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第31話 珍獣参上

「その子から手を離しなさい!」

「な、なんだこの女!? お前の知り合いか?」


 無言で涙ながらに首を振る女の子。


「可哀想じゃないの! 助けてあげなさいよ!」

「まさか、ただのお節介焼きかよ……珍獣だな」

「誰が珍獣よ!」


 真っ赤な顔で苛立つ私とは対照的に、ふう、と冷静に息を吐き出す男。


「まあ落ち着け。お前、俺たちの仲間にならないか?」

「仲間?」

「そう。この戦いは半分までは生き残れる。だったら、手を組むのが得だろ?」


 確かに。ただ、あの王が「まずは半分まで」と注釈を入れていたのが気にはなるけれど。


「一緒にやろうぜ。こっちはすでに10人もいる」

「10人!?」


 多少盛っているのかもしれないけれど、自信満々の表情に心が動かされる。生き残る作戦としては大いにアリ。そもそも私たちだって、協力者を探していた。でも……


「その子はどうして、そんな傷ついているの?」

「俺たちの誘いを断ったから、こうするしかなかったんだよ」


 悪びれる様子もなく、一方的な暴力を正当化する男。全身の血液が一気に沸き立ち、こめかみが激しく脈打つ。


「あんたみたいな性根の腐ったやつと、仲間になるわけないでしょうが!」

「なっ!? この阿呆が!」


 互いに構え、虚空から武器を現出させる。剣を交え、甲高い音をしばらく響かせていると、男の剣身から爆発的な炎が噴き上がった。


「しかも、お前の獲物は葉っぱかよ! 俺の炎の剣に敵うわけないだろ!」

「くっ、やらかした……」


 相手の手札も探らずに突っ込むなんて、愚かにも程がある。ヤンの忠告通り、魔剣を得たことでどこか万能感に酔っていたのかも。それでも飛び出した選択に、後悔は微塵もなかった。

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