第28話 クリスマスの予定は?
「くそ、このメニュー絶対俺を殺す気だろ」
肌寒さが増し始めた12月、年内の練習試合もすべて消化し練習はオフシーズン独特の地味で苦しい基礎トレ中心。
ただし、俺だけ加地先生特製の特別メニュー、ただし、このメニュー半端なくきつい。
「どうした? もうギブアップか?」
しかも、走りこみ以外の時は加地先生が監視役で練習を管理する。
そんな、目を光らせなくても逃げませんって……
「まだまだ、行けますよ」
「そうこなくてはな。
お前には夏頑張ってもらわないといけないしな」
自覚しております。
「夏は絶対負けません」
そうさ、俺には足踏みしている暇は無いんだ。
過去は消えない、それでも前へ進むと決めたのだから。
「神谷、貴様クリスマスの予定は?」
部活の帰りに1年全員で寄ったファミレスで隣に座る丸川が話しかけてきた。
「ん? 今のところは何もないけど」
「ホントか?」
「嘘をつく理由が無いだろ」
「よし、じゃあ、クリスマスはお前の家でパーティだな」
……なんですと?
「俺の分析では神谷は1人暮らしだろ?
だから、騒いで家の人に迷惑のかからないお前の家だ」
解説と分析ありがとう。
そして、俺への迷惑は考慮しないのか?
「すいません! お酒とかは持ち込みませんから!」
そこは関係ないだろ、桜井よ。
「まぁ、あきらめろや」
「神谷君の家、行ってみたい」
貴様らには、遠慮と言うものが無いのか?
「ふざけんなぁぁぁあ!!
なんで、いちいち俺の家なんだ!?
あと、理由が意味わからねぇだろ!!」
「何か困る理由でもあるのかな?」
やべぇ……北川が今以上黒いと思ったことねぇ。
何か言い逃れ出来る理由を考えろ。
このままでは俺の家がパーティ会場になっちまう!
「何も無いね、じゃあ決定♪」
「「「イエーイ!!」」」
そんな盛り上がることかお前ら?
結局断れなかった……嫌じゃないんだけど、問題がっと言うより高い壁があるんだよなぁ。
「功、今年のクリスマスはどうするの?」
「今年もこうにぃの家でパーティでしょ?」
お前ら姉妹が俺の家に居ることに違和感が無くなってきたな。
そう、今俺の直面している問題とはこの何故か恒例となった俺の家でのプチクリパ。
いっその事、一緒にするか?
おぉ、そうすれば一気に問題は……解決しないな。
丸川に俺と舞が幼馴染だと言うことは言ってない。
言ったらアドを教えろだのしつこそうだからな。
つまり、その場に舞が居ると俺が丸川にやられることに……
「それなんだが、今年は無しだ」
「え!? なんでこうにぃ!!」
「愛ももう中3でもうすぐ受験だろ?
それに俺と舞はもう高校生だ。
クリスマスぐらいお互い静かにだな「言い分はそれだけ?」はい!?」
んな!? 何故、舞の奴は指を鳴らして戦闘態勢に入っているんだ!?
もしかして、ここが俺の命の終点?
認めん、俺は断じて認めんぞ!
「待て! 落ち着くんだ!
早まったことするんじゃない!」
「何、言ってるの?
あたしは極めて冷静ですけど?」
顔は笑っているが、覇気がみなぎっている。
危険だ、俺の命は極めて危険な状況だ。
……開き直るか。
「実は……」
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「……と、言うわけだ」
舞の覇気に負けて、すべて話してしまった……悪いことはしてないはずなんだが、なんか尋問に負けた気分だ。
「一緒にすればいいじゃない?」
「えー! やだやだ!
断ってよ……こうにぃ」
くっ、相変わらず愛の上目づかいは強力だな。
しかし、約束してしまった手前断ると言うのは俺の信用に関わる気が。
「功、沙希ちゃんも来るんでしょ?」
「北川? あぁ、その予定だな」
気のせいだろうか、愛が北川の名前に反応したのは。
「だって、どうするの愛?」
「……こうにぃ、愛の言うことなんでも聞いてくれる?
聞いてくれたら、合同クリパで我慢する」
なんでもだと?
この上なく危険な香りがするんだが……なんとなく、ムフフな展開があるような気も……
「何、考えてんの!」
「ぐふ!」
何故、俺の思考は舞に筒抜けなんだ?
読心術でも、使ってんじゃないかと最近疑いたくなる。
「あんたは全部顔に出てんのよ。
愛を変なことに巻き込まないで」
「勝手な言いがかりはやめ「でも、愛はこうにぃが初めての人だったらいいな」は!!?」
おいおい!
この中3何言ってんだ!!
「愛、あんた意味分かって言ってる?」
さすがの舞も顔が引きつっている。
「うん、学校でそれくらい習うよ」
あぁ、純粋なままで育って欲しかった……
「功! あんたが変な物持ってるばかりに愛に悪影響出てるじゃない!」
「ふざけんな! お前の教育不届きだろ!
俺に責任押しつけんな!」
「あんた、これ以上言うなら、また捨てるわよ」
隠した場所に無いと思っていたらお前か!
「人の部屋に勝手に入るなと言っただろ!」
「だったら、変な物置いとかないで!
見てるこっちが恥ずかしいでしょ!」
「見なきゃいいだろ!」
「まいねぇはきっと、こうにぃがどんな属性持ってるか気になるんだよ」
は!?
この爆弾娘は何言ってんだ?
一応言っておくぞ、俺は年上属性だ。
「愛、あんたこれ以上何か言ったら力ずくで黙らせるわよ」
「だって、本当のことでじゃん。
まいねぇもこうにぃのこと気になって仕方ないもんね」
意味は深く考えないでおこう。
「……ちょっと、こっち来なさい」
おぉ、舞の顔が耳まで真っ赤だ。
愛のやつ、地雷踏んだんじゃね?
「え!!? やだ、まだ死にたくない!
助けてこうにぃ!」
許せ愛、俺の力ではどうにも出来んのだ。
「まいねぇ、ごめんなさい!
謝るから許して、お願い!」
愛は最後にそう懇願しながら、舞に引きずられていった。
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