037 先走りのピストン
本日二回目の更新です!
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シェザラーナとの会話を終えた僕は、その場にリブラを残し、王城を後にする。
久しぶりの再会だったらしいからな。
積もる話もあるのだろう。
邪魔者はさっさと退散しよう。
首都ブルボンの広場まで戻ってくると、既にパレードは終わっていた。
昼に見た喧騒は嘘の様に静まり、今は付近の住民達が穏やかに後片付けをしている最中だった。
「ピストンさん!」
ぽつぽつとした人影の中から、僕を呼ぶ声が聞こえた。
此方を見付けると同時に、元気よく手を振っているのは、アメル君とガステロである。
呼ばれるままに、二人へと合流する僕。
「良かった、無事だったんですね!」
「だから言ったろう姉ちゃん! 旦那なら大丈夫だってな!」
「……まぁ、言う程無事って訳ではないんだけどね」
『え?』
かくかくしかじか。
僕は二人に、王城で合った出来事を説明する。
「功績を挙げろ、だぁ?」
「ああ」
「七日以内って……ッ! もしそれが出来なければ、ピストンさんは……ッ!」
「間違いなく、拘束されるだろうな。良くて国外追放。悪ければ――し」
「そんなの、おかしいですっ!!」
「アメル君……?」
「だって、ピストンさんは何もしてないじゃないですかッ!? 帝国の時もそう! むしろ皆を助けてくれたのに……ッ!!」
「……そうだな。旦那は王国でもキンダーバインを退治してくれた。理不尽な理由で冒険者に成れなかったのに、泣き言一つ言わねぇんだぜ? そんな旦那が悪者扱いで拘束されるなんざ、納得しろってのが無理な話だぜ!!」
「ガステロ……」
二人の思いに、僕は思わず目頭が熱くなる。
正確には随所で"腰を振ったり"していたのだが、彼等はそれに見ない振りをしてくれている様だ。
仲間って言うのは、きっとこんな関係の事を言うんだろうな。
「女王の言う功績を挙げる為、僕はドゥカティ迷宮を攻略しようと思っている」
「ドゥカティ迷宮っつーと……此処の近辺に出現したっつー新しいダンジョンの事か?」
「あぁ、知っているのか?」
「さっき首都の正門前で、紅玉騎士団の方々が集結しているのを見掛けましたよ。何でも、すぐに出発するって話で――
「――な、何だとッ!? それは何時の事だ!?」
「本当にすぐの事ですよ。今行けば、まだ間に合うかも……」
「くっ!!」
「あ! ピストンさん!? ピストンさーん!!」
アメル君の叫び声を背に受けながら、僕は二人を置いてその場から駆け出した。
紅玉騎士団――どれほどの実力かは知らないが、先を越される訳にはいかない。
本当ならリブラも連れて行きたかったのだが、彼女を待っている時間は無い。
「急いで、追わないと……ッ!」
呟き、駆ける速度を上げる僕。
しかし、時すでに遅し。
首都の正門前には、騎士団の姿は何処にも無かった。
「すまない。少しいいか!」
「おわ!? 何だいアンタ!?」
近くを歩いていた通行人を捕まえ、焦る気持ちを抑えながら、彼へと質問を口にする。
「此処にいた、紅玉騎士団は何処に行ったか分かるか?」
「あん? 騎士団……? アンタ騎士団の関係者か何かか?」
「詮索は良い、早く教えてくれ!!」
「おっと! 騎士団ならドゥカティ迷宮へと出発したよ。東のアッチュ砂漠を進んだ先にある洞窟さ。行こうと思えば徒歩でも行ける距離だけど、道中には魔物が――」
「――感謝する!」
「あ、おい!?」
東のアッチュ砂漠のその先か。
通行人へと礼を言いながら、僕は目的地へと急ぐのだった。
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