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都会だよ

 

「…うわぁ~!

 すごっ!!

 マジファンタジーって感じの街だ!」

 中に入って街並みを見て圧倒されてしまった。

 白を基調とした街並みと活気に溢れた人の熱をおれは肌で感じた。

 前回のおれの記憶ではどこの都市もこんなに活気はなかった!

 人は幸せに向かってる!

 過去のおれ達の戦いは無駄ではなく誰かを笑顔に出来たんだと思うと裏切られたこともどうでもよくなる。


「さて、ゆっくりと見たいけどこの辺りの情報も欲しいからギルドを覗いてみるか…。

 正直ギルドの支部を全部潰したいけど今を生きる庶民は関係ないしなぁ~。

 邪魔されたら潰すってスタンスでいいか。」

 冒険者ギルドのマークは盾と剣だった。


 シンボルで思い出したが、おれのが見当たらないからレナに頼んで見えないとこを見てもらったら右の肩甲骨の辺りに浮かんでいた。

 そりゃ、わからんよな。

 でも、お尻とかに出てなくて本当に良かったと思う。



「おっと、着いたか。

 なんかいかにもな建物と人だな。

 荒事とか粗野って言葉がよく似合いそうだよ。

 まぁ、アグニ時代はおれ自身が粗野で雑な性格だから仕方ないよな~」

 そんなことを呟きながら扉をくぐると一気に視線がおれに集まった。

 しかし、すぐに視線は霧散して元の喧騒に戻った。

 あれ?

 こんなあっさりなのか?

 …あ、今のおれってどう見ても庶民だからか!

 そりゃ庶民に喧嘩売るバカがいるわけないわな。

 嫌われたら依頼が回って来ないんだから。


「あ、すまん。

 この辺りの地図とかってあるか?

 あるなら見たいんだけど。」


「この周辺の地図なら銀貨5枚になります。」

 普通の女性だな。

 こういうところにいるんだからてっきり肝が据わってたりものすごくガラが悪いと思ったんだが…。


「はいよ。

 あ、そうだ!

 ギルドに入ってなくても依頼って受けたりできるか?」


「はい、確かに銀貨5枚ですね。


 依頼ですか?

 受けることは可能ですが、保険という意味で依頼料の半分がギルドに取られますし狩りを行っても買取に響きますし登録せずに依頼を行うのは良いことありませんよ??

 見たところ特に犯罪者というわけでも奴隷階級というわけでも無さそうですし…

 なぜ、登録をせずに受けようと?」


「え?

 そりゃ、ギルドの創設者を裏切るような組織に所属したいわけないだろ?」

 そういった瞬間、そこら中から嫌悪交じりの視線が背中を射抜くが全く駄目だな。

 今のこいつらはきっと低ランクのやつらなんだろう。


「おい!

 ちょっと待て!!

 おとなしく聞いてりゃ、てめぇふざけてんのか!

 創設者のアグニは大罪人だろうがっ!!

 アイツは子供を攫って食って悪神の信仰をするような屑だ!

 死んで当然だろうがっ!!!!

 弟子だった三人衆が討伐しなきゃ一体どれだけの悪行を重ねていたと思っているんだ!?」

 筋肉の塊が話しかけてきた。

 禿げてるしこれは強面だな…


「あぁ、三人衆とか言ってるのかあいつら。


 言っとくがな?

 禿げちゃびん。

 その三人はアグニに破門されてるんだよ。

 娼婦を面白半分に殺してな…



 …全くあんなカスがヒーローとはひどい改変だ。」


「殺すぞてめぇぇぇ!!!!」

 沸点低すぎるだろこいつ

 抜刀しようとしてるし…


「おいおい、おれはギルドに登録してねぇよ。

 一般人に武器を向けたら即登録削除だろ??

 ギルド内における武器の使用も罰金だしさ。


 …あと、怒ると茹でたタコみたいになるんだな。

 その顔色はきっと病気だから医者に診てもらえよ?

 じゃあな。」

 後ろを向いた瞬間、唐竹割りのように一気に振り下ろされた剣筋。

 ヤトは見えてるように剣を半身で避けつつ、すぐ横を通り過ぎようとした剣の腹を優しく押してやる。

 それだけで剣は軌道がズレて、近くに座ってたひょろっとした中年のテーブルを直撃する。


 ーーガッチャーン!!--


 テーブル上の皿やコップが床にぶちまけられた。

 ヤトは剣を振り下ろした態勢の筋肉の頭に片手を置き、惚けた筋肉の頭を一気に打ち降ろす。

 当然、床は割れた皿やらが散乱しておりそこに傷つきやすい顔が当たれば向かう未来はたった一つだけ。


 ーーボキャッ! ザクッ!--


 まず鼻の骨が砕け、顔中に尖った破片が刺さった。

 床に顔面が到達した時点で筋肉の意識は刈取られており叫びは上がらなかったが代わりに全身が痙攣し床はゆっくりと血で染まり始める。

 ここでようやく周りが事態を理解し動き始めた。



「おいおい。

 これはどういうことだ?

 おれは襲われた方でそこで倒れてるのが襲った方だろ?

 武器を向ける方を間違えてるよな?」

 おれを取り囲むのは数人のおれを嘲笑していた奴らだ。

 多分、この筋肉の仲間なんだろう。


「黙れ!

 こんな惨劇を起こしておいてそのまま行けると思ってるのかっ!?」


「うん、思ってるよ?

 だっておれは庶民で武器も持ってない。

 あ、剥ぎ取り用のナイフがあるか。

 だけど、こんなんじゃ武器とは認められないよな?


 それとも…、

 お前ら死んでみる…?」

 言葉を切りおれは殺気を全方向に放出する。

 彼らからすれば侮っていた相手が実は化け物だったという心境だろう…

 今、幾通りのもの死に様を見て心が壊れていて周りを気にしている場合じゃないんだろうね

 今のうちにさっさと出よっと。

 いちいち構うとめんどくさいし。


 ギルドを出て数歩進んだところで気づいた。

「あ!

 依頼受けてない!!」

 全くもって締まらないな。

 出て行ったのに戻る羽目になるとは…

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