9話少しだけ覚醒
明日も投稿予定です
"その夜は『私』の部屋の窓からは月のない星明かりだけが降り注いでいた。『私』は布団から体をおこして・・・・、あまりの激痛に涙目になって固まってしまった。"
「~~~~~!!!、いたたた、くううう」
"随分頭がすっきりしている。さっきまでの「私」の思考に靄が掛かっていたような状況だったと今なら実感できる。「私」自身は気づいていないけどね。今なら何でもできて、何でも分かる気がする。
・・・というのは思い過ごしで、実際は本来の記憶のほとんどが封じられているし、消えていっているのよね。それでも、「私」が引き出せる知識に比べるとかなりの改善している。『私』は少しでも現状を把握しようと思い、冷静になろうと努めた。"
「現在の身体状況を確認・・・肩甲骨粉砕骨折異常癒合・上腕骨複雑骨折異常癒合・鎖骨単骨折異常癒合・第1から3肋骨服骨折異常癒合・肺損傷不完全再生・肺気腫・各骨折部の付属筋不完全再生及び細菌感染による壊死が発生中・損傷皮膚の不完全再生・胸椎部脊椎神経損傷による不完全麻痺・細菌感染により脊椎神経炎及び壊死が進行中・下半身完全麻痺まで推定1440時間さらに呼吸機能及び心機能停止まで推定2160時間。」
「自己再生機能は現状の生体機能と同程度、再生機能増進は不可能、エネルギー効率0.01%、さらに精神生命フィルター機能の異常により全能力が90%ダウン。能力の発動困難」
「深層意識とのアクセス不完全。本体との接続は完全遮断と思われる。再接続は実質不可能。よって”永遠の命”から解き放たれているため、肉体的な不老不死能力は消失。生命エネルギーも”人間”レベルにまで低下中」
"がくりと『私』は項垂れた。このままでは死んでしまう。"
「左腕の異物リングの解析及び撤去・・・現時点で不可能」
"・・・・ではなぜ今『私』は、ここまで覚醒状態になっているの?さっきまで魂内のフィルターの異常影響で、記憶も思考も力も能力もすべて一定以上に肉体との繋がりを絶たれていたのに。
といっても今も通常の3歳児が発揮できる最大能力機能を無理やり発動しているような状態だけど・・・。
『私』は動かない体を、激痛に耐えながら無理やり動かし、ベットから降りた。かなり無理をすればまだ何とか歩行は可能だけど、未覚醒時では下半身麻痺と変わらないわね。
私はよたよた窓際まで移動して外を眺める。
・・・月がない。新月なのかな?・・・・・・・・?
今はちょうど0時ね。時間が関係しているのかな?"
「情報不足のため判断保留・・・・・ん?」
"空の上、月が見えないから暗くて分かりずらいけど、大きな何かが浮いている?そこだけ星が遮られているみたい。昼間にはあんなもの見えなかったし、夜も月が出ている時も見たことない。あれは何?”
「あれがリングの効果を弱めているのかな?」
"・・・・・今はなにもできそうにない。”
「いつまでこの覚醒状態が続いてくれるのかな?今の内にお爺さまに私の状況を伝えておいて治療してもらった方が良いかな」
”お爺様達は今の私が少しづつ回復に向かっていると、勘違いしているよね。あの魔術をつかう治療師のお婆さんも気づいていないみたいだし。
『私』は痛みに耐えながらヒョコヒョコとゆっくり部屋の出口へと向かった。この部屋の外へはほとんど出たことないから興味もあるしね。とにかく情報収集が必要ね。”
”しかし、『私』の前に大きな障害が立ちはだかる。結局部屋の外には出られなかった。”
「ドアノブが高すぎるよ。手が届かない。」
””力”が使えたら、開けられるのに。本当に憎らしいリングね!
仕方なく、ベットへと戻ることにする。部屋の中をちょっと移動しただけなのに、足に力が入らなくなってきた。弱り切った身体ではもう限界みたい”
「大声出して、お爺さまを呼ぶ?でも、どうやって説明しよう。・・・・・気味悪がられて捨てられちゃうかな?」
”お爺様はやさしいから、本当の事を言っても大丈夫な気もするけど、他の家族はどうだろう?”
「・・・やっぱり、言えないな」
”新しく出来た家族に奇異の目を向けられることを想像したら、背筋が寒くなって、不安が大きくなった。以前の『私』ならそんな気持ちにはならなかったのにな。”
「ん。いいや。とにかく明日の朝、お爺様に会ってから決めよう」
”もっとも、いつまでこの覚醒状態が続くかも分からないから、思考の放棄をしたようなものだけどね。それでも家族に嫌われるのは、また覚醒が途切れて、動けなくなるより嫌だな。”
「とにかく、覚醒が途切れるまでに自分で出来る事だけで、何とかしよう。うん、うん。もしかしたらこのまま覚醒状況も続いて回復するかもしれないしね」
”必死に楽観的な言い訳を自分にしたよ。もし、覚醒が途切れたら、次いつ覚醒できるか分からないから、治療がこのまま不完全なら、もしかしたらこれで最後かもしれないけど・・・・・。
仮定ばかりを考えて一人頷き続ける。
それから『私』は意識内部をもう一度確認する。遮断前に行った対策のほとんどが作動していないみたい。今のままでは本当にまずいよ。何とか深層意識だけでも、もう少し思考できないかしら。
どうせ見捨てられたのだから、死んでしまってもいいのだけれど、折角優しい家族に拾ってもらったのだから、何とかならないかしら。"
「なにか強いきっかけさえあれば、なにか出来るかもしれないかな。希望は捨てないでおこう。ああ、神様、何とかしてよ!!神様でしょ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・死んだら恨んじゃうよ!!!!」
"『私』は、夜明け前まで試行錯誤をしたけど、結果は出なかった。その後、傷心のまま再びベットに潜り込み眠りについた。"
朝、目が覚めた。なんか変な夢を見ていたみたい。難しいことを沢山考えた後みたいに、ちょっと頭がボンヤリする。寝足りないのかな。どっちかというと、このお屋敷に来てから寝ている時間が多いんだけど、それでもすぐ眠くなるのは、やっぱり病気のせいなのかも。お爺様や治療師のお婆ちゃんもそんなことを難しく言ってたな。
あれ、足もなんか痛い気がする。今まであんまり足だけは痛くなかったのに、おかしいな。悪くなっちゃったのかな。ちょっと不安になってきた。まだ、誰もお部屋にいないし、さびいしな。
今日はお兄様が、私の運動のためにボールを持ってきてくれるって、昨日言ってたから、早く来てほしいな。
リーセ「解説で~す」
フェリオー「今回はフィルター機能が弱って深層意識が大きく影響しているエリナね」
リーセ「そう!まさに覚醒編!」
フェリオー「ぷふ、しかし、女神が神様に祈ってるわ」
リーセ「誰も突っ込まないから、ボケて終わってるね」
フェリオー「この場合、祈ってた神様はこの世界の神様じゃないわね」
リーセ「そうね、この世界の神の存在何て気づいていないでしょ」
フェリオー「結構、いろんな神々が入り込んでいるのにね」
リーセ「ちなみに” ”内が深層意識で、『私』も深層意識ね。「私」が深層意識から見たフィルター越しのエリナのことね。」




