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見合い

見合いって1:1じゃないんですか?

そんな疑問に襲われた聖名明です

俺はただいま見合いパーティに潜入…違った、参加しています。


見合いって言うから鹿威しカコーンを思い浮かべてしまったけどここは異世界。

じゃあ1:1でティータイム的な? と思いきや…。



来たところはパーティ会場でした。

あれ? でも男俺と騎士団長だけなんですけど…?


「…あのー…」

「主役のお出ましだな」


正装! と言われながら着た服は正直七五三。

タキシードってそれなりに着たことあるんだけど(料理の説明とかで)、こちらの世界のタキシードはでかくてですね…。

騎士でもない俺はそんなに筋肉もないのでなんか着せられてる感が否めない。


ま、そんなのはどうでもいい。

明らか2桁単位の女性陣がドレス姿でいるわけで、会場がでっかいから複数の婚活パーティみたいなの?

と予想した俺を裏切ってこの会場、独身男はどうみても俺一人。


そして女性陣の視線は俺に釘付け!

やめて!

そんなに見られたら穴あいちゃうから!!!


…ええと…。

この状態は、つまり?


「…お相手は…?」

「全部だ!」


…ぜ・ん・ぶ・だ・と?


「あの。俺一介の料理人、なんです、がー…?」

「神鳥の御使いに対しての見合い殺到だから、何の問題もねーぞ」

「そこ!? そこですか!?」


まさかの神鳥によるステイタス!

強いとしか聞かれてない得体のしれない人間だったら大して来ないと思っていたのに…!

落とし穴にも程があるだろ!?


「あの俺ー…そんなオプション扱いなら帰って」

「まあまて」


がしぃ!!!

と音が出そうなほど早く腕を掴まれ、抵抗して怪我をさせるのも強さアピールになって大変な事になりそうで、結局諦めて俺は振り返る。


「切っ掛けなんてなんでもいいんだ! とりあえず全員と話して行け!」

「………」


目の前には華やかな集団。

その人数、多分2桁(しかも後半)

………全員と、話せ、と?



ぽぽーん。

『クエスト:お見合いに行こう【強制】』

『内容:フラグは複数に立つから頑張ってねー!!! 後のこの世界は一夫多妻可能ー! きゃー!』


頑張れるかああああああああああ!!!!!

逃げる!

絶対逃げる!


「あ、ちなみにここは王様の権限で厳重警戒されてるから」

「…は?」

「逃走出来る時点で戦闘能力も折り紙つきになるな!」


いい笑顔で退路、断たれましたーん☆

うそおおおおおおお!!





…女が全員、同じに、みっえるー…!


俺庶民なの!

料理以外はさっぱりわからんの!

むしろこの世界の住人じゃないから知識レベルが庶民以下なんだよやっほー!!!


プライドの高いお嬢様方は積極的じゃなかったのが幸いしてすぐ終わったのだが、その後がまずかった…。

リサーチ済みなのか、料理も続けられると説得してくる中小貴族のお嬢様に始まり…。

ゲテモノも一部混ざりつつ…(どのようにゲテモノだったのかは相手のプライバシーを尊重します)

段々、だんだん長くなる会話…。


…もう無理…。

もういやー…!!!


「セーナも強情だな…」


休憩させて下さいと泣きごとを言う俺に、騎士団長が溜息。


「適当なところで一人選んでしけこめば苦行化することもなかろうに」

「……はっ!?」


…しけこめばってあんた何気に酷いんだけど!

その手があったのか…!

だったら最初の大人しそうなお嬢様の手を取って…ああああ、でも、手を出さなくても手を出した事にされそうだから無理! 怖い! この世界の常識を知らん俺にはハードル高すぎる!


ぽーん。

『内容:ちっ、気づきやがったか…』


何なの神様!?

不穏すぎる!!! 不穏にも程があるよ!

お見合い強制にするならこの世界の一般知識くれよマジでえええ!


もういい。

もういいよ俺は一人身を…一人身を貫く…!


「…次で最後だな」

「ふぇい…」


息も絶え絶えになりつつ、最後の女性はすらっとしたスタイルの女性。なかなかの美人。

…ン?

どこかで見たことあるような?


「…あ、そうそうセーナ」

「ふぁい?」

「入り切れなかったのもいるから、コイツ相手にしないと次の会場だからなー」

「…………………はぃ?」


まだ…デスロード続く…んです、か…?

というかお嬢様コイツ呼ばわりって…。

まさか…。


「…時々食堂でお会いしていますね、セーナさん」


にこ、と笑う顔に見覚え。

ああ…あー!

わかった。騎士団長の娘さんの女性騎士!

結構料理の食いっぷりが良くて、気立て良さそうで割とチェックしてた…って…。


「…団長…はめる気…満々じゃないっすか…」

「何の事だ?」


にやり、と笑う顔に殺意を覚える。

有象無象が集まる会場にコレ以上とどまるのは無理。

そして目の前には話の通じそうな女性騎士…。


…あううう…。


「…とりあえず別室でお話ししましょうかー…」

「はぃ♪」


彼女が悪いわけじゃ…悪いわけじゃないのに…!

なんだろうこの理不尽…!!!


歩き始めようとして、視界が揺れる。

あ…あれ…?


「セーナさん?」


狭まる視界。

倒れるからだ。


「お、おい!?」


俺に最後に残ったのは。

ふに、っとした柔らかい感触だけだった。



『内容:…やるね! 顔面で行くなんて破廉恥!』


視界の隅でクエスト画面にハートマークだけが散っているのだけ、見えた。





……悪夢だ…。


「嫁入り前の娘の胸に顔をうずめるなんて剛毅だなあセーナ」

「不可抗力っす…」


そりゃあ10時間以上心労続くパーティで立ちっぱなしじゃ気を失いもする、よねー…

惜しむらくはあまり感触を覚えていない事だな。

え? 俺も男だから役得だとは思ったよ!


一 瞬 だ け な!!!


「…騎士団長おとうさんって呼んでくれてもいいんだぞ?」

「……不可抗力っすー…」


いい笑顔の騎士団長が、にくい…。

気絶した俺に付き添った彼女がすでに『選ばれた』事になっていた現実を忘れたいー…!


「ええと…私がお嫌いですか…?」

「いえ…」


喜ぶべきか喜ばざるべきか…。

もういい…もっかい寝る…。


ぽぽーん。

クエストクリアしましたー! とハートマークの散る画面を見ながら俺は一人現実逃避する…。


『クエスト:お見合いに行こう【強制】』

『内容:一応クリアしたことにしてあげるけど、一番好感度ひくそうな処選ぶなんてさすがセーナ!』

『報酬:サルディナ(むすめ)さんの連絡先☆』


好感度低いのは…むしろ救いかなー…。

はっははー…。

と言う事で騎士団長の包囲網に囲まれつつあるセーナ

一応次はデートです



顔面ダイブは浪漫です(カエレ)

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