第16話 魔力の根源
ヒロは思った。
この世界にはプロジェクトという言葉も、概念も無い。
この世界の人々は、何かをする時には、基本的に既存の組織の中でやり切ろうとする。
ギルドならギルド内で、王国兵団なら兵団内で、商工会なら商工会内で。
いわゆる縦割り社会だ。
だが、それでは達成が難しい目的がある。
プロジェクトは、普段の業務では対応できないもののために発足するものだ。
普段の通りの対応でこなす事ができる仕事であれば、既存組織で対応ができる。プロジェクトなんていらない。
だが、今回の未知のモンスター対策は、まさに普段の通りでは対応できない仕事だ。
立ち向かうには、組織を横断したチームが必要となり、それがプロジェクトチームとなる。
業務改善然り、システムの開発然り、未知のモンスター討伐然りだ。
グレンダールは、この世界にいながらもプロジェクトの概念を否定しない、柔軟な考えの人物に思えた。
この人が総指揮なら、王国は安泰かもしれない。
しばらく今後のことを話し、ヒロとジュドー、そしてランペルツォンは応接間を後にした。
ヒロとジュドーの後ろに、少し離れてランペルツォンが歩く。なんだか、ヒロが嫌われているようだ。
「ヒロは、やっぱりいろいろ知っているな。なんか、かっこいいぜ」
ジュドーがヒロに言った。
「まぁ、こんなことばかりして生きてきましたから」
そう言いつつ歩いていると、白い髭の魔導士が前に立っていた。
魔導士ケルンだ。
王国一の魔導士と呼ばれる、王宮仕えの魔導士である。
ヒロが初めて王宮に来た時、ケルンにあれこれ体を調べられたことを思い出す。
「お、お久しぶりです」
ヒロは、恐る恐る挨拶をした。
ケルンは元々落ち着いた雰囲気だが、ヒロを調べている時は集中しているのか、全く話さなかった。
ようするに、会話をしたことがない。
「おぬしが来ると聞いてな。待っておった。伝えたいことがある」
意外な言葉がケルンから飛び出した。
「私にですか?ジュドーさんじゃなくて?」
「ヒロ、おぬしじゃ。
おぬしの魔力の源が分かった。」




