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推薦入試① 心太の担任


 推薦入試の朝、和也は両家族の両親、妹、幼馴染2人から

「がんばれ」

熱烈な声援を受けて送り出された。4人の親達からは車で送迎してあげると各々に申し出があった。流石にバスで行ける距離。丁重に断ったが、沙紀が送っていくと聞かなかった。しかし帰りの時間が何時になるか分からないし、さすがに午前中は沙紀も大学の講義がある。それで今バスに、揺られている。10月の第二週、某日。時刻は7時半。自宅からアカデミーまで、バスで行くためには、自宅すぐそばのバス停留所から駅まで行き、乗り換えて最寄りのバス停から徒歩500m。幸い天候にも恵まれ、時間より数分遅れて運行していた。最悪バスが駄目なら駅から歩いて2.5キロ。始め自転車で行こうかと思っていたけどそれは親達から止められた。

 氷山駅で乗り換え最寄りのバス停で降りて歩いて10分で着いた。8時20分。すでに本日の入試を受験すると思われる制服姿の受験者たちが玄関の前に大勢いた。

「受験生の皆さんはこちらから入っていただきます。受験票を用意して受験科毎に受付をしてください。その後、短大と普通課程で待機場所が分かれます」

受付を済ますと1階の102教室に案内された。指定された座席に座った。受付で配布された本日の日程の用紙を見ると、建築施工科の推薦試験は午前中と午後に分かれていた。受験者の数を数えると21名だった。午前中2班に分かれて7名ずつ14名。午後には7名。和也は午前中の4番目。一人の面接時間は20分とってあり、途中5分のインターバルがとってある。面接試験は9時10分から。8時50分になるとオープンキャンパスで出会った坂崎が面接上の注意点を説明した。

「おはようございます。これから今日の面接試験の説明を行います。まず朝に配付されたプリントを見てください。面接は9時10分から2階の202教室と201教室で行います。面接時間は一人20分間です。5分間インターバルで午前中14人の予定になっています。この部屋は控室になっています。トイレはすぐそこの階段脇に、女子は受付した正面玄関脇もしくは2階にあります。面接試験に行くときは担当職員がご案内します。荷物はここに置いて行っていただいてかまいませんが、貴重品は自己管理です。上で面接が終わったら必ずこの部屋に戻ってきて、試験が終了した旨を、職員に伝えてください。それで帰宅となります。すると次の番の方を上に案内します。予定時間の5分前には、この面接控室に着席していて下さい。この控室の中ではゆっくりしていてもらって大丈夫です。もし飲食するときはこちらで飲んでいただいてOKです。階段脇の学生昇降口脇に自販機ありますので、そちらで飲み物を購入してこちらで飲んでOKです。合格発表は来週〇日の10時からになります。皆さん本人と学校に郵送で合否の通知を送ります。それから正面玄関前に合格者の番号を掲示します。本校ホームページ上でも合格者番号をアップします。電話による合否のお問い合わせにはお答えできないことになっていますのでよろしくお願いします」

オープンキャンパスの時とは違う丁寧な言葉で一気に説明した。ここで一呼吸いれた。

「よろしいですか、それから本日建築科21名の受験となります。多くの応募ありがとうございます。では時間がくるまでお待ちになって下さい」

そう言って坂崎は頭を下げた。オープンキャンパスの黒一色の作業服ではなく、黒色のスーツに青のシャツに赤ネクタイ。

「あの何か質問ありますか?」

「あの~」

会場内から声が上がる

「待っている間、スマホ使ってもいいですか?」

「かまわないですよ。他の方の迷惑にならないなら。ここにいる間はスマホ見ていようが読書していようが自由ですよ。皆さん緊張しています? 大丈夫ですよ。いつもどおり、まあ緊張するのは分かりますけどリラックスして望んで下さいね」

そう言って出ていった。

 オープンキャンパスが終わって今日までの間、心太に坂崎について聞いた事を思い出していた。

「坂崎先生、俺の担任だったんだよ。先生元気だった。俺たち卒業してから北浜市の浜校に転勤していたんだけど、戻ってきたのか」

「科の主任って言ってたけど」

「主任、坂崎先生が。そっかそんな歳になったんだ。面白い人だよ。ちょっと厳しい時もあるけど。あの人、一級建築士もってんだよ。それと建築大工の一級技能士と。設計から大工仕事まで教えてるよ」

「そうなんですか」

「第二種電気工事士とか配管の二級技能士も持っていて、木造住宅なら頭の中に、壁の裏、天井裏の配線や配管の一本まで頭の中に思い浮かべて図面描けるから」

「すごいですね」

「在学中はうるさいなと思ったことたくさんあったけど、働いてみると先生の言ったことはもっともだったよ。今になって何が大事なのか分かるようになったから。そうか、先生が主任。似合わね~」


第14話目の投稿になりました。

お楽しみいただけたのなら幸いです。

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