濯機はぬいぐるみも洗えるので助かっている。少し値段が張るが毎回コインランドリーに行く方が出費がひどい。
「じゃあ、鯨さんはお父さんが買うから、イルカさんはおばあちゃんに頼んできな。」
「わかった。おばあちゃーん。」
創は母さんにおねだりしに行った。母さんも自分も創に甘々なので創のお願いはなんでも聞いてしまう。さやかに前に怒られたことがあった。『そんなに甘くしたら創のためにならないからね』、と。
大丈夫だよ。創は周りが見えて、心優しい子。人に気を使うこともできる。少しぐらい甘くしても何にも問題ない。むしろ、今は笑顔を見せてくれるだけでいい。少しでも君がいないことの悲しみを忘れられるなら。
会計を済ませると自分の手には大きな袋が二つ。片方は創のぬいぐるみ。もう片方は兄さんたちへのお土産らしく、おそらくお菓子でかなりおもい。
「じゃあ、帰りにお母さんのところに行こうか。」
荷物を車の中に乗せて、シートベルトをしめているか、創からの確認があり、自分は車を出した。