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異世界×プロジェクトマネジメント  作者: 爽一郎
4章 設計構築すべし
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第65話 その場しのぎで物事を考えるべからず

「ええ。

 100年前も、今回のゾームのようなモンスターが王都に現れたという記録があります。

 もし、100年毎に現れるモンスターだったら?

 100年後に、このメグさんとマーテルさんが作った超複雑な魔道具を、再現できる人がいるのでしょか?

 プロジェクト目的は”ゾームから王都の人々を守る”なのです。

 それは、一過性のものではありません。

 100年後にも設計図があれば作れるものにしたい」


100年後には新しい魔法や技術ができているかもしれない。

だが、正直言ってこの世界の技術革新の速度は、ヒロが元居た世界に比べて格段に遅い。

そう考えると、100年後も同じような対策で挑むことになる可能性はある。


「ヒロ、お前は…

 100年後のことまで考えているというのか。

 プロジェクトの達成条件は、三度の満月、それぞれで犠牲者を3人以下にすればよいだけだというのに…」


ランペルツォンが目を見開いてヒロに言葉を投げかけた。


「正直、100年後のことまで考えたプロジェクトは初めてですけどね。

 確かに、プロジェクトの達成条件はおっしゃる通りです。

 ですが、その目的は何かと言えば、ゾームから王都を守ることです。

 三度の満月さえ耐え忍べばプロジェクトは解散できるかもしれませんが、その先もゾームに対抗し続けることができなければ、結局意味がない。

 その場しのぎでプロジェクトを完了させては、真摯ではないですよ」


プロジェクトの目的とは、一過性のものと継続性のものがある。

例えば、これまでにない革新的なメガネを作る、という目的であれば、それは一過性だ。

メガネを作って市場に投入すれば終わる。


だが、安定して新しいメガネを作り続ける仕組みを作る、という目的であれば、継続性のある目的となる。

この場合は、プロジェクトで仕組みを作った後も、その仕組みの運用は続いて行く。


今回のゾーム討伐は、継続的にゾームから犠牲者を減らす仕組み作りだ。

継続性のある目的なのだ。


プロジェクトが解散した後も、その目的が達成され続けるように、考えなければならない。

でなければ、一瞬は目的が達成できる急場しのぎの仕組みを作ってしまう。

プロジェクトマネージャーが逃げ腰だと、早くプロジェクトを終わらせたいがために、継続性を考えない場合が良くある。


ヒロが元いた世界でも、継続性を無視した、制御が複雑なシステム開発は多く目にした。

いわゆる、ブラックボックス化したシステム。

作った人しかわからない、属人化した仕組み。

そんなシステムは、次の世代に問題を残す。


だからこそ、プロジェクトマネージャーはプロジェクトに最も真摯に向き合わなければならないのだ。

ヒロは、それを強く意識していた。


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