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終末世界で明日を見る  作者: がみれ
第三章「欺瞞の渦と波乱の予感」
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第六十九話「戦いの流れ」

「ま、でも魔力は限りあんだろ。ほら、その血解除していいぞ。どうせフェイクだろ」


 切断され落ちた指を東谷は指指す。

 キューブはそれに目をやると、血は形を保てずあっけなく地面に溢れる。


「能力は状態を保つっつう感じだな。天翔、分かってんな?」


「誰に言ってんの?能力の決めつけはしない。あくまで予想。過信はしない」


 互いに目を合わせ、自信に溢れた笑みを浮かべる。


 キューブは正面を指さした。

 先にあるのは緑色の魔力のボックス。


「それ、小さくなってるよね」


「見間違いでしょ」


 目を逸らさず天翔は言葉を返す。

 魔力の短刀を取り出し、ボックスが虚空に消えた。


「へー、じゃあ見間違わないまで小さくしようか。私のキューブぐらい」


 全身に白い魔力が立ちのぼる。

 直後、前方1メートルの範囲にキューブが魔力を解放。


 通路が魔力の壁で隔たれる。

 それどころか上下左右にあるゆる物を切断しながらその壁は広がっていく。


 相対する者同士、互いに視界から消える。


「やらせっかよ」


 その時には、東谷は金棒を持ってあと一歩の所まで近づき、天翔は魔力の短刀を投擲していた。


 東谷の横を抜け、一直線に短刀は壁に迫る。

 だが当たる寸前、壁は格子状に変形した。


 偶然、短刀はその格子に当たる。

 すると、短刀は真っ二つに切断された。まるでレーザーに当たったリンゴのように。


 東谷はそれを見て振るう動作を止める。

 体の向きを逆にし、反対方向に駆け出す。それと同時、天翔は東谷と同じ方へと駆け出した。


 二人の表情には余裕がない。

 無論、キューブが何をするのかは分かっていない。だが、全速力で逃げていた。明確な死の予感をその身でひしひしと感じて。


「東谷!僕を上に飛ばして!!先に追う!!」


「おう!!」


 ジャンプした天翔の靴裏に向け、東谷は金棒を下から上に振り上げる。


 片腕を天井に向けた天翔はその手に小さな魔力の盾を持つ。金棒を足場に天井を突き破って上に吹き飛んだ。


 東谷はそのまま走り続ける。


 格子状の白い糸が動き出す。

 壁をバラバラに切断しながら、縦横四階分はある空間を突き進み迫って来ていた。


「やっぱり実戦経験ねえな、あいつ」


 だが、東谷には振り向く余裕すらあった。


 床を強く踏み込む。

 亀裂が入り、緑色の魔力を足元に集中。


 床を蹴り、飛んで上階へ、

 天井を突き破り、影響範囲外まで逃げ込んだ。


「こんな大技使えんのに、もったいな」


 作り上げた穴から手を出し、ヒョイと通路に上がると東谷は駆け出す。


 しかし、天井が視界から離れた。

 東谷がいる通路自体が落下したのだ。


 前にした足が地に着かない浮遊感。

 内臓が浮く感覚を感じ、足元の魔力集中を地から空に切り替える。


 金棒で壁を破壊し、外へ。

 広々とした地下空間が目に入る。


 そこでは落下する瓦礫によって白く照らされ、地面は見えない。無数の輝きが空間を照らしていた。


 空中を足場に相対する天翔とキューブ。

 接近し、得物を振るう天翔に斬撃が放たれる。浅い傷だが、肉が断たれ血が空中に飛び散る。片目が縦に斬られる。


 だが、なおも天翔は近づき、得物を繰り出す。


 軽々と避けるキューブと空を蹴り落下する東谷の目が合う。


 内に刃のついた緑色のブーメランが弧を描き、キューブの背後に迫るが、振り返らず素手で掴まれ分解される。


「おらよッ!!!」


 脳天に振り下ろした金棒。

 片腕で受け止められるも、キューブの顔がしかむ。


 東谷に骨を軋ませる感覚が伝わった。

 金棒を振り上げ、もう一度体勢を整えようと、空を蹴ろうとする。


 その時、背中に自身の倍はある瓦礫がのしかかった。


「しまッ……!!」


 東谷とキューブが金棒を支点に近づく。

 互いが手を伸ばせば届く距離にまで。


 咄嗟に腕を前に出す。

 しかし、手首をがっしりと掴まれ、動きを止められた。


 金棒から手を離し、キューブを殴りつけようとする。


 その時には、手首から手の先までが分解されていた。


「あと、何回再生できるかな?」


 天翔に右足を掴まれ下に引っ張られる。

 目元から口まで煽るような笑みが上から目線に見え、東谷は額に筋を浮かべる。


「殺すぞ」


 口角を上げたまま、目元は全くもって笑っていない。その目の奥にある消えない光にキューブは汗をにじませる。


 両者は地面に降り立った。

 互いが立方体の瓦礫で見えない中、息を合わせたかのように三者は魔力を解放。


 瓦礫をはねのけ、砂埃が辺りに舞い、まばたきすると互いが微かに見え始める。


「ほんと、何なの?君たち」


 斬り刻んだ傷は跡もなく再生し、二人は笑っていた。


 その顔にキューブの表情が冷める。


「再生だってその大きさじゃもう一回しかできないよ。もっと身を大事にさ」


「うるっせえなぁ。俺たちの問題だろ?そりゃあ」


「そうそう。敵が敵の心配すんなよ。黙って戦え」


 緑色のボックスはもう片手に収まる程度しかない。天翔がその中から短刀を取り出し、さらに小さくなった。


「……死に対して恐れはないの?二対一でトントンなのに何で一人に任せて」


「信頼してるのさ。僕らは。もしかして漫画とか読んでないからそういう関係わかんない?」


「そういう関係だったら、片方が死にそうな時絶対に守らない?」


「そりゃ信頼してねぇよ。口先だけだ」


 小石を手にし、東谷は投球の構えで投擲する。

 空を切り裂き、跳んで行くが首を傾げる影が奥から見え、東谷は前に歩き始める。


「互いが絶対に死なないと信じてる」


 それに天翔も合わせて進む。


「だから、助けねぇ」


「僕が東谷通りに動けなかったら」


「俺が天翔の想像を超えられなかったら」


「「そこで、""死""だ!!!」」

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