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オープンキャンパス③ 建築施工科実習場


 その後、建築実習場に移動して場内での案内があった。実習場の奥には、帯鋸盤おびのこばん自動一面鉋盤じどういちめんかんな、手押し(かんな)盤、パネルソー、昇降丸鋸盤しょうこうまるのこ角鑿(かくのみ)盤、超仕上(ちょうしあ)(かんな)盤、様々な木材加工用の機械が置いてあった。説明ではこれらの機械を使って、使いたいサイズに製材して模擬家屋を作っていくとのことだった。2年生の時には、測量の授業や、コンクリートの型枠の授業。鉄筋を組む授業、建物にクロスを貼る授業。諸々様々な実習の授業があるらしい。それと卒業と同時に二級建築士の学科試験が受けられるとのことであった。 また二級施工管理技士については在学中に学科試験を受験できるとのこと(まぁこれは法律が変わって17歳なら誰でも受験出来ることになったそうだ)。2年次の最後には建築大工2級技能検定の実技試験技能五輪の県予選として受験できることも分かった。頑張ればたくさんの資格が取れるんだなーと思った。そういえば親父が建築の世界は資格が大事だと言っていた。何をするのにも資格が必要だから、みんな働きながら勉強をして資格を取るそうだ。説明が終わって、最後に実習場の中央に大きな作業台が三つ並べられていて、そこで鉛筆と差金を使って、木材に簡単な墨付け作業を行い、のこぎりを使って切断する作業を体験した。105㎜角長さ1mの木材が作業台の下に、枕木を敷いて置いてある。鋸で切断するのは思っていた以上に難しい。なかなか真っ直ぐに切れない。建築科の2年生と紹介された案内をしてくれた3人の学生達がこの作業も手伝ってくれたが、初めに坂崎が差し金を使ってお手本を見せてくれ、線を引いて、いとも簡単に鋸で切断すると,木材は真っ直ぐに切れた。

「腕を真っ直ぐに引いて、そう体を切り墨にまっすぐに持ってきて、後は鋸を長く引いて切ることがポイント。切り初めは、浮かせて当たるか当たらないかで、切り込みを入れ始め、次第に鋸刃を当てながら引いていく。大事なのは鋸を強く握らないこと。握ると筋肉の関係で腕が曲がりやすくなるから真っすぐ引きにくくなるよ。ただそれだけ」

簡単に言っていたけどこれが難しい。まっすぐに切れない。他の建築施工科の見学者3名もだいぶ苦戦しているようだった。

「まっすぐ切れてないじゃん」

沙紀がにやにやしながら横で眺めながら言ってくる。

「じゃあ、沙紀姉もやってみたら。これ切り始め難しいんだから」

それでもなんとか線に沿っての鋸引を終了した。

「あれ上手いねどこかでやっている、これ経験者だよね」

と坂崎が言ってきた。

すると周りにいた学生達も

「あ、本当だ上手いですね」

「大工作業初めてじゃないよね。体の使い方と手つきが違うもの」

この人やると思った。一目見ただけでそんなことが分かるのだから。

「知り合いの工務店で、夏休みの間バイトさせていただきました。ほんとさわりの作業だけですがお手伝いさせていただきました」

「アカデミー建築はどこで知ったの?」

「バイト先の先輩がここの建築出身ってことで色々教えてくれました」

「差し支えなかったらなんて先輩?」

あれ、心太さんの苗字ってなんだっけ。聞いたことが無かったいつも心太さんで呼んでたから。

「苗字は分からないんですけど、心太さんって言います30位かな」

「心太か。そうか心太がすすめてくれたんだ、あいつ頑張ってる?」

「はい、とっても色々教えてくれます。作業も早いですし何でも知ってますし」

「君は将来大工になりたいのかい」

「まだ良く分からないですけど、今は大工のバイトをしてみて、大工ってとっても楽しいと思っていますから、これを仕事にしたいなと考えています」

「ご実家は建設業の仕事とかされているの。お父さんか、お母さんは君が大工になること、アカデミーに進むということどういう風に考えてるかな」

ほとんどの見学者が父親か母親もしくはその両方が同伴で着ていた。和也の他、3名親が付き添いできている。

「うちの両親は設計事務所を営んでいます。バイト先はお隣さんなもので」

「心太が就職した先って、確か月島さんだろ、月島さんの隣、あれ君、何て言ったっけ名前?」

「小暮和也です」

「小暮って小暮先生の息子さん?」

「はい父をご存知なのですか」

「お父さんから聞いてないかな。以前震災の直後に、ここで講師をして頂いて教えてもらっていた時があったんだよ」

確か親父がそんなことを言っていた気がする。

「そうか、小暮先生の息子さんか。でもそれなら設計事務所の後、継がなくていいの」

「月島さんの娘さんが、工学部の建築の学生なのですけど、今親父たちのところで手伝ってますので、将来は継ぐのかもしれません。そうでなければ妹がいますし。僕は設計を継ぐ気はありません。と言うかそもそも設計ってどんなものかもまだよく分かりませんし」

「お隣にいるのはお姉さん?」

坂崎が沙紀の方を見た。


第12話目の投稿になりました。

お楽しみいただけたのなら幸いです。

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