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魔の子たち  作者: ひら
第二章 天の岩戸の試練

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34/37

34.喰

 周りに、けたたましい音が響く。連が湊に連れ去られ、八戒がそれを追おうとする。しかし、それを止めに入ったのは乱童であった。

 八戒は連を追うのをやめ、目の前の乱童を叩き潰すことに専念する。


 (連は、もう十分強い…少し心配だが、俺なしでもでも何とかなるだろう。だが、こいつは放っておくには危険すぎる。ここで何とかしなきゃならん)


 乱童の刃を、八戒が拳で防ぐ。


 「ヒヒヒ…八戒、いいのかィ?また、友を失ってもさァ」


 「連は強いさ、一人でも何とかできる。だが、お前のことは放置できない!貴様の危険度は、誰よりも知っている!」


 「ヒヒヒッ!流石!親(・)友(・)を(・)見(・)捨(・)て(・)て(・)僕(・)か(・)ら(・)逃(・)げ(・)た(・)男(・)は、言うことが違うねェ!」


 「…貴様ぁ!」

 

 八戒が思いっきり蹴りを入れる。乱童は刀で衝撃を吸収し、受け止めた。


 「嘘じゃないだろ!?なァ八戒ィ!八百年前、お前は俺にやられる友を見捨てて逃げた!お前の友も、さぞお前を恨んだだろうなァ」


 「……俺の親友の…義天(ぎてん)の覚悟を馬鹿にしてんじゃねぇ!」


 八戒が、二発、三発と拳を刃に叩き込む。乱童はそれらの打撃を全て防いだが、刃にはヒビが入った。


 「ヒヒッ。なかなかやるじゃないかァ。噛みちぎれ…〔空喰(からぐい)〕!」


 乱童が両手を前に出し、指を立てて牙を模した。

乱童が手を勢いよく合わせる。咄嗟に、八戒はその場から飛び退く。


 その瞬間、八戒がいた場所が大きな牙に噛みちぎられたかのようにえぐれた。

 乱童は攻撃の手を緩めることなく。周りをえぐっていく。


 「さァさァ!逃げてばかりじゃァ勝てないよォ?」


 「知ってるさ…『降魔解放:弁天大拳(べんてんたいけん)白浪鬼(はくろうき)』!」


 八戒の姿が変化する。巨大な二本の角が生え、体には赤い模様が浮かび上がる。八戒が一歩を踏み出すと、地面が割れた。乱童は、その姿をみると恍惚とした表情で震え上がる。


 「いいィィ…最高にいいねェ!僕も……面白いものを見せてあげよう…〔貪惏身降(たいらんしんこう)〕!」


 乱童の姿が変わっていく。髪は短くなり赤みがかる、筋骨隆々の逞しい青年の姿へと変貌する。


 それは、八戒にとって見知った顔だった。八戒の心に数百年もの間、居座り続ける後悔。遠い過去に、置き去りにしてしまったもの。


 八戒は、その場から動けなかった。


 「――どうしたァ、久々に友人に会えて何もなしか?なァ…八戒」


 それは、大昔の親友の姿――柄柱 義天(つかばしら ぎてん)の姿だった。

 


 

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