表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/59

その42

その42


私とラル、アルシェとステラは本殿に戻ると、自分たちの部屋を作ることにした。


人数がどんどん増えていくので、その都度宿に確認したりするのが面倒だったのだ。


核さん曰く魔物が自動で配置されたり罠が現れる様な特殊空間でなくても良いのなら、数層分は作れるだけの余力はあると言うので、一層分5キロ四方の草原を作り、そこに一軒家を数軒建てて住むことになった。


ユグヌスクさんも暫く滞在するそうで、家を一つ提供した。


小川が流れていて空もちゃんとあるし、所々に木も生えている。


時間に合わせて日が暮れたり夜になったりする様に設定も済ませたので、ディーアの町へ買い出しに行くことにした。


だって呪王の調査依頼、受けてないんだもん。


個人的に調べる気はあるけれど、一旦生活環境を整えてから会議を開いた方が効率的な気がしてきたのだ。


ステラの魔眼やユグヌスクさんの魔眼など、捜査方法は色々あるからね!




今回は朝一でアルシェだけを連れて町へ繰り出した。


生活エリアのちょっとした変更とか、サブマスターであるラルが居ればある程度は出来るからね。


食料や寝具、衣類に食器にと買い込んでいたらあっという間に時間が過ぎてお昼になっていた。


「そういえば他の竜たちにも色々と伝えないといけないね」


「問題ない。要点のみ伝えている」


そんな話をしながら適当な食堂に入り、ランチセットを頼んだ。


「あれ?私何か忘れている気がする」


パンと目玉焼きハンバーグ、サラダと野菜スープと言う有りがちな食事を済ませ、食後のコーヒーを飲みながら何を忘れているのか考えてみた。


「あっ、家事できる人が一人もいないじゃん?!」


「問題発生」


現在居住区に住むことになっているメンバーは、私、ラル、三姉妹、ユグヌスクさん、アルシェたち五竜だ(竜はしばらくアルシェだけだけど)。


掃除や洗濯はクリーンで済ませる事が出来たとしても、どう考えてもご飯は誰も作れない。


私以外にも魔王チームが収納魔法を使えそうだけど、流石に家があるのに毎回それって侘しい気もする訳で。


「よし、こうしよう。リューネさんにお願いして家事が出来る人を探そう。その間に私達は魔王を探し出す方向で」


「主、問題発生。アイナから。海に幽霊船多数発見」


問題ってそっちかい!


「面子を揃えて転移かゲートで…ってインドゥーラに行ったことないから出来ないじゃん?!」


と言う事で私とアルシェは急いで町の外へ出ると、竜化したアルシェに跨って急遽インドゥーラへと向かうことになった。


空の移動、それも風と雷の精霊王であり竜でもあるアルシェの速度は滅茶苦茶早い。


あっという間に海と町が見えてきたので、騒ぎになる前に降り走って町へと向かうことになった。


二人共敏捷は並ではないのでこれもあっという間にインドゥーラの西門に辿り着いた。

 

二人で冒険者カードを見せて海へと向かうと、港近くにアイナが腕を組んで立っていた。


「主様、お久しぶり〜。ほら、あれですわ〜」


アイナが指差す先には、明らかにボロボロの船影が多数見える。


町の人々もその存在に気付いたみたいで、あちこちで騒がしい声や音が聞こえてきた。


「10隻以上はあるね」


完全に異常な数だ。


「二人共、飛ぶよ!海上に出たら竜になって良し!行くよ!」


普通に相手をするには流石に辛い規模なので、二人共竜になってもらい私は変身を解いた。


船は近付いてみるとハッキリと分かるボロさで、大型帆船やガレー船などその形状は様々だけど、大穴が空いていてまず浮かないだろうよって船も普通に海上を進んでいる。


「行くよ?!」


船の上には様々な地域の船乗りや海賊の服や装備を纏った骸骨たちがカタールなどを手にカタカタと歯を鳴らしている。


「光の槍!」


無数の槍を光で作り出し、船そのものを攻撃した。


大抵この手のアンデッドは、船か船長辺りが本体で、骸骨等は幾らでも湧いてくる。


どれが船長かも分からないので、まず狙いやすい船その物を攻撃する事にしたのだ。


光の槍はドカドカと複数の船体に突き刺さり、大きな穴を開けるけど沈む様子は見られない。


これは船長か何かが核になっている奴なのかな?


アルシェが口を開いて雷撃のブレスを、アイナも口を開いて冷気のブレスを船たちに向けて吐き出した。


水上に出る魔物は水に強いのが多いから、水のブレスよりはある程度効果のある冷気や氷のブレスにしたのだろう。


五竜の中でアンデッド相手となると一番強いのは火のシュリンなんだけど、流石に町の守護を止めさせる訳にも行かないよね。


雷撃を受けた船は燃え上がり沈み恥じた。


冷気のブレスは残念ながらあまり効果がないようで、骸骨たちや船の表面を凍らせただけだった。


あ、私にはもっとアンデッド相手なら強力な魔法があるじゃん?!


『神々よ。この海にある不浄なるものをその清き御力で浄化したまえ!』


魔力操作で広域展開させた奇跡の光が私を中心に拡がって行き、殆どの船を飲み込んだ。


船の上に乗る骸骨たちは光に触れた途端崩れ落ちて灰になったけど、船はびくともせずにインドゥーラの港へと進んでいる。


「おかしい」


私は魔力感知を海の中へと向けると、明らかに大きな魔力が一つ、海の中から感じられた。


「二人共上昇して!」


私の声に反応して、2体の竜が高度を上げる。


私も羽衣で全身を守りつつ上昇した。


「あれは幽霊船じゃないよ。何か別の魔物だね」


〈確かにぃ海の中からぁいやーーな気配を感じますわぁ〉


〈大きな雷落とす?〉


「そんな事したら他の生き物が先に死んじゃうでしょうよ。取り敢えずアイナは水のブレス、アルシェは雷のブレスで船を破壊しよう!」


〈了解〉


〈はぁい〉


と言う事でそれぞれがブレスで船を破壊して行く。


水圧で押し潰し、雷で焼き、火魔法で燃やした。


思った通り特に抵抗するでも無く燃えながら、砕けながらも進むボロ船に、明らかな変化が訪れた。


ブン!と風を切る音と共に燃える船が1艘私に向かって飛んできたのだ。


私はそれを羽衣で叩き落とし、よくよく目を凝らすと何か途轍もなく巨大な物体が海の中を揺蕩っていた。


〈大きな海月ですわねぇ〉


そう、アイナの言う通り、それは頭だけでも200メートルはある巨大な海月だった。


触手はその何倍もの長さがあって、数も数十本はある。


その数ある長い触手で沈没船や難破船を持ち上げて浮かばせ、幽霊船の集団の様に見せていたのだ。


骸骨は海月その物の魔法的な何かか、元々の乗組員や乗客がアンデッド化したものなのかは分からないけど。


正体さえ分かればこっちの物だ。


その後も船が飛んでくるけど、私達にその程度の攻撃が通用する訳もなく全てを回避した。


「貫く岩槍超巨大バージョン!」


私の地属性に染まった魔力が一時的に物質化して、長さ20メートル、いちばん太い部分で3メートルほどの槍になった。


その槍は前に氷槍でやったみたいに、横に回転していている。


その数10本。


それに空魔法で速度を早めて一気に放った。


海水の抵抗で威力が落ちてしまうので、その分を補う感じだね。


ドスドスと海面を突き破って大海月に岩槍が突き刺さり、大海月がブルブルと震えている。


放っておいても数分もすると岩槍は魔力に戻って拡散してしまうけど、意識して消すことにした。


船みたいに投げてきたら嫌だしね。


大海月は対抗しようとしたのかザバッ!と数十本の触手が伸びてくるけど、海の中ほど自由に動かせないのかその動きは緩慢だ。


そもそも今の私にはそこそこの戦士の攻撃すらめっちゃ遅く感じるのだけども。


私は左右の羽衣を伸ばしまくり、右の羽衣に魔力を込めてそれを海月に振り下ろす。


羽衣は私の魔力によって真っ白に光り輝き、海面と邪魔な触手を断ち切り鋭利な刃物のように大海月を真っ二つに斬り裂いた。


すかさず魔力感知を発動させて海月の魔石の位置を確認、左の羽衣で回収するとちゃっちゃと収納する。


正体さえ分かれば何てことないけど、でも誰かの意図を感じるよね?


普通の海月が幽霊船もどきをあんなに運んで港へ向かってくるとは思えないし。


とりあえず大海月は倒したので海上でそれぞれ人間に変身すると、人気のない付近まで飛んで降りることにした。


「あらぁ?町の方が騒がしくないかしらぁ?」


「敵襲。何かが町を襲ってる」


アイナが町の様子に気付き、アルシェがふわりと浮かんでインドゥーラの様子を見た。


「うそ?陽動作戦?!」


私達は空を飛び、インドゥーラの町中へと入った。


インドゥーラは東の港側には海が広がっているけど、それ以外は他の町同様防壁に囲まれている。


外部へと通じる門は西門と南門の2つあり、西門付近から黒煙がいくつか上がっていのが見えた。 


「まずい!行くよ!」


私達は再び飛び上がると西門へと向かった。




時刻は14時過ぎ。


インドゥーラの西門付近には数十体の動く死体が彷徨うろついていた。


ゾンビの様な食欲と生前の習慣に引っ張られてする緩慢な動きではなく、明らかに思考しているのが分かる。


歩く速度一つを取っても一般人よりも冒険者のそれに近い身体能力だろう。


時々魔法すら使っているし、明らかにアンデッドでも中位以上だと分かる。


腐敗した様子もないので何故アンデッドだと分かったのかと言えば、見た目だよね。


首が折れてたり、すでに止まっているけど致命傷と分かる大きな傷があったり、片腕が肩から皮だけで繋がってるのに出血していなかったり。


これなら余裕だね。


『神々よ。この地にある不浄なるものをその清き御力で浄化したまえ!』


私を中心に光が広がり、瞬く間にアンデッド達を浄化していく。


見た所怪我人はそれなりにいるけれど、亡くなった人は居なかった。


ゾンビなどの様にまれに毒的な何かで感染する物もあるので、怪我の治癒だけではなく解毒や解呪も行っていく。


万が一を考えて鑑定もしてみたけど、一応大丈夫っぽい。


ほら、私の鑑定の魔眼、あまり仕事してくれないことがあるから一応って事で。


それにしても、こんなの誰がやったんだろう?


自然発生で町中に突然とか有り得ないよね?


辺境伯領内に出没するアンデッドたちの件もあるし、やっぱり呪王なのかな?


あの大海月も呪王の仕業なのかな?


呪王は何をしたいのだろうか?


実際に呪王を知る連中に聞くしかないよね。


と言う事でアイナをインドゥーラに置き、ゲートを開いて生活区へ戻る事にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ