月曜日・第一ゲームの行方 10
昌獅は自分たちに襲い掛かる人を一人地面に沈めて、ごくごく普通の少女である友梨のいる方向を見て凍り付いた。
否、凍り付く暇もなく、駆けだしていた。
友梨に向かって振り下ろされるカッターナイフ。
確実に他の敵と違って自分たちが傷つく。
現に、友梨は避ける事も出来ず、反射的に身を守る為に顔を腕で護っている。
相手が素人だったために、昌獅はカッターナイフが彼女に到達する前に彼女を害そうとした相手の手を払いのけ、カッターナイフを奪い取る。
そして、怒りの感情のまま殴り、凄い音がしたが、全てを無視して友梨を見る。
傷一つない友梨に昌獅は安堵する。
「この馬鹿。」
口からは彼女に対しての思いやりの言葉ではなく、罵り言葉だった。でも、その声音は何処までも優しかった。
友梨は恐る恐るというように目を開ける。
緊張の糸が切れたのか友梨の目から涙が一粒零れるのをきっかけに、次々と涙が溢れ出す。
強がっていた友梨の印象が強い昌獅はまさか泣き出すとは思ってもみなかったので、軽く驚くが、すぐに、考えを改める。
友梨はただの少女なのだと。
恐怖に怯える無力な少女。
だけど、無力なりに彼女は頑張っている、
それを知っている。
だから、昌獅はワザと突き放すように言葉を紡ぐ。
「……まだ、終わっていない。」
それは自分に言い聞かせる言葉。
今ここで友梨の無事を喜んでいても、時間内に事が終わらなかったら、意味がない。
自分の意思がなく、襲ってくる人形みたいに操られる人の数人か友梨の状態に気づいているのか友梨に向かって襲い掛かろうとしている。
昌獅は僅かに顔を歪め、そして、彼女を守るためにも戦場に舞い戻る。
しばらくして、彼女が何かつぶやいたと思ったら、真っ直ぐにアレに近づく。
ああ、やっぱり。
「ここで、へたばるタマじゃなかったな。」
どこか嬉しそうにする昌獅は早くか友梨に手を貸す為に次々と伸していくが、屋上に繋がる出入り口から次々と人がやってくるので、それは難しかった。
「……。」
昌獅は小さく息を吐き、周りを見渡せば最初にいた、連中は全員転がっている。
すぐには起き上がれないと判断し、昌獅は叫ぶ。
「おい、勇真。」
嫌いな相手だが、自分と彼がどちらがこの役に向いているのか昌獅は分かっている。
「俺は出入り口からやってくる奴らを相手にするっ!」
言葉と共に繰り出される拳はまた一人沈める。
「だから、友梨に手を貸せっ!」
相手の返事何て聞く気はない。
どうせ、「でも、それだと」と言って渋るに決まっている。
「それをどうにかすれば終わるんだ、四の五の言わず、こっちは俺に任せろ。」
意識を完全に出入り口に絞った瞬間、後ろから声がしたような気がするが、昌獅は完全にそれを聞かなかった。
それでも、昌獅は勇真は「分かった」と言っているような気がしたのだ。
あと少し。
あと少しで決着がつく。




