26歳男性の場合 part14
開演時間に近づくとどんどん人が増えていく。ぎゅうぎゅう詰めになりそうだったので自分は創を膝の上に乗せた。少しだけ良く見えるようになったみたいでそうは当たりを見渡していた。
「さぁ!みなさんお待たせしました。これからイルカショーの始まりです。」
テンション高めのウェットスーツを着たお姉さんが出てきた。イルカショーはやく30分で終わるらしい。派手に水飛沫をあげるイルカとその水飛沫に驚いて転ぶお姉さんという感じでイルカと人間のコントみたいな感じだった。そしてショーが進むと恒例のあのコーナーが始まった。
「じゃあ、お客さんの中にイルカと触れ合いたい人はいますか?」
周りの子供たちは必死に手をあげて、お姉さんにアピールする。そこに紛れて数人の大人も手をあげている。そういえば前に来た時、さやかもそんなことしてたっけ。自分は創に目を向けると手をあげてなかった。
「手あげなくていいのか?イルカさん好きだろ?」
「そうだけど、お水が怖くて。」
「大丈夫だよ。お姉さんが近くにいるから助けてくれるし。今ここで手をあげなかったら後悔するかもよ?」
自分は頭を撫でながら創に語りかける。創はその言葉を聞くと大きく手を挙げた。すると、唯一遅れて挙げられたてが目に止まったのかお姉さんは創を指名した。まさかくるとは思っていなかったという表情で少し困った顔をする創。すると、それに気づいたお姉さんが、
「お父さんも一緒で大丈夫ですよ。」
その言葉を聞いて、創は自分の膝から降りて、自分の手を引っ張りステージに向かった。




