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ダークネス・ゲーム  作者: 弥生 桜香
第五章

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水曜日・過去 4

 六人が揃ったのは智里たちが待ち始めて三十分後だった。


「遅いわよ。」

「仕方ないじゃない。」


 前にも同じようなやり取りをしたような気がした友梨は胡乱な目で智里を見る。


「何かしら?」

「何でもないわよ。」


 友梨はこれ以上智里と喧嘩というか、言い争いをしていても時間だけが無駄になってしまうので大人しく引く。

 一方、智里は何か言いたげな顔をしてでかでかと溜息を吐いてまるで、友梨を挑発しているのではないのかと疑いたくなるような行為に出ている。


「まあ、時間もない事だし、今回は何も言わないで上げるわ。」

「……。」


 いちいち嫌味な事を言わないでよ、と言いたげな友梨はその表情を読まれたくなかったのか、智里から視線を外し続ける。


「みんな揃った事だし、そろそろ向かわないかな?」

「そうだな。」


 気を使っているのか勇真と涼太がそう言い、友梨は頷こうとした瞬間、頭に衝撃を受ける。

 何事だと、衝撃を受けた方を見れば、呆れた顔をした昌獅がいた。


「何?」

「んな面をするくらいなら言い返せばいいじゃねぇかよ。」

「……。」


 友梨は自分がどんな顔をしていたのかと、己の顔に両手を持っていき考える。


「何か言いたげな顔をして、思いっきり不機嫌な顔してたぞ。」

「………。」


 顔にやっぱり出ていたか、と友梨は苦虫を噛み潰したような顔をする。


「ほら、今だって出ている。」

「………。」


 友梨はいちいちそんな事を言わなくともいいじゃないかと、睨みつけるように昌獅を見上げる。


「……はぁ……。」


 昌獅は友梨の視線を受け止め、溜息を零すと彼女の頭をまた軽く叩く。


「思っている事を飲み込んでばかりいると疲れないか?」

「………。」

「何か言えよ、言っておくけど、俺にはお前が言いたい事が分からん、それはお前が言葉を出さないからだ。」

「……。」


 友梨は何か言いたげに、口を開こうとするが、すぐにその口を閉ざす。

 言いたくとも何も言えない、何か言ったところで、何が変わる?

 智里に文句を言ったところで、彼女の口から戻ってくる何十倍返しの殺傷力のある言葉をその身に受けるくらいなら黙っている方がマシだし。

 文句を言ったところで、誰かを不愉快にさせるだけ。

 それならば私が言葉を飲み込めば誰も傷つかないし、不快にさせない。

 友梨は暗くなる胸の内の言葉に飲み込まれていた。そして、それに気づいているのか、昌獅は眉を寄せて彼女の頭をわしづかみにする。


「痛い痛いっ!」

「黙ってられる方が不愉快だ。」

「えっ?」

「文句があるなら文句を言え、何か言いたそうにしているのに、何も言わない方が気がかりだし、それに気になる。」

「……。」

「だから、口を閉ざすな。」


 昌獅は友梨の頬を掴み横に引っ張る。


「いひゃいっ!」

「昌獅っ!」


 二人のやり取りに気づいた勇真がギョッとなって昌獅の名を呼ぶ。

 昌獅は嫌な奴に見られたというように顔を顰め、友梨の頬から手を離す。


「何をやっているんだ。」

「別に。」

「友梨ちゃん大丈夫かい?」


 勇真に心配され、友梨は戸惑いながらも小さく頷く。


「友梨ちゃんは女の子なんだからも少し、丁寧に扱わないと嫌われるぞ。」

「こいつが頭悪いから体で覚えさせてんだよ。」

「昌獅。」

「行くぞ。」


 昌獅は勇真とのやり取りが面倒だと思っているのか、友梨の手を引いて歩き出す。


「な、な……。」


 戸惑う友梨は足が縺れそうになりながらもしっかりと昌獅の後を追い始めた。

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