月曜日・駒 4
一人の青年は息を顰め、そして、最上階を目指していた。
階段を上るたびに酷くなる頭痛に、間違いなく何かがあるような気がした彼は自分の勘を信じて一人上へと目指す。
「拙いな……。」
彼は上を伺うとそこには複数の人影が見えた。
このまま強行突破した所で無駄な体力が奪われる上に、本当ならば無関係である人を傷つけたくなかった。
青年はせめてもう一人くらいいればと思うのだが、その思い当たり人物には頼りたくなかった。
何せ、彼には恨まれている。
それは当然の事だから彼はそれを受け入れていた。
「だけど……、このままだと時間が。」
刻々と迫りくるタイムリミットに青年が苦渋の表情を浮かべる。
そして、青年が考えている内に運悪く、上にいる人影が動き、下に降りて来た。
青年はそれに気づいて音を立てないように下のフロアまで降りた後、注意しながら近くにあった空き部屋に身を潜ませた。
「どうするべきか……。」
青年が顔を顰めていると、物音が大きくなる。
「ひっ!」
「見つかったんだ、腹括れっ!」
女性の引きつった悲鳴と聞き覚えのある怒声に青年は嘆息するが、その表情はどこかホッとしていた。
何かを決意した彼は顔を上げ、外に飛び出した。