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眷属の帰還


この処ろくでもない事に巻き込まれすぎたので、気分を変えたいと思います聖名明です。

気分を変えるって何をすればいいんだろうか。

思いつかず、首を傾げる。


「……うーん」

「くるぅー?」


スノーが俺と同じように首を傾け、俺を見る。

その横のスノーの眷属がまた首を傾け、俺を見る。

そのまた横のスノーの眷属がまた首を傾け、俺を見る。

そしてそのまた横の……っておい!!


「何匹出しっぱなしなんだよ! 帰らせろ!」

「くるー」


スノーが困ったようにぱたぱたすると、ズラリと並んだ熊もどきーずまで困ったように今度は土下座し始める。

なんだこの反応は。


ぽぽーん。

『クエスト:眷属の帰還

 内容:なんか戻れないらしーから解決してあげたら?』


…………。


「戻せないのか?」

「くる!(こくり)」


自力で呼びだしたら戻せなくなったらしいです。

何その面倒なの!?







「戻せないって精神力尽きたとか?」

「くーるぅー(首振る)」

「え? じゃあ帰還ポイントに何かあったとか?」

「くる!(首縦振り)」


えー…。

っていうか、この熊もどきーずの実家ってどこなの?

そもそもお前、迷子のまま実家わからんままだから解決しに行きようがないじゃん?


「つーか歩いて帰れねーの?」


じっと見つめてくる熊もどきーずに問いかけると、一斉に首を振られた。

なんだこの反応は…。

遠い、のか?


「ってか、最初に会った時熊もどきーず一杯いたじゃん? あいつらとかどうなってんだよ?」

「……」


今度はなぜか眷属ズがだぱーっと涙を流し始めた。

おおおおい!?

頼むからこの部屋水没させないでくれよ!?

一回水もれですげー怒られてるんだから!?


神様が、説明してくれないかなー、と思うがクエスト内容は動かないままだ。

よっぽど説明がめんどくさいんだろうか。


ぽん。

『内容:正解!』


……。

正解、じゃねーよ! 労力を惜しむな!


「はあ…仕方ねーな。あれ、使って見るか」

「くる?」


俺はスキルから『神への祈り』を探し当ててから、神殿に向かう事にした。







……ってか、忘れてたよね聖女来てること俺!?



「セーナ様、是非こちらでお休みを」

「邪魔しないで下さい!!」

「セーナ様、聖女様でしたら今は」

「聞きたくありません!!」


神殿に近寄った途端寄ってくる神官がうっとおしいわ!

てか聖女、神鳥逃げられたから戻ってきてたんだよね…。

面倒だから近寄らないようにしてたのに、神様コレ狙ったんじゃあるまいな?


『そんなことあるわけないじゃないかー(棒)』


……あれ??

クエストじゃなくてなんか声聞こえてるわ。


スキル欄を確認すると、神への祈りがパッシブオンになっていた。

どうやら神殿の"中"である必要はなく、神殿の近くであれば問題ないらしい。

考えてみればそうか、神官じゃなければ中じゃなくて外で祈って帰る人とかいるっぽいもんな。


神殿近くでも発生するなら中入らなくても、いいよね!?

よしいい事にしよう。

俺は神官の目をかいくぐり、一旦街の方に戻るふりをして神殿の横へ回り込んだ。


『んーで? なんで眷属戻れないのか教えてもらおうか』

『神殿の中でやってくれればちゃんと邂逅したのにセーナ酷い…』

『だ・れ・と・あ・わ・せ・る・き・だ・っ・た・ん・だ・か・し・ら・ん・が・質問に答えろ』


相変わらず人でおちょくるのが大好きな神様である。

ジト目で天を仰げば、俺の機嫌を損ねたのはわかったのだろう。

神様は仕方ないなー、と前置きしながらも教えてくれた。


『神鳥の故郷は天上近くにあるのだけど』

『は? 空の上とかそんな感じ?』

『似たようなものだね。通常は神鳥の危険で時間か条件制限で召喚されるから時間がたてば戻るのだけど、今回は神鳥が自力でたすけてーって言っちゃったから、通常の召喚契約が発動しちゃったみたいでねえ』


通常の召喚契約?

というと、まさか?


『うん、まさかだよ。条件がないからずっと召喚しっぱなし』

『ちょっとマテコラ。1匹ならまだしも10匹近くいんぞ!?』

『そうなんだよねー、まいったね!』


全然まいってねーよ!

明るく言われても説得力ねーよ、見捨てていいのかあの熊もどきーず!?


『見すてられちゃうとちょっと困るんだよ。一応神の眷属だから魔物とかに食べられるとさー…』

『食べられると?』

『魔物が凶暴化して街なんて簡単に滅んじゃう☆』

『……』



物騒すぎるわー!!!!



『相変わらずパワーバランスがよくわからん…』

『天上の生き物ってそんなものだよー。さすがに僕も困っちゃうので、今回は手助けしてあげるー』

『どうするんだ?』


物騒な話とは裏腹のいい天気な青空を仰ぐと、ひらりと待ってくる紙、紙、紙。

ん?

なんだこれ。


『召喚に条件を付ける奴ー。帰還条件を自力って書いておいたから、これ眷属にくっつけてスキル獲得させてあげてー』


頼まれ事がまともだったので、俺は安心して家に帰る事にした。



…で。



「…出来心…」

「くるー…?」



お札のように熊の頭に張り付けて行ったのはお約束だと思う。

うん。

似合いすぎて腹痛い…!

ちょっと帽子とかかぶってくれねーかなコレ…!!



『クエスト:眷属の帰還をクリアしました!

 報酬:スノーは限定召喚を取得し…って何してんの!? 召喚するたびにキョンシーもどきの眷属が出てきちゃうじゃない!!』



そう言った神様の声まで笑ってた気がするのは聞かなかった事にしてやろう。


熊キョンシーは可愛いと思います。

10匹以上が小さい鳥の後ろに並ぶんやで…!

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