第39話 素人考え
「えっと…
ゾームの胸に刺さった剣に、メグさんの雷の呪文を当てるとか…?」
一同が黙った。
ヒロはさらに焦る。
「す、すいません。
素人の発言ですから、気にしないでください!」
「なるほど。
悪くない考えだわ。
魔法を防ぐバリアは表面にあるようだから、剣を通して体内に魔法を送り込めば確かに…」
サレナから、ヒロの予想に反して肯定的な反応が返ってきた。
「確かに、やってみる価値はあるかも」
メグが言う。
ジュドーも、うなずいている。
「では、少し目くらましをして、その間にメグさんに雷の魔法を詠唱してもらいましょうか」
マーテルはそう言って、小さな球を取り出し、ゾームに投げつけた。
煙幕がゾームに当たった球からもくもくと吹き出し、あたりは暗視越しでも何も見えなくなった。
だが、ゾームの赤い目の光が煙のなかで不気味に輝き、ゾームの位置だけは分かる。
ヒロの横で、メグの魔法詠唱の言葉が聞こえる。
煙が晴れてきたころに、メグは杖を高く挙げ、叫んだ。
「サンダーボルト!」
稲妻がゾームの頭上から落ちる。
見事に、胸に刺さった剣に命中した。
キィィィィ!
大きなゾームの金切り声。
少しゾームはじたばたと手足を動かした後、足の力が抜け、蜘蛛の胴体を地面に付けた。
そして、人間の上半身はうなだれるように前に倒れた。
ビクッビクッとまだ動いているが、こちらを襲う様子はなかった。
ジュドーは近づき、さらに念入りにと人間部分の首を跳ねた。
ようやく、ゾームは完全に動かなくなった。
「やるじゃないか。
ナイスアイディアだったぞ、ヒロ」
ジュドーがヒロの肩をたたきながら言う。
「あ、ありがとうございます」
ヒロはそう答えつつ、めまいがして地面に座り込んだ。
おとりとなって全力でゾームから逃げ、そのまま緊張状態でゾームとの戦いを観察し続けたのだ。
集中力が切れて、力が抜けた。
「お疲れ様。
ただ、ここに長居していると仲間が来るかもしれないわ。
ゾームの一部を持って、さっさと見晴らしの良い場所まで抜けましょう。
なんにせよ、あなたは戦ってはいないけど、大活躍よ」
サレナがヒロに手を差し伸べつつ、そう言った。




