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023 実力試験


「双方の主張は良く分かった。そこにいるピストン君を冒険者ギルドに入れる入れまいの話だと思うが、このままでは平行線だ。何も話が進まない。そこで何だが――この話、僕に任せて貰えないだろうか?」


「あぁ? ネェちゃん、横から入って来て一体何を――」


「ば、馬鹿ガステロ! 口を閉じろ!!」



 その場を仕切り始めた女性の物言いに文句を付けようとするガステロだが、慌てたクリントンがソレを止める。


 ……まるで上司に対する様な態度だな?


 不審なクリントンの様子は気になるが、今注目すべきは目の前のこの女性だろう。


 ただの入国審査官――と言う訳では無いのだろうか?



「すまないね、ピストン君。此処を紹介したのは私だが、どうやら希望通りに事は運ばなかった様だ。謝罪しておくよ」


「そんなのはいらない。貴方は親切にしれくれただけだろう? それに応えられなかったのは、僕自身の問題だ」


「そうか。そう言ってくれるとホッとする……」



 言って、目の前の紫髪の女性は胸を撫で下ろした。


 軍服の生地に締め付けられているが、パッと見ただけでも大した大きさを誇っているのが分かる。


 ……余りじろじろ見るのも失礼だろう。


 話を戻そう。



「任せると言ったが、貴方はこのギルドと何か繋がりが?」


「元冒険者だよ。これでも昔は名を売っていた方でね」


「紫髪の女性の冒険者……? アンタ、もしかして――」


「元Sランク冒険者、リブラ=トレーサー……オメエも名前ぐらいは聞いた事があっただろう? クリントン・ギルドの創設時代に在籍していた唯一のSランク冒険者がコイツだよ」


「!」


「昔の話さ、昔のね……」



 言いながら、リブラと呼ばれた女性は懐かしむ様にギルド内を見渡した。


 成程。道理でギルド長が下手に出る訳だ。



「――で? そんな貴方が何でこの僕に良くしてくれるんだ? 僕と貴方の関係は一度入国審査で会っただけのものだと記憶しているのだが?」


「一期一会と言うだろう? 見知った顔なら手を焼きたくなるのが人情さ。……とは言え、良くするというのは語弊があるな」


「……?」


「私が行うのは君への審査さ。聞けば明らかに弱い加護を受け取った様だけれど、そこにいる大きな彼は君の事を本心から強いと思っている。冒険者として――戦士として見極めたいと思うのは至極真っ当な事だと思わないか?」


「……成程。そういう手合いか……」



 ギラギラとした目付きで此方を見下ろすリブラ。此方へと忖度する気持ちは一切見受けられない。


 バトルジャンキーと言う奴か?

 ヤる気なのだろう。


 ――いいさ、ヤッてやる。


 どの道、選択肢はそう多くは無い。







 試験内容は単純だ。


 元Sランク冒険者――リブラ=トレーサーを相手に善戦出来たら合格という話らしい。


 条件を聞いたクリントン・ギルド長も、渋々と言った体ではあったが、それに了承する。


 場所はギルドの外である。


 元々人通りの少ない場所に建てられていたからか、道を行く通行人の姿も殆ど無い。思いきり剣を振ったとして、咎められる心配も無いという訳だ。



「ガステロ、お前の長剣を僕に貸してくれないか?」


「あぁ、別に構わねぇけど――何でだ?」


「大剣を相手にシミターでは、刃渡りに差があり過ぎる。これじゃあ勝てるものも勝てないだろう」


「……アンタ、もしかして――勝つ気なのか?」


「負ける気で挑む馬鹿はいないだろう?」


「……」


「相手の強さは分かっているよ」



 事前に使用した【解析】スキルの結果を、僕は思い出す。



――――――――――――――――――――――――――


[リブラ=トレーサー LV.42]


 総戦力:2880


 生命力:1000/1000

 魔法力:115/115


 攻撃力:580

 防御力:490

 素早さ:380

 賢 さ:220

 幸 運:95



 スキル:剣術LV.3 身体強化LV.2 威圧LV.3 

     自然治癒LV.2 毒無効LV.MAX 解析Lv.MAX


――――――――――――――――――――――――――



 ――正直、此処まで強いとは思わなかった。


 Sランク冒険者。


 数多の冒険者の中でも、トップに君臨する彼等の実力は遠い。


 ステータスを見て、思わず笑ってしまったのは初めての事だった。それくらい僕とはかけ離れている。


 けれど、良いじゃないか。

 面白いじゃないか。


 元々僕は、()()()()()()()を求めていたのだ。


 壁は、高ければ高い程良い。


 その方が興奮するってものだろう?


 試験なんて、もはやどうでも良い。


 ――ヤッてやる。


 今の僕がどれくらいヤれる男なのか――リブラ=トレーサー。貴方のその身で試してやる。


 ガステロから受け取った長剣を手にしながら、ぶるりと身体を震わせる僕。



 勝負の刻は――近い。



 お読み頂きありがとうございます\\٩( 'ω' )و//


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― 新着の感想 ―
[良い点] カッコよくしめたけど、この主人公の加護はアレなんだよなぁ……w 次回も楽しみです!!
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