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第6話 二人歩き

新章一発目は、ある意味でのデート回(?)です。

ドレムは日常だったら真面目にボケるタイプなんで、エレーナがツッコミをそういう時に入れるという形になるかと思われます。

 喧嘩からの和解から一週間が経過した。


朝食を摂っている二人の会話の中で、ドレムが切り出した。


「今日さー、二人っきりで街、歩かねえ??」


「……なに、急に。……まあでも暇だからいいよ、別に。」


多少疑問に思ったエレーナだったが、あっさりとこれを承諾した。


「決まりだな。じゃ、皿片付けたら着替えて行こうぜ。」


といって、ドレムは食器を片付けてそれを洗い始めた。


エレーナは着替えるために2階へ上がって行って、着替え始めたのだった。



 ドレムも街を歩くのに、流石に裸ベストというわけにもいかず、麻でできた、男物の緑色のローブに黒いズボンを履いて、エレーナが出てくるのを待った。


ドレムもムーユと街を出掛ける時があるので分かるのだが、女性は何かと準備が多い。


エレーナも年頃の女の子なので例外ではない。


ドレムは慣れている、といった感じで1時間は待った。


「ドレム、待った?」


といって、玄関の戸を開けたエレーナ。


「別にこれぐれえ、なんとも……」


ドレムは一瞬言葉が詰まった。


エレーナがあまりにも綺麗だったからだ。


眩しいくらいに。


絹か綿かは定かではないにしろ、オレンジ色のレースのワンピースが眩しかった。


顔も薄めの化粧なのにも関わらず、一切のムラがなく、元々整っている顔立ちが更に映えている。


真っ直ぐに伸びていた髪もわざわざウェーブ状に絡めて、何処をどう見ても他所行きの格好だった。


「どう……かな? 似合ってる……?」


恥じらった表情になる。


ドレムの目には、ウブな感じなのに、何処か艶めいて見えていた。


エレーナなりに頑張ったんだろうな、というのは伝わるし、それ以上にここまで人を美しく感じたことはなかった。


「いや……その……可愛すぎて直視出来ねえよ……似合ってる、似合ってるんだが……」


「ちょ……え!? だ、ダメだった!?」


「ダメじゃねえよ! むしろ想像以上に似合ってるっての!! たださ……普段堅物なお前を見てっから……印象が……な。」


「そ……そう……オシャレ、普段しないから……よかった、そう言ってもらえて。」


「と、とにかく行こうぜ! エレーナ! お前に付き合ってやっから!!」


こうして二人は街へと駆け出して行ったのだった。



 「アルタルキアってすげーな……翡翠(エメラルド)のピアスとか平気で売ってるもんな……」


……というわけで、アクセサリー店に入った二人だったが、ドレムは魔界では高価なアクセサリーを見ては圧倒されていたのだった。


「物価高いからねー、この辺……もうちょっと安くなってくれれば買えるんだけどなー。」


愚痴を吐くエレーナ。


慣れ親しんでいるとはいえ、独り身だったので節制しながらなんとか現状はやりくりしているので何処か妥協しがちだった。


「魔界だったら上流階級しか付けれねえからな……気持ちは分かるぜ?」


「……って言ってるアンタも魔王じゃん……立場……どうせ買ったりしてるんでしょ? こういうの。」


「生憎俺は自分のことには……()()()()()()()んでね。武器の素材集めくらいしかしねえよ。」


と言いながらドレムは黒曜石で出来たピアスを取ってレジへ持って行ったのだった。


「これください。」


と、さりげなく金を支払うドレムに対し、エレーナは慌ててツッコミを入れた。


「って、なにアンタ買ってんの!? 物欲ないんじゃなかったの!?」


数秒前と言っていることがまるで違っていたので、そうならざるを得なかったエレーナだが、これに対してドレムはケロッとした顔をしている。


「ん? ()()()()()()()()()()()()だぞ? 主人のために物を買うのは()()()()じゃね?」


「へ? わ、私に??」


サラッとしたドレムの受け答えにキョトン顔となったエレーナだった。


「確かに俺は物欲はねえ。俺自身には、な。……だけどよ……俺が惚れた奴に何かモノ買って施すのには……()()()()()()()()よ。例えそれが、どんなに高値のモノだろうとな。」


しっかりした理屈があって買っているんだと理解したエレーナだが、ここでドレムにとっては完全に予想外の答えを返した。


「い…いや、ありがたいん、だけどさ? 私のために買ってくれたんだから……だったら私も、アンタのためになんか買ってあげるわ。」


「なんでお前が俺に買うんだよ……要らねえっての、俺は……」


エレーナの生真面目すぎる行動に、ドレムは訝しげな表情をして呆れ返っていた。


「だって、私のこと考えてくれたんでしょ? 当然のことよ。一緒に住んでるのにさ、アンタに何も返せないでどうすんの。……ただでさえさ、普段お世話になってんのに……()()()()()()()()、普段のお返しくらい、させてよね?」


「お前、ほんっっとに真面目だな……ま、俺はエレーナのそういうところに惚れたんだけどよぉ?」


エレーナは、ドレムのためにプラチナ製のネックレスを買ったのだった。


ドレムも渋々ではあるが、これを受け取ったのだった。

 

 

 さてさて、食事も済ませたところで、エレーナが展望台へ行きたいというので、立ち寄ることにしたのだった。

ちなみに二人が使った金額の費用は80万円です。

日本円に換算すると。

クソ真面目な二人だからこそ、通じるものがあったんじゃないかと、書いてて思いました。

次回は天体観測回となってますんで、お楽しみにしていてください。

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