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最弱はバラバラな世界を一つにする  作者: アリア(紫骨 骸)
10/17

【10:正解は飛んで堕ちて死んだ】

《Day2夜刻》


(くそっ、もうこの日も終わりだってんのに!一回でクリアさせろよ!)


大量の粘着物質が俺のあとを追いかけてくる。

ざっと15。

どれだけ曲がってもどうやっても誰か一匹に見つかれば付いてくる。

動き自体は遅いものの、何処にいるかをすぐに当てに来るので逃げることしか出来ない。


休憩していてもすぐに鬼ごっこが始まる。捕まれば死ぬそんなデスゲーム。

優勝賞金はなし、勝者になるためのルールもない。

このゲームをやめるには追いかけてくる鬼を殺すか、鬼に殺されるかの二つの選択肢しかないという最悪のゲーム。


なのに何で……、


「俺はこんなにも楽しんでいるのだろうか。」


自分の口が孤を描いたように笑っているのが筋肉の動きではっきりと分かる。

自分の口から不気味な笑い声がするのがわかる。

自分ではないようなそんな気持ちに囚われ、その気持ちから抜け出せなくなっている。

愛しいものを見ているようなそんな気持ちになっていっているのだ。

実際、そんなこと無かったはずなのに、どこかに俺は手を伸ばすのだ。

一生懸命に走って、笑って、孤を描いて、手を伸ばすのだ。


ーー「絶対、死なないよ。だって僕だから。」


誰かの声が聞こえてくる。

だれだっけ?小さい頃にあったことのある子だった気がする。

金髪の立っても地面スレスレなぐらいの長髪にシンプルな服で着飾った少女。

不思議な雰囲気を纏っていた少女だ。

自分を死ぬことから守ってくれた少女。

今では顔がぼやけていて思い出せない。

覚えているのは金髪の長髪に白いワンピースだけだ。


ーー「悲しくなったり、嫌になったら強く思ってよ。僕がその時だけ代わりに過ごしてあげる。」


ー「何でそんなに俺のことを助けてくれるんだ。」


ーー「それは……」


助けてよ。助けてくれよ。

もう無理ってわけじゃない。体力ももう限界なんだ。このままでは死んでしまう。またやり直しになってしまう。嫌なんだ。

そう思う大半は面倒だからだけど、それでも死を体験したくないという気持ちも多くある。


記憶の中の少女はずっと笑っていて、その笑顔を見て、涙があふれる。

何なんだろう。暖かくて……。


ーー「秘密。」

「助けて。」


俺の掠れた声と記憶の中の少女の声が重なり合った気がした。



ちょこまかと走っていた人間がついに止まった。その瞳には水が溢れており、泣いているのかと判断できた。

これで殺せる。そう思ったのだろう。

粘着物質は一斉に襲いかかった。


きっとやられるとは思ってもいなかったのだろう。


無詠唱でスキルを発動した人間は一歩も動かず倒していく。その瞳はまだ潤っており、口が笑っている。月を見て、不気味な笑い声を上げているのだ。

左腕は星狼の持つ前足と同じようになっており血がついている。

顔にも血がつき、全身が赤くなっているがその人間は気にしていなかった。


ある粘着物質は、切り裂かれて。

ある粘着物質は、毒に食われ、虫に食われて。

ある粘着物質は、毒に囚われて。

ある粘着物質は、虫に捕食されて。

ある粘着物質は、呼吸官を途絶えられて。

ある粘着物質は、青い炎に包まれて。

ある粘着物質は、体に傷を残さないように殺され。

ある粘着物質は、消化されたようにドロドロとなって。


はっきりと感じるキョウシャ。


粘着物質の正体が分かっていながらそれでもなお、笑っているのだ。

全ての粘着物質が蹂躙され、いなくなっていく。

ただ一歩も動かない。ただ一人の人間に。

誰も勝てるわけもなく、消えて、いなくなっていく。


人間の周りには、たくさんの粘着物質が広がっている。

まるで一つの液体のようにまとまって手を繋ぐように死んでいるのだ。

そんな様子を見ても人間は一つの罪悪感も抱いていなかった。


死んだものの懐などを漁る。ドロドロに手を突っ込み、探してみると様々なものがあるようだった。

役に立ちそうなものを選別し、赤いボタンを付けた袋を作り突っ込んだ。


もう夜も遅い、心配されるだろう。

だが、ここで戻っても意味がない。血で汚れたものをわざわざ洗うのは面倒なことに変わりはないし、それなら粘着物質との戦いの故に倒れていたということにしておいた方が楽でいいだろう。


そう思って血のベッドに寝転がる。

全身が鉄の匂いになるが気にしない。

まだ死んでいなかった粘着物質がいたのでまだ星狼の腕になっている左腕を上から下に下ろす。

風圧のみで吹っ飛び、体液がかかるがきにしない。


そろそろだろうか。


人間はそう思いながら座っていた。

もちろん血など気にしてはいない。



時が止まる。


夜風が揺らしていた葉の音も。

鳴き叫んでいた狼の声も。


何もかもが元々なかったかのように音のみが無くなっていた。

途中で落ちていたのを止められた葉を触ると鋼のように固く、動こうとしなかった。


『《Day2夜刻》にて生存を確認。』


何処からか声がしてくる。

機械仕掛けの女の声。

操作されたただのロボットである。


『報告致します。』


命じられたものを伝えるだけの簡単なお仕事。

きっとそれだけではないのだろうが、それにしか見ることが出来なかった。

だからこそ気付くことが出来なかったのだ。


『《Day2夜刻》生存を確認。

おめでとうございます。《Day2》を生き延びました。

>【魔物図鑑:粘着物質スライム】を倒しました。

>【初めての魔物殺し(キラー)】を手に入れました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】が1レベルアップしました。

>【粘着アヴェシオーネ】のレベルがMAXになりました。進化可能になりました。』


『本人のステータスを確認します。

>経験値を60手に入れました。

>1レベルアップしました。

>【称号図鑑:初めてのレベルアップ】を手に入れました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>5レベルになりました。特殊スキルの上限が2に上がりました。

>【称号図鑑:特殊スキルの上限解除】

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>10レベルになりました。特殊スキルの上限が3に上がりました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>1レベルアップしました。

>20レベルになりました。特殊スキルの上限が4に上がりました。』


『レベルアップに関しての注意点。

【特殊スキル】を持っている為、レベルが上がったとしても次の日が来るとレベルが始めに戻ります。レベル毎に貰える報酬は残るので有効活用して下さい。』


『特殊スキルは通常の場合、表示はされません。本人にも分かることはありません。特殊スキルを持つ人は、レベルもステータスも上がりにくいかわりに特殊な能力を持ちます。それが+(プラス)になるか-(マイナス)になるかは使用する人次第です。』


『あなたには選択があります。もう一度《Day2》をやり直すか、《Day3》に進むかです。

《Day2》にやり直したとしてももう一度生存すれば選択の権利を得られます。』


ーー生きているか、死んでいるかしかわからない機械には、


「Day3に進むよ。」

『分かりました。それでは一部の都合の悪い記憶を消します。』

「分かった。お願いね。」

『今回は、やりすぎてしまったようですね。記憶が無くなることで今後の未来に大きく影響する可能性があります。それでも進みますか?』

「大丈夫だ。」

『それでは《Day3朝刻》に移ります。』



静かになった空間で一人人間はため息をつく。

そしてさっき進化可能と言われたものを進化させておく。


ーーーー

粘着アヴェシオーネ】を進化させますか。

>はい

>いいえ

ーーーー


急に出てきた画面に少し体を揺らし、驚いたもののすぐに冷静になった。

そして静かに凛とした声で「はい。」と答える。


ーーその声がいつもより静かであることに気付かない。


『進化を確認します。

>【粘着アヴェシオーネ】が細かく使えるようになりました。概要をお伝えします。ーー』


話を聞き流す。

あらかた、粘着を使った物などが使えるということを事細かに言っているだけだ。

どこから現れたかは知る由もないが知る意味もないので特に気にしないことにする。


はぁ、とため息をつくと真っ暗な森に敷かれる赤い絨毯の上に寝そべる。

絨毯は自分を赤く染めるが、そんなことは気にせずに眠る。

疲れているわけでもないがすることもないので寝るに限る。


(明日はなにすんだろうな。)


朝話していたことを思い出しつつ、そんなことを思っていたのであった。

10話目でーすドンドンパフパフー

記念に新しいキャラを詰め込みましたがいかがでしょうか?大きな伏線になったのではないでしょうか?

実は新しいキャラを詰め込んだせいで後の話の10話分くらいが影響を受けまして、大幅に話が変わりました。反省はしてません。


所々主人公が歪んでいる表現はしてるので察してくれた方も多いはず!


カタカナを使って二つの意味を詰め込むのめっちゃ楽しいです。


自分の語彙力が無いせいで何度も同じ表現を使わなくちゃいけないのがキツイ……


次回も明日投稿!何時かは私次第です☆


ー作者の日記ー


こんにちは。粘着物質と書いて読者にスライムと読ませる鬼畜な作者です。よろしくお願いします。


カタカナで表記できるものをわざわざ漢字に直すというのが中学の頃に流行ったんですよ。

例えば、人の名前とかを別の漢字にしたり、外国人の子が漢字だったらどうなるかと考えてみたり、考えるというのは非常に大事ですよ。


ヴィオラでしたら直訳で紫ですから、漢字に直すとしても紫の一文字で済むなと思いました。

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