第29話 クモみっけ
現実逃避と言う名の小説投稿。
季節外れのクリスマス編です。
Side 山中 淳
「ここや、ここや」
約束のクリパの日、北川を除く1年野球部部員で会場となる神谷家へ。
北川は少し遅れてくるとか。
「おい、山中。
神谷が舞ちゃんと幼馴染ってマジか?」
そういや、そのこと知ってから丸川はうるさかったな。
「おお、ホンマやで」
「見たら分かるだろバカめ」
「あぁ!?
関本てめぇ、俺様にケンカ売ってんのか!?」
「うるさい、近所迷惑だ」
「きょ今日は仲良く行きましょうよ、ね?」
テンパリ過ぎやで桜井。
「さて、入るか」
一応、インターホン押すのが礼儀ってもんやろ。
………応答なしやと?
「おい、山中、時間合ってるのか?」
「合ってるはずやで、間違いなくこの時間の『どちらさま?』お、出たか」
神谷の声が若干、いつもと違うのは気のせいだろうか?
「わいらや、家入れてくれ」
『……分かった。
玄関あいてるから勝手に入ってくれ』
「じゃ、お邪魔しまーす」
この靴サイズが小さいな……斉藤のか。
「おい、神谷ぁ!」
「な、なんだ!?」
神谷の奴、驚き過ぎやろ。
「舞ちゃんはもう来てるのか?」
「んあ……あー、もうすぐ来るんじゃね?」
はぁ? じゃあ、あの靴は一体……
「山中、気づいてるか?」
丸川の言葉に頷く、神谷をよそに関本が耳元でそっと聞いて来た。
「なんや、関本?」
「玄関にあった靴、あれはおそらく斉藤のだ。
と、なるとこの家に居ることになるが、神谷の発言にあの少し挙動不審な言動。
怪しくないか?」
「そうやな……少し、探るか。
神谷ぁ、お前の部屋って2階か?」
「え……?
おぉ、そ、そうだけど?」
「関本、決まりみたいや」
このアホは家で一体何やってたんだか……
「そのようだな、神谷、お前の部屋を見せろ」
「そ、それより、準備しようぜ」
「アカン、お前の部屋が先や」
「今は汚いからダメだ」
「関本、桜井。
ちょっち、抑えとけ」
「な!? 離せ、お前らぁ!」
さて、見に行くかの。
「いくで、丸川」
「おう!」
「やめろぉ! 開けるなぁぁぁあ!」
そんな、言われ方したら好奇心そそられるわ。
神谷の部屋のベッドで斉藤が寝てたら、面白い話のネタに……
―ガチャ―
「え……?」
「な……?」
「あ……」
そこに広がっていたのは、予想外の光景だった。
「ス、スマン!!」
Side out
あぁ、ややこしい話に……
別にやましいことはしてないのに。
「神谷ぁ!!
お前、家で何やってたんや!!?」
「殺す!!」
落ち着け2人とも!
特に丸川!
「殺す」は言い過ぎだ!
「待て、待て、待て!
俺の話を「死ねぇぇえ!」ぐは!」
やろぉ……本気で殴りがやがったな。
「さーて、神谷。
事情を説明を説明してもらおか」
「山中、お前ら何を見たんだ」
「……Tシャツ1枚姿の斉藤や」
「か、神谷君、不謹慎です」
「ま、待て……俺の話を聞け」
「遺言は短めにしとけ」
俺はなんでいじめられてるんだ?
「いいか、よく聞けよ」
話は、山中たちが来る数分前にさかのぼる。
「なぁ、舞。
これ、どこに置いとけばいい?」
「ん? その辺でいいよ」
クリパのために、俺と舞は飯の準備をしていた。
来る人数が多いので、俺が舞を手伝っていた。
「愛は結局どっちなんだ?」
「来るって、あの子毎年楽しみにしてるから」
「愛もまだまだ、ガキだな」
「それは、あんたもでしょ。
それより、早くしないと間に合わないわよ」
ホントだ、時間がもう無い……あ、クモだ。
「クモみっけ」
「うそ! どこ!!?」
そーいや、舞はクモが苦手だったな。
「お前の足元にいるぞ」
「いやぁ!」
少し、からかってみたら、激しく転倒。
拍子に近くに置いてた牛乳を頭からかぶった。
「お前、何やってんだよ!」
「だってぇ、クモだめなんだもん」
そんな、半泣き状態で言わなくてもいいだろ。
「いいから、シャワーでも浴びて来い!」
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舞に俺のジャージを貸してみたが、当然サイズが大きいみたいだ。
「大きすぎない?」
「文句言うな」
「……功って、部屋に服あったよね?
ちょっと、着替えてくるから、皆きたらよろしくね」
「お、おう」
この直後インターホンが鳴り、今に至る。
思い返せば、「着替えてるから」と一言、言えば万事解決したんじゃないか?
「あれ? 沙希ちゃんは?」
俺たちの前に現れたのは、ジャージ姿の舞。
結局着替えなかったのか……俺殴られた意味なくね?
「遅れてくるそうや。
それより、斉藤、さっきはその……すまんかったな」
山中はそう言って、顔の前で手を合わした。
丸川は……目を閉じ天の仰ぎ、何やら妄想中。
何を考えてるかなんて言うのは、大体想像つくが。
「え? 別に気にしなくていいよ。
そこの功が悪いんだし」
なんですと?
「おい、こら、ちょっと待て。
俺が悪いってどうゆうことだ?」
「だって、そうでしょ?
女の子が着替えてる部屋に男を入れるなんて、情けないやつだわ」
「女の子? それは誰のことだ?」
「っ! そう、土に帰りたいみたいね」
やば、山中たちが居る前では何もしてこないと思っていたのに!
「ま、待て!
おちつ、「ふっ!」うわぁぁぁあ!」
背負い投げだと?
いつの間にそんな……投げ技を……
しかも、おまけに肘を腹に落としていきやがった……
「さっ、皆、中に入って。
そこに倒れてるバカはほっといて」
皆、俺をそんな哀れな目で見ないでくれ。
「神谷、舞ちゃんっていつもああなのか?」
「学校とのギャップに驚いてんだろ?
まぁ、あんなもんだ、だから、舞を狙うのは、やめとけ丸川」
「いや、気の強い女の子の方が俺は好みだぜ!」
丸川Mだったのか。
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