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問題だらけ  作者: 高梨ひかる


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9/25

デートイベント

君がその日にしようって言ったから。

今日はデート日和、聖名明です。


ところでとても素敵な曇天ですね。

今にも雨が降りそうなんですが?


「…す、すみません…久し振りの休みが…今日しか…」

「いえいえ」


恐縮しきりのサルディナさんに、笑顔で首を振る。

さすがに女性相手にキレたりはしませんよ、俺は大人だものー。

というか女性相手はマジ、親切にしなきゃ駄目。

これ、絶対。

風評程怖いものなし!!!


「急な連絡だった上に無理やり休ませてしまって…本当にすみません…」

「いえいえ。サルディナさんのせいじゃないですし」

「でも父ですから………」


まあ、騎士団長がごり押しで休みを変えてきた時は正直どうかと思ったけど☆

仕方ないよね、形だけ婚約者でもデートぐらいはしないと、騎士団長おとうさまの鉄拳が降りそうだしね!

多分避けれるけど。


「ま、とりあえず出かけませんか?」

「そ、そうですね」


ぽぽーん。

はい、いつもの来たね。

神様今日はどんな無茶ふりだよ?


『クエスト:デートに行こう♪【強制】

 内容:リア充爆発すべし☆』


おい報酬割愛かよ。





「どこに行きたいですか? 毎日、外回りはしておりますので言っていただければお連れできますけど」

「えーっと…」


あれ? なんか立場がすげー逆じゃね?

街の中を知りつくしている騎士団長補佐のサルディナさん。

住み始めて数カ月で街中すらこの前回ったばかりの俺。

なにこれデート難易度たけぇ!?


「あ、その、お気になさらなくても店の中には殆ど入っていない…ので…一緒に楽しめるかと…」

「そ、そうなんですね。じゃあ、どこがいいかな…」

「お好きなところでいいですよ?」


そういえば騎士団長の補佐やってる娘さんだものなあ。

騎士団長もアレで忙しいみたいだし、その補佐も当然忙しかろう。

外敵への牽制は俺のスノーで割と行われてはいるようだが、それでも団長の方は毎日見かけたりはしないし…街中は娘さん担当、外はあのおとーさま担当なのかね?


とりあえずは、俺のフィールドワークから攻めてみるのが妥当でしょうか。

ああ、なんか懐かしいなあ。

料理馬鹿になってからデートとか忙しさにかまかけて学生時代以来まったくしてねーもんね…


あっ

なんか悲しくなりそうだから思いだすのやめよう!


「そうっすねぇ…とりあえず、雑貨店とか行ってもいいです?」

「雑貨、ですか?」

「ええ。そもそも俺、ここの国の暮らしで何使ってるかとか、それすら知らないんですよねー。部屋の中殺風景なんで、なんか見つくろおうかと」


これはホント。

ようやく給料に余裕は出てきたものの、そもそも趣味にかける金とかあるはずもなく…。

剣とか、鎧とか実はいらなかったんじゃね? と思ったくらいだ。

いや、逆に防御力ありすぎて奇異の目で見られたりする方が怖いから外見は大事だと思ったんだけどさあああ。


そもそも 敵が弱すぎて 魔物に遭遇しない


とか、想定外すぎただろ!(採取クエスト参照)

格好大事とか言ってる俺がかわいそうすぎただろ!

いや今も一応軽鎧はつけてますよ!?

サルディナさんもね…うん…あれ、デートなのに相手が鎧っていいのかな…。


…なんか見周りしてる騎士団の人たちにしか見えないよね、あっははははは…。


「アキラ様?」

「あ、どこがオススメかな?」

「では、こちらへ」


うーん、美人だし、ドレス姿も素敵だったし、俺には勿体ないくらいだと思うんだけどさ…。

うん…。

なんて言うか普通のデートとか…無理かな…。





そんな事を思っていた事もありました。




「…こ、これはどうでしょう!」

「かわいいですねー」


目の前にはかわいい子花の入れ物を見て、目をキラキラさせているサルディナさんがいました。

…おおう。

騎士鎧姿を見た時はきりっとしたキッチリしたイメージしかなかったというのに、かわいいものを見た途端に目がハートマーク。


お?

これは好感触?

なかなかどうしてデートらしいじゃまいか。


うんうん、と頷く俺は見守るモードに突入。

一つ一つ、返事して…。

返事…。


…あれ、なんか…。

戻ってこなくなったっていうか…。

近づくのもどうかなとか、ちょっと思って遠くから見ていたら、瞬く間にとっかえ引返しだす彼女。

その目線には既に俺は存在していない…。



これはまさか…。





暴 走 し て い ら っ し ゃ る ?




うん、なんか血を感じたね。

騎士団長も熱血化するとなんか周り見えてない感じしたもんね。

ところで俺とのデートって事すっかり忘れかけてる気もするよね、そして俺の部屋に小花の入れ物は無理だと思うんだ。

もうちょっとモノトーンのモノを選んでもらえないでしょっかー!


「あのぉ…」

「ん?」


ポツンとしている俺を見かねたのか、店員が声をかけてきた。

いや、彼女が楽しければデートは成立してると思うんだけどさ。

手持無沙汰には違いないよね、俺の台詞聞いちゃいないし。


「お客様は何をお探しですかー?」

「あー、特に何ってわけじゃないんだけど。これってなんでこんなに値段違うのかな?」

「これですか?」


説明してくれそうな彼女がいないので、店員に小物類の説明を求める俺。

入れ物とかは対して機能は変わらないっぽいのだが、鍵つき小物入れになると勝手が違ったのだ。

見た目で値段が決まっているわけではないらしく、恐ろしくまちまち。

外見同じっぽいのに値段が段違いのモノとかも当然存在する。


「これはですねー、空間魔法のかかった入れ物でー、空間の大きさによって値段が違うのですよー」

「おお、なるほど」


わーい、ファンタジー定番の四次元なんちゃらだな!

異空間ポケット?

まあ何でもいいけど、魔法で色々定着させてるアレっぽい。


あれ、俺って確か魔法使えるんじゃなかったっけ…?

しかし空間魔法は記憶にないな…持ってるんだろうか…。


「…アキラ様…」

「え?」


スキルを見るためにウィンドウを開こうと空中に手を伸ばしたところで、サルディナが声をかけてきた。

振り返ると何故かそこにあるのは、サルディナの怖い顔。


……?


後ろを振り返るが、そこにいるのは親切な店員のみ。

なんでそんな顔されているのかサッパリわからず、振り返って首をこてん、と傾げると次の瞬間叩きつけられたのは小花の入れ物…ってええええええええええええ!!!


「うっわぁ!?」


我ながらあり得ない速度で反応し、壊れないようにキャッチしたところで走りさるサルディナさん。

え、ちょっと、どこ行くの!?

ねぇどこ行くの!?


「む、胸を揉もうとするだなんて…!! あ、アキラ様のふけつうううううぅぅぅぅぅ!!!」

「ええええええええええええ!!!」


ドップラー効果を残し爆走した彼女の姿は瞬く間に見えなくなった。

胸って!?

俺は空中に手を伸ばしただけなんだけど!?!!


呆然とする俺に、店員の声だけがのんびりと響く。


「サルディナちゃんは、相変わらず妄想やさんです~…」


……。


「店員さん、実は面白がってます?」

「はい♪」


俺から声をかけたわけでもなければ!

質問も雑貨に関する事のみ!

そして放置していたのはあっちだというのにこの仕打ちだと…!?


「どんまい!」

「アンタも知ってるなら先に言ってくれよッ!!」

「ええー、面白いから無理です~」


仕方ないのでサルディナさんの情報を聞きつつ探すために街中を走るはめになったのだが…。

そもそも土地勘のない俺がうろつくのは限度があり。

結局その日は彼女と遭遇する事は二度と出来なかった。



ぽぽーん。


『クエストに失敗しました!!

 称号が強制的に【女たらし】になります!』



ってマテコラ!!!!!!

誑す以前の大誤解で称号変更ってどういうことだよ!?!?!?!!


『頑張って誤解といてねー♪ ウィンドウに手を触れる時は気をつけなきゃだねあははははー☆』




この神様、いつか殺る。

そう思いつつ、俺は自分の称号に涙するのだった…。


現在ステータス


akira seina(聖名 明)

種族:人間

性別:男

Lv:10

称号:【女たらし】

status

skill

加護:神様が気まぐれで生温かく見守っています・美食の女神からの微笑み・神鳥の飼い主・王国の守護者

眷属:スノーホワイト』

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