第101話 苦境
「誰を探すって?」
少し距離を離し、エルザスが数十体のゾームの群れを引き連れて立っていた。
「エルザス!!」
ヒロは叫んだ。
キラーマンティスとの戦いに夢中で、近くまでエルザスが来ていることに気が付かなかった。
「探す前に、来てやったぜ。
どうだった?キラーマンティスとの戦いは?」
まずい、この量のゾームは想定していない。
まさか第三波としてゾームがまだ来るとは考えていなかった。
討伐隊も、連戦には慣れていない。
ヒロがキラーマンティスに後ろをとられたように、疲労によって遅れをとるかもしれない。
そして、もうヒロの魔力はない。
ジュドーも回復したとはいえ満身創痍。
まともに戦えるのはメグのみ。
この想定外の事態に、どう立ち向かえばよいのか。
ヒロが悩んでいると、ジュドーがふらつく体を引きずりながら、ヒロの前に立ち上がった。
「ヒロ、お前は逃げろ」
ジュドーがヒロに言った。
「このゾームの数に、エルザスですよ!?
そんな体で、どうするんですか!」
その言葉を聞いたジュドーは、エルザスに体を向けたまま、顔を横に向けて答える。
ゆっくりと、頼むような口調で。
「いいか、お前は死ぬべきじゃない。
ヒロはこの世界に必要な人間だ。
ヒロがいたから、俺たちはここまでやってこれたんだ。
一度目の満月で無残にやられてたかもしれない」
「あなたは、きっと戦いの邪魔。
逃げて、生きて」
ジュドーとメグの言葉がヒロにしみこんでいく。
それでも、ヒロは逃げる気にはなれない。
「俺たちだって、死ぬつもりじゃないさ。
生き残って見せる。
ただ、プロジェクトマネージャーを死なせるわけにはいかないからな。
ここは、俺たちに任せろ」
そのジュドーの言葉を聞いたとしても、二人とも死ぬ気だと、ヒロには思えた。
ヒロはどうしようもなく後ずさる。
実際、魔力がない今のヒロにできることなんて、逃げることだけだ。
だが、足が動かない。




