番外編 一
「お待たせしました」
「香楽ちゃん! 良かった! 霊魔の幹部に襲われたって、倒れたって聞いてたから!」
「望さんにも、ご迷惑をおかけしました」
「全然、気にしないで! 明日は休みだしね!」
そんなこんなで始まってしまった、姉ちゃん主催の、夏の夜の餃子パーティー。
日付が変わる少し前という時間に、餃子を作る姉ちゃんは、思いっきり夜の変なテンションだろう。
「んま! のぞみん、これ大葉入り?」
「うん! 全部ひき肉と大葉だよ。水餃子は買ってきたやつだけど」
『それにしても、この量は凄いな』
「家で作ってきたからね。皆疲れてるだろうし、お腹空いてるかなって」
それにしたって、限度があるだろと、風吹に言われる始末。
山盛りの大皿二つは、さすがに言われるよな。
「姉ちゃん、これはさすがにヤバいって」
「望さんは、無性に作りたかっただけなんだぞ。餃子食べたかったんだぞ」
「姉ちゃん。夜の変なテンションは、今はダメでしょ」
「うぅ。飲みたい。ので、買ってきました! チューハイのレモンとグレープフルーツ! あと黒ビール! 朔と香楽ちゃんには、アルピスの原液と炭酸水!」
『黒ビールか! 望、分かってるな!?』
「風吹さん、黒ビール好きだしね。晩酌好きだもんね!」
こうして、大人たちは酒盛りを始め、俺たちはアルピスの炭酸割りを楽しむのだった。
「ところで、のぞみんと朔君は、どこで寝る? 部屋無いんだ。今気づいた」
「あたしは、てっきり晴斗きゅんの部屋だとばかり……」
『おいおい。さすがにこれ、全年齢だぞ?』
「手ぇ出さなきゃ、全年齢だから。風吹さんの心配には及ばないよ。ね、のぞみん」
「そうそう。晴斗きゅんは、そんな簡単に手出さないよ」
こんな会話をしている時点で、年齢指定いるだろ。なんて考えていれば、もちろん俺の話に変わっていく。
『少年はどうするんだ?』
「朔君は……」
「空木君なら、私の部屋で。さっき話したから、大丈夫」
一瞬、この場の空気が凍ってしまったように感じた。一瞬ではないかもしれないけど、とにかくこの場から、逃げたい。
『思春期真っ只中の、男女が一晩同じ部屋など、許されないだろ』
「うんうん。俺とのぞみんの関係ならまだしも、何も無い二人が、何かあったら、これこそ年齢指定必須案件」
ですよね。風吹と晴斗さんの言う通り。健全な高校生ならば、考えられますよね。
「何も無いから、良いでしょ? それに、今は空木君と一緒にいたいの」
「香楽、お前まさか」
「そうだよ。ダメなの? 法律上、何も問題無いでしょ?」
「香楽ちゃん、本気なんだね」
「はい。望さん」
「朔だし、大丈夫だと思うよ。」




