012 銀髪美少女とお風呂コミュニティ
四条邸は一般の家よりも大きい。
父と母の稼ぎがいいからだろう。
2階には部屋が4部屋あり、2人の子供と居候に渡してもまだ余るほどだ。
そして拘ったのがお風呂である。
サルヴェリアは日本に並ぶ温泉大国である。ゆえにお風呂を重視する方向にあった。
そのためこの家の風呂は珍しく、一般家庭にはない広めの浴場に露天風呂があったりする。
……風呂掃除が面倒なので露天風呂使う時は自分で洗わないといけないけど。
「ふぅ……」
俺は風呂が大好きだ。
毎日しっかり掃除して露天風呂を味わう。
「仕切りがなきゃな……」
露天風呂ゆえに当然屋外にある。
当たり前だがのぞき対策で仕切りがかなり高い所まで存在する。
昔、ドローンを使って覗こうとした猛者もいると聞くが親父の仕掛けた罠があるので覗くことは一切できない。
俺は覗かれても問題ないので仕切りは取っ払いたいが女性陣がいる以上、そんなことは言えない。
「ま、贅沢はいえんな」
「レイジ! お背中お流ししますね!」
「おわっ!」
風呂場にいきなりフィアナが突入してきて、変な声が出る。
「な、なんだよ……いきなり」
「マンガで見ました! 日本人は背中を流しっこして仲を深めると!」
なるほど……それに影響されて、やってきたと。
「あんたみたいなやつなんて言うか知ってるか?」
「ふえ?」
「バカって言うんだよ」
「ひどいです!」
フィアナはTシャツに短パンと随分ラフな格好をしていた。
タオルとボディソ-プを手に本当に洗う気満々なんだろう。
流しっこだったら俺も洗わせてくれるのか。いや、これ絶対一方通行だろ。
「シャロンとしろよ」
「シャロンとは仲を深めましたので」
「あ、そう」
正直、洗ってもらう分には構わないんだが……。
こいつ自分が世界一の美少女って自覚ないんだろうな。
近づくだけで気になってくるし、すでに湿気で白のシャツが張り付いており、下着がちょっと透けてるんだよ。
そんなもん見続けたら股間がエライことになる。
それを見られたくはない。
おい、青のブラが透けてんぞ。やめとけ。
だめだ、そんなこと言ったら俺が変態みたいじゃないか。
自発的にフィアナを撤退させるしかないな。
「フィアナ」
「はい」
「お風呂つーのは。掃除の時以外にそんな格好で来るもんじゃない。湯着もしくはタオルを羽織ってくるもんだ。正装なしで洗いっこはないな」
「確かに! 主人公の男の子は裸でしたし、ヒロインもみんな裸だった気がします!」
何のマンガ読んでるんだコイツ。
そういうのが好みなのか。
「だったらあんたもそんな姿になるべきだと思う」
「へぇ!? つまり私もタオル……一枚で」
「その通りだ。ルール違反はダメだと思うぞ」
さすがにフィアナもタオル1枚で来ることは無理だろう。
「あの……えっと」
フィアナは照れ始め、目は泳ぐ。
フィアナは変に先走るが、停止させてしっかり思考させると落ち着いてくるタイプだ。
さすがに脱いで来るなんてバカなマネ。
「わ、分かりました。ちょっと待っててください!」
「おい、バカ!」
てててとフィアナは更衣所の方へ行ってしまう。
まさか、冗談だろと思った数分先。
「お待たせしましたぁ」
「マジかあんた!」
フィアナが服を脱いでこっちにやってきたのだ。
俺は露天風呂の浴槽に沈み、持ってたタオルを股間に押しつけた。
フィアナが小さなタオルで体を隠して、近づいてきた。
できるだけ肌を出す面識を少なくしようと体を縮こまらせる。
「こ、これでルール違反じゃないですよね」
「た、タオル小さすぎだろ。せめてバスタオルとか無かったのか」
「……慌ててて」
かろうじて大事な所はタオルで隠しているが、隠し切れてない白肌が8割。
真面目にかけ湯だけしてきたんだろう。輝く銀の髪はしっとりとして、傷のない体はどこを見ても真っ白だった。
もう出られん。絶対出られん。股間がエライことになっている。
「さ、さぁ……洗いっこしましょう」
「どうやって」
「へ?」
「あんた……タオルで体を隠してるのにどうやって洗いっこするんだよ。真っ裸でやる気か」
「あ」
「風邪引くし、浴槽に入れ。家の風呂だからタオル浸けてもいいから」
フィアナは大人しく湯船の中に入る。
白の濁り湯になる温泉のもとを入れててよかった。
これで少しは落ち着くか。
「うぅん」
濁り湯と気づいたのか見えない所まで一度体を沈ませて、一緒に湯に浸かった銀の髪を持ち上げて結い始めた。
結うと同じに体が持ち上がったので大きく育った胸が湯から出てくる。
全部が出ているわけじゃないので大事な所は隠せているが、ついつい目がいってしまう。
髪を上げたことにより見えるうなじがまた色っぽい、
ぱっちりとした碧眼が俺を見据える。
濁り湯に入って体を隠したはずなのに全然ドキドキがおさまらないじゃないか。
「……落ちついてきました」
「おせぇよ」
「レイジの背中をお流ししたかったんです!」
「はぁ……最初に素直にしてもらえばよかったよ」
変なこと言わずにそのままお願いすりゃよかったな……。
こんな暴走されるならな……。
顔を真っ赤にしてるフィアナを見ていると俺も照れてのぼせてしまいそうだ。
「何でそんなに背中を流したかったんだよ」
「そうすればレイジの黒髪と筋肉質の背中を合法的に……」
「あんた、体目的の変態だったのか」
「レイジだって……さっきから私の胸ばかり見てるじゃないですか」
「うぐっ!」
「視線で分かります」
「すまん」
顔をじっと見るのが恥ずかしいので目線を下げるといい感じに胸にいってしまうんだよ!
なるべく見ないように視線を別にした。
「……そんなに興味があるならもっと近くで見ていいんですよ」
「へ?」
「そのかわり……レイジのからだ」
顔を真っ赤にしたフィアナがとんでもないことをつぶやく。
というより……。
「ふにゃあ」
「お、おいフィアナ!」
フィアナはくらっとしてのぼせて倒れてしまった。
あんなに真っ赤にしてたもんな……。ずっと入ってる俺より早くのぼせるとは……。
さて、浴槽から持ち上げて涼しい所へ……。
「え……どうやって」
人を呼びに行く。シャロンや母さんを呼んで介抱、それはいい。
だが湯の中に置きっぱなしはまずい。脳にダメージがいってしまう。
「すまんすまん!」
許婚だから許してくれ!
俺は湯の中に手を入れて、フィアナを持ち上げるように足を探す。
「あぁん」
変な声出すな!
膝の裏と背中に腕をまわしてゆっくりと持ち上げた。
大事な所を見ないようにフィアナのタオルと俺のタオルを2枚使って隠して、できる限りフィアナの裸体を見ないようにする。
思ったより軽い。そして柔らかい。
馬鹿なことするくせに顔と体は最高なのが心臓に悪い。
俺はそのままフィアナを風呂場の床に置いて、タオル2枚でしっかりと大事な所を隠し直した。
さて介抱を頼もう。
ダッシュで風呂場を出る。
お、ちょうどいい所にシャロンが。
「おい、シャロン」
「なに、お兄ぃ……っていやああああああああ!」
「何で逃げる!」
「何で裸なのよおおおお!」
「理由があんだよ!」
「じゃあ股間のソレなんとかしてよおお! 真っ直ぐに大きくなってんのよ!」
「うるせぇ兄のち○こにびびってるんじゃねぇ! さっさと来い!」
「やだぁああああああ!」
「ふふ、レイジが来て……みんな楽しそうね」
自室に鍵かけたシャロンは諦め、結局母さんに頼んでフィアナを介抱してもらうことになる。
風呂で疲れを癒やすつもりがとんだことになってしまった……。
今度から風呂の扉には鍵をかけよう。




