第66話 優秀すぎるメンバー
ランペルツォンは上を向き、黙った。
そして、ヒロに再び語り掛けた。
「分かった。
他の案を検討しよう」
マーテルが割って入った。
「他の案って言っても…魔道具の制御はどうしましょう?
ヒロさんが複雑な制御を嫌うのであれば、簡単にサンダーボルトの発動位置制御する必要がありますが、できますかねぇ…?」
ヒロがうなった。そして、メグに問いかける。
「確かに、そうですよね…
メグさん、矛の形を変えたり、兵器の形状が変わるとしたら、簡単にサンダーボルトの発動場所を制御する方法があったりします?」
メグが言葉を返す。
「複雑な制御を減らすなら、魔道具と矛を直接引っ付けてしまえばいい。
矛に魔道具がある場所をサンダーボルトの発動場所にすれば簡単」
その言葉に、マーテルが焦ったように言う。
「いや、魔道具は結構デリケートなものですよ!?
矛に付けて一緒に飛ばしたりしたら、変なところにぶつかっただけで壊れてしまいますよ…」
「いや、待て」
ランペルツォンが言葉を投げかけた。
「電撃を通す線を兵器の本体と矛でつなぎ、その線を通じてサンダーボルトを流せばどうだ?」
マーテルがはっとした顔をした。
「おお、魔法制御プログラムではなく、物理的に導線を作って制御する、ということですね。
そのほうが、確かに簡単です。
なまじ詳しいと、そんな単純な方法は思いつかないもんなんですねぇ」
結局、物理的な線を矛と兵器に繋ぎ、サンダーボルトを導線を通じて流すという仕組みで確定となった。
会議が終わった。
ヒロは、メグとマーテルの案を潰してしまった点を懸念していた。
が、マーテルはケロっとした顔で去って行った。
複雑な制御の魔道具、というのも彼にとって面倒だったのかもしれない。
一方で、メグが、少し悔しそうな顔をしていた。
ヒロは、他のものが去ったことを確認してから、メグに話しかけた。
「メグさん。
…怒ってますか?」
「怒ってない。
ただ、歯がゆい」
「歯がゆい?」
「はやくゾームを倒して、エルザスのことを突き止めたい。
そのためなら、私は何だってする。
でも、ヒロがいうみたいに私の魔法は複雑なものが多い。
力になれない…
そう思うと、歯がゆい」
ヒロに、メグの苛立ちが伝わってきた。
メグにとって、ゾームは兄に何が起きたのかを知る、唯一の要素だ。
はやく、ゾームに接触し、なんらかの情報を得たいはずだ。
だが、満月の夜に備えるしかない今の状況で、メグができることは兵器開発に全力を注ぐことだけなのだ。
ヒロはメグに申し訳なさを感じた。
同時に、メグの力を活かしきれていない自分に苛立ちを覚えた。
メグの実力はこのプロジェクトには宝の持ち腐れかもしれない。
プロジェクトから、抜けたいですか…?
ヒロはそう聞こうと考えた。
だが、それこそゾームという手掛かりからメグを遠ざけることになる、最悪の選択肢だ。
プロジェクトというエネルギーの向け先がなければ、メグが湿地帯の洞窟に単身で突入し、命を落としてしまうかもしれない。
ヒロはプロジェクトマネージャーとしてのふがいなさを嘆いた。




