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26歳男性の場合 part10


高速に入り、しばらくすると創が起きた。


「パパ。おしっこ。」


創が言い出したタイミングが良かったのかもう数メートル先にパーキングエリアがあった。


「もう少しで休憩所に着くからそこまで我慢できるか?」


「うん。我慢する。」


自分は少しだけ急いで車を走らせた。休日だが珍しく車が少なかったのが良かった。


パーキングに着くと自分は創をおろして、一緒にトイレに行く。子供用の小便器に創を連れて行き、自分はその隣で一緒に用を足す。パーキングエリアのトイレは広くなっていて、子供にも優しく背の低いところがある。創は手洗いもちゃんとして、ポケットの中にあるハンカチで自分の手を拭く。このことを幼稚園でやったら先生に褒められたと嬉しそうに話していた。一足先にトイレを済ませた自分と創は、パーキングと一緒に併設されている売店に寄った。一つだけ好きなものを買っていいと約束をして中を散策した。お菓子やおもちゃ、名産品が並ぶ中で創が手に取ったのは一つの綺麗なキーホルダーだった。


「これ欲しい。」


「向こうにおもちゃとかもあるけどこれでいいのか?」


自分はいつもなら創が選びそうにないものに驚いた。


「これがいい。だから、パパにもママにも買って欲しい。」


まだ2歳なのにさやかが亡くなったことをこの子はわかっていると感じた。そんな息子に申し訳ないと感じながら息子の手を握る。


「そうだな。ママにも買っていってあげようか。きっと喜んでくれるよ。」


自分は創が持っているキーホルダーと全く同じものを3つ持ち、会計する。大学の頃はお揃いのものを着たりしていたが自分が就職してからすぐに創が生まれたため、あまり新婚みたいな経験はできていなかった。お揃いのものもあまりなかった。そんなことを思い出していた。自分は買ってきたものをすぐに創に渡した。創は嬉しそうに梱包を剥がして、すぐに自分が持ってる小さなカバンにつけた。


車に戻ると、すでに母さんが戻っていた。創をチャイルドシートに乗せると後ろから、


「何そのキーホルダー?おしゃれさんね。」


「へへ。パパとママとお揃いなんだ。」


と、笑顔で答える創。


「そうなの?羨ましいわね。おばあちゃんにもちょうだい。」


「だめだよ。パパとママと創だけのものなんだからね。」


そんな会話が聞こえてくる。自分はそのキーホルダーを自分の鍵につけた。その鍵を差し込んでエンジンをかける。キーホルダーは優しく揺れている。



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