8.5話サーシャ視点 エリナちゃんで遊ぼう
明日も投稿予定です
私はベットの傍で椅子に座り、手に持った小皿からスプーンでスープを抄いだし、息を吹きかけた。
「はい、あ~ん」
私がスプーンを差し出すと、エリナちゃんが可愛い小さなお口を開けてスープを飲み込む。
あ~んもう、かわゆいわ。エリナちゃんの動作一つ一つに目が離せない。無理言って、エリナちゃん付き侍女のトロワにエリナちゃんの食事のお世話を変わってもらったかいがあるわね。
「おねえしゃま?」
エリナちゃんがおっきなおめめをくりくりさせて、首を傾げて上目使いで私を見てきた。
「あ、ごめんなさい?はい次ね。あ~ん」
「あーん。はむ」
大怪我をして、体が不自由なエリナちゃん。お爺様は治療師の治療で随分良くなったって言ってたけど、やっぱりまだ顔色は良くないわね。近くで見るとよく分かる。かわいそうに。早く元気になってほしいな。そしたら、めいいっぱい可愛がっちゃうのに。今は痛がるから抱きしめることも出来ないわ。残念。
でも、この子、そんな状態でもこんなに可愛いって本当元気になって顔色も良くなったら今以上にかわゆくなっちゃうんじゃない?子供に接する機会は多いけど、こんなお人形さんみたいに肌がきれいで、サラサラの髪の子見たことないわ。
ああお人形さんみたいな妹ができて嬉しいな。早く友達にも紹介して自慢したいわ。
シャーサ=ドレイク=アンリューク=バリュッシュの妹ですもの、誰にも文句は言わせないわ。ああ楽しみ。
食事が終わると、お爺様がやってきて、エリナちゃんの勉強ですって。最初は全く言葉が通じなかったなんて言われても信じられない。たった2か月で喋れるようになるなんて、すごく頭がいいわよね。普通3才児なら、言葉そのものもやっと喋れるぐらいよね?
私も少し勉強のお手伝いをしよう。
「エリナちゃん、これな~んだ」
「ん~、ハンカチ?」
「そう!当たり!じゃあ、。これは?」
「ん~と?””’’**-・?」
「え?」
エリナちゃんの口から音楽のような旋律が聞こえた。御爺様が苦笑して、エリナちゃんに答えている。
「これは手鏡じゃ。てかがみ。分かるなの」
「てかがみ?」
「そうじゃ。もう覚えたの」
今のがエリナちゃんがいた国の言葉なのね。すごく綺麗な曲のような言葉なのね。ビックリしちゃった。
「エリナちゃん元の言葉ってすごく綺麗ね。ね、エリナちゃんもっとしゃべってみて!」
エリナちゃんは私の方を見て、御爺様の方を見た。御爺様が首を縦に振ると、また私の方を見た。
「****---・・♪!!”””’’’****---・・?”””’’’****---・”””’’’****---・・」
本当に綺麗、素敵だわ。
「お爺様、今なんて言ったの?」
「お姉様、大好きです!!毎日遊びに来てくれますか?そしたらすごく嬉しいです。もっと一緒にお勉強しましょう。と言ったんだ」
御爺様が教えてくれた内容を聞いて、私も感激してしまった。
「そうね。学校が始まるまでは毎日遊びに来るわ」
「がっこう?」
「そうよ。学校はお勉強するところよ」
「同じ年頃の子供たちが集まって、勉強したり、鍛錬する場所じゃよ」
「””’**---・・。がっこう、エリナもがっこういくの?」
「学校は6歳になってからだから、貴族はそれまでは家庭教師に教えてもらうわね。御爺様、エリナちゃんも元気になったら、家庭教師をつけるのでしょう?」
「ああ、そうだな、そうなるだろう」
エリナちゃんもうちの子になったのだから貴族として、まず家庭教師から貴族としての心得や礼儀・社交なんかを覚えて、それから初等部の予習をして初等部に入っても恥を欠かないようにするのね。魔力適正があれば魔術の基礎も教わるわよね。貴族なら魔力をもっていて当たり前だけどエリナちゃんはどうかしら?貴族なのに魔力が少ないとちょっと大変かも。
エリナちゃんが初等学校に通う頃には私は高等学校に行っているから、一緒にいけないな。ああ、残念だわ。一緒の学園生活が楽しめないなんて。守ってあげられないわ。
この国では、平民・貴族・王族が身分に関係なく学校に通っている。初等・中等・高等がそれぞれ3年づつ。出来のいい子はスキップすることも出来るけど、そんな子滅多にいないし。いくらエリナちゃんが賢くても無理よね。16歳で成人になって、仕事をしたりするけど、貴族はさらに上の専門課程の学校に行くのが普通ね。エリナちゃんと一緒に登校できるとしたらその頃かしら?でも、成人早々嫁いでしまうこともあるし、私はどうなるだろう?女の場合、結婚を優先されることも多いから無理かな?
「お爺様、エリナちゃんは魔力あるのかしら?」
「魔力か。そうだな。俺はあると思うぞ」
「どれくらい?」
「それは調べてみんと分からんな。初等学校の入学時に調べるだろう?」
「うん、そうなんだけど、私たちはもともと魔力量が多いのは分かっていたから不安はなかったんだけど、エリナちゃんは分からないでしょう?」
家の家系はもともと魔力量が多い。嫁いできたお母さまも多かったから、私は入学時の魔力調査でも不安は全くなかった。まっ、事前に簡易検査をして分かっていたけどね。むしろ、幼馴染が少なくていじめられないか心配だったくらいよ。
「機会があれば、事前に調べてみるか」
「うん、そうしてあげてよ」
「?・・まりょくってなーに?」
「魔力があれば、魔術を使ったり、魔道具が使えるのよ」
「魔法薬を作ったり、魔法陣を作成したりもできるな。便利な力だ」
「えりなもまほうつかえる?」
「魔法は使えないな。魔法は神の力だ。人に使えるのは魔術だ」
「まほうやくはまじゅつ?」
「うん?そうだな。ちょっとエリナには難しいな。大きくなったら教えてあげよう。今はそれより言葉の練習だよ」
「ふに。わかった。えりな、がんばりゅ」
エリナちゃんは左手をギュッとしてから、ふにゃっと笑った。
あーん、やっぱり、可愛いわ。
リーセ「解説でーす」
フェリオー「今回も別視点ね」
リーセ「他の人からはエリナがどんな言葉を喋っているか分かるわね」
フェリオー「分からないわよ!」
リーセ「音楽のような言葉に聞こえるんだけどね」
フェリオー「””’’**-これが?」
リーセ「そう。ホントは音符で書くつもりだったんだけど、うまく取り込めなかったから、点々になっちゃたみたい」
フェリオー「フォントの選択も難しいのね」




