第73部 決戦へ!
レイピア(rapier)は、細身で先端の鋭く尖った刺突用の片手剣。16-17世紀頃のヨーロッパで主に護身あるいは決闘の際の武器として用いられた。1mほどの細見の剣で、フェンシングの前代の形体です。
柄には装飾がなされる事が多い。
1952年9月(昭和27年)モンゴル・イラニ
木之本署長とニキータとデルフィナ。ゴルバチョーフとルカとクライ、ターニャ。桜子。沙霧と澪霧。綾香と彩香。クリナとアナスタシア。カムイコロとマラル。シビルとソフィア。刑事課の課長。機動隊の5人。全部で24人になった。
トラック4台に分乗して、いざ! モンゴル・アウラガ遺跡へ。
「さ! 出発するぞ。機関銃は全部積み込んだか」
「ウルガ爺さんと、二人の学者さんが居ません」
「あ~、あいつらはいいのさ。死にたくないから、コアイ・マラルの陵墓へ行ったよ。車は貸せないから徒歩でね。途中で野垂れ死にしていたら拾うさ」
「わ~、署長さん、ひど~い!」
「本当に24人でいいのだな。誰も忘れていないだろうな」
「もういいで~す。署長、行きませう」
ここから150~220kの距離がある。今日中には到着するだろう。
1952年9月(昭和27年)モンゴル・アウラガ遺跡
今か今かと巫女を待つハバロフスク。やはり短気のようだ。レイピアを持ってはやる気持ちを落ち着かせている。同じく三姉妹のアラン・ドロン・女。名前は、アランとドロンと女。残念ながら三女には名前がなかった。
また今回は、大きな切り札をも用意している。女の人狼が二人。それに人狼兵が6人。もう昔の人狼ではなくて、近代兵器も使いこなせる頭脳を持っている。
ロシアの研究所やイルクーツクからは、かなり離れているので、たくさんの火力は残念ながら持参していない。それでも勝と思う算段だ。小賢しい策略と罠があるだけだ。
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チンギス・カンの陵墓は、発掘がなされないので、いまだに場所の特定が出来てはいない。ヘルレン川沿いの草原地帯にある、チンギス・カンのオルド跡と思われるアウラガ遺跡があるが、これも定かではない。また、ヘンティー山脈の丘陵地にある石積みの壁は絶対にありえない。自分の墓は埋葬した地は、馬1千頭で地ならしをさせるほどの念の入れようだ。オブジェなんかは絶対に置いていない。各地にある墓は、故人をしのぶ為に後世の人が造ったものだ。
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ウランバートルから250kは、チョイバイサル辺りになる。この近くのヘルレン川沿いの草原地帯がそうなのだろう。『東方見聞録』には、チンギスの遺体を運ぶ隊列を見た者は全て殺されたと書いてある。生きていたが、殺されると思い誰にも話しはしないだろう。後世には伝えたようだが。「マルコだけに話すが・・・・」
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1952年9月(昭和27年)モンゴル・ウンドゥルハーン
巫女たちはウンドゥルハーンという街に宿泊する。この街は地平線が見える。大きい道路沿いには、ポツンポツンと家が在る。ガススタンドが1軒あるだけだった。どこまででも乾燥した大地だからか、家の庭には雑草が無い。庭の手入れは楽かな。
空と大地が交わる処。小高い丘と草原には羊が群れている。
ここを拠点にして、ヘルレン川のアウラガ遺跡へ向かう。
ウンドゥルハーンにはホテルは無かったが、煉瓦造りの民宿が1軒在った。しかし、全員は泊まれない。女の子が多数だから大変だ。
「お兄さんたち、ごめんなさい。おいしい料理を精一杯作ります」
機動隊の5人とオジンたちに詫びて回る巫女たち。
「ご主人、一人一泊幾らだい」
「はい、100円でございます」
「高いな~。60円でどうだい。10日は泊まると思うぜ!」
「いいですよ。70円です」?
「あんた! 日本人なの?」
「いいぇ・・・」
屋外のテントでは、
「署長! お客様です。なんでも、巫女と言えば分かるとか? 申していますが、いかがいたしましょう」
「却下だ! お引き取り願え」
「イエッサー」
「署長! お客様です。なんどでも、巫女と言えば分かると申していますが、いかがいたしましょう」
「却下だ! 何度も聞きたく無い。お引き取り願え!」
「イエッサー」
「署長! お客様が、何が難? でも通せ! と言っています。手土産はこの手帳だそうです」
「分かった通してくれ。それと直ぐにクリナとアナスタシアをここに呼んでくれ」
「他の巫女さまは、いかがいたしましょう」
「全員を集めてくれ。そして、テントの外で待機するように頼め!」
付近の警備をしている巫女を呼び戻す。テントの外では署長が待っていた。
「クリナとアナスタシアさんは、テントの中にお願いします。他の巫女さまは屋外待機の命令です」
「クリナとアナスタシアさんはテントに入って直ぐに、中の巫女を結界魔法で拘束願います」
「はい、分かりました」
署長とクリナとアナスタシアがテントに入ると、直ぐにピンクの文様と共に光が広がった。そして直ぐに収束する。
「収まったようだね。中を覗いて・・・・・」
「ワーッ!」「ギャー」「キャー」 「デヘへ!」
同時にテントからは悲鳴と笑いが起こる。巫女らは急いでテントに入った。中ではクリナとアナスタシアもだが、署長と課長、それにニキータと一人の隊員の全員が倒れている。
そのようなテントの中で一人立ち尽くす謎の巫女は、
「なんだい。これで不意を突いたつもりか? バカじゃないの? この俺さまを拘束しようなんて出来ないんだよ」
「おいおい、あ。あぁん? お前! なにしやがる」
カムイコロは怒鳴り散らしてテントに入る。シビルとクライは中の様子を見て恐れ戦いた。
「お前らが悪いんだよ。俺さまは話し合いに来たのにさ、なんだよ、不意打ちを食らわせやがって! ホント、バカだね」
「なにを言いやがる。お前らの常とう手段じゃないか。直ぐにしょっ引いてやる」
「はは、おあいにくさま! 俺の用件は少し伝えたから、もう帰る!」
謎の巫女はテレポートして消えてしまった。桜子は一抹の不安を感じた。
桜子は、
「ほら、なにをしているの。5人の介抱をしなさい。それから、クリナを直ぐに隣のテントに運んで休ませるのよ」
桜子は大きく息を吸って、怒鳴り散らすのだった。
「こら~、起きろ! 蹴とばすぞ~!」
「さくらさん、そんなに怒鳴らなくても・・・」
と、クライが言う。
「大丈夫よ! これくらいがちょうどいいのよ! さ、介抱してあげてね」
5人はなんとか起き上る。クリナはカムイコロが抱きかかえて運んだ。
「クリナが重傷なのよ。綾香と彩香、あなたたちはクリナに添い寝をして頂戴。それから念を送るのよ」
そう言う桜子は、クリナに膝枕をして、優しく髪を撫でている。
「クリナ! 疲れただろう? ゆっくりお休み。私たちがついているからね。安心していいんだよ」
沙霧と澪霧はクリナの腕を掴みながら顔を覗き込む。クリナは安らかな寝顔になった。桜子は膝枕を解き、枕と入れ替わる。
「さ、二人とも、もういいよ。起きておくれ。クリナはじきに意識が戻るよ」
「はい、お母様。クリナは大丈夫ですよね?」
桜子は彩香の問いには答えずに、
「さ、戦争よ! みんな、テントに戻って頂戴!」
ここに居る巫女は全員が署長のテントに集まった。
桜子は署長を怒鳴りつける。
「あんた、あの巫女が言ったように、本当にバカだね。反省しなさい。状況分析がなっていないわ」
「そう言ってくれるな。敵さんを捕虜にして尋問したかったんだよ」
「課長! あんたもあんただ。一回殴ったろうか! ヒグマ!頼んだよ」
「よっしゃ~、任しときな!」
シビルとクライは桜子を制止する。クライが言う。
「なぁ、さくらさん。相手が強かったのよ。こちらの完敗よ。シビルも私も怖くて震えたわ。強敵がいるのよ」
「ええ、分かっているわ。恐ろしい位にね。今から打開策を考えないといけないわ。どうしようか」
「な、桜子さん。本田女史と吉本教授、それにウルガ爺さんが捕虜になっている可能性があるんだよ。ここに手帳が有るんだがね?」
「本当に教授の手帳かい?」
「わぉ! 手帳には、な・な・なんと、掴まっている、助けて! と書いてある」
「そうかい、困ったね!」
桜子は言葉だけが困った、というようだった。気に掛けない。
実際には脅されて手帳に伝文を書かされていただけで、三人は捕虜になっていなかった。
「沙霧と澪霧。あんたらは、夜までマラル・サラマッシを鍛えるんだよ。どんな魔法が使えるかが判らないからね。いいかい、無理してマラルを潰すんじゃないよ。優しく頼むよ」
「はい、お母様。さ、マラルさん、・・・さ!・・行こうか」
三人は出て行く。暫くして丘のむこうから大きな音が聞こえだした。
うるさい音で目を覚ましたクリナがテントに入ってくる。
「クリナ、もう気分は良くなったかい?」
「はい、お母様。おかげ様で良くなりました」
クリナは気づいていたかのように、綾香と彩香にお礼を言った。
「いいえ、なにもしていないわよ」
いったん会合は解かれて急ぎ夕食の準備にかかる。署長は100円札を2枚握って民宿の主人に早めの夕食をお願いした。鍛錬の三人が呼び戻されて、夕食が振る舞われた。精のつく肉料理と香辛料の入ったスープ。ラムの焼肉。とても食べ切れるような分量ではなかった。機動隊の男も満足していた。
巫女を除き、男どもは夜遅くまで会議を続けた。
一方巫女たちは? 桜子が自室に巫女の全員を集めて、
「あんたたちに、大巫女の力を授けるわ。どのような力に成るかは解らない。でもね、あの巫女にはそれでも勝てるかどうかよ」
「はい、お母様。それでもやられっぱなしでは殺されます。力を授かったら鍛錬で力の使い方を見つけます」
「ああ、そうしておくれ。誰も死ぬんじゃないわよ」
「はい!」
「始める前に、クリナとアナスタシア。二人で強力な結界をこの部屋に張ってくれないか。時間が惜しいから一度に全員に力を与えるわ」
「ええ、特別強力な魔法で作ります」
「我らは白き万物の巫女なり」
「我が名はクリなり」「我が名はアナなり」
「今、時の白き門を解放する」
「ボルテ・マジック」「ボルテ・スクエア」
二人が呪文を唱えて結界を張った。そして桜子は特大とも言える呪文を唱える。
「さ、みんなは宝石を右手に強く握りしめて!」
桜子の呪文が始まる。
「コアイ・マラルが汝らに命ずる。ピンイン、ネクズ・キヤン。今ここに巫女として目覚めよ!アクス・ファティーマ」
「今ここに巫女としての力を受けよ! アクス・ファティーマ!」
「我は汝らに力を授ける。ピンイン、ネクズ・キヤン。クライ、デルフィナ、ターニャ、ニキータ、クリナ、アナスタシア、マラル、 カムイコロ、ルカ、沙霧、澪霧、綾香、彩香、シビル、ソフィア。アクス・ファティーマ!」
桜子の長い呪文が唱えられる。今の巫女に力を譲った巫女にも呪文が掛けられたのだ。これはどういう結果になるかは未知数。
みんなはふらふらしながら自室に戻って休んだ。クリナとアナスタシアは全力で結界を張っていたので、気力は無くなり倒れてしまう。そんな二人を桜子は優しく抱き上げて休ませた。
「これでいいわ、明日が楽し・・み~だ・・・・・・」
桜子は勢いよく倒れて昏睡状態になった。目覚めまで3日が経った。翌朝の事は説明の必要はないだろう。
怒った巫女から、宣戦布告が行われる。
「さ、開戦よ! 戦争よ!」
誰かは解らないが、第二の桜子が居た。
巫女ら全員で機動隊の5人をテレポートで運んだ。署長と課長はトラックで武器弾薬をごまんと運ぶ。
1952年9月(昭和27年)モンゴル・アウラガ遺跡
敵の巫女の気配を頼りにテレポートした巫女だが、あえ無く落とし穴に嵌る。巫女は瞬時に飛び出すも、隊員の5人は這い出すにも時間が掛った。女は穴埋めにしようとしたが、カムイコロが女に飛びかかり邪魔をした。
「クマ! どきな。今は魔法の呪文を唱えているんだ。邪魔するな!」
「ば~ろ~。邪魔するのは当たり前だろうが。このう、このこのこの」
「さ、早く。・・今の内よ!」
隊員は全員脱出できた。クライやデルフィナ。沙霧と澪霧が隊員を順次近くの林にテレポートして連れていった。
巫女らは反撃ができない。人狼兵は3台の戦車と歩兵の銃戦隊で統制のとれた連続砲撃をしている。これでは巫女ら、はもう逃げるしかなかった。
どこもかしこも悲鳴だらけだ。魔法を唱えようとする側から銃撃を受ける。受ける。受ける。受ける。とにかく受け続けた。クリナとアナスタシアがかろうじて最初の魔法を放つ。
「我らは白き万物の巫女なり」
ガガガッ、ガガガッ。銃弾が地面に穴をあける。
「キャッ!」
「我が名はクリなり」「我が名はアナなり」
ヒューン、ドカ~ン。砲弾が地面でさく裂する。「ギャ!」 ガガガッ、ガガガッ。次々と銃弾が地面でさく裂した。
「今、時の白き門を解放する」
「ボルテ・マジック」「ボルテ・スクエア」「イテッ!」
ピンクと緑色の特大の文様が浮かび、大きな結界が出来た。砲弾は結界の壁に当り破裂している。中の巫女たちはようやく息が出来た? ような感覚になった。
「さ、反撃よ! 戦争よ!」
巫女たちの呪文詠唱が始まる。
「アクア・バードスプラッシュ!」
「ファイヤー・バードスプラッシュ!」
しかし、相手の巫女も、
「ファイヤー・バードスプラッシュ!」
「アクア・バードスプラッシュ!」
と、相殺の魔法を放つ。全然魔法が相手の陣地には届かない。
四人で纏まり、特大魔法が放たれた。
「ファイヤー・バードスプラッシュ!」「ファイヤー・バードスプラッシュ!」
「アクア・バードスプラッシュ!」「ファイヤー・バードスプラッシュ!」
すると相手の巫女も、
「アクア・バードスプラッシュ!」「アクア・バードスプラッシュ!」
「ファイヤー・バードスプラッシュ!」「アクア・バードスプラッシュ!」
敵の四人の巫女が魔法で切り返した。これも相殺されて消えてしまった。
「魔法が利かないわ! どうしよう。シビル! 何か方法は無いの?」
「有る訳があるもんか。自分で考えてよ~」
シビルもクライも必死で呪文を唱えるも、効果は無くて焦っているのが判る。相手には重火器がある。巫女の得意の接近戦が出来ない。どうしても遠距離の魔法だけになるのだった。
このあたりも、ハバロフスクの知略が冴えている。
魔法が使えないターニャ、ニキータ、ルカ、綾香、彩香は、ただ見ているだけだった。機動隊も銃撃で応戦するも、戦車の砲弾から逃げるので精一杯だ。巫女への援護が出来ない。
カムイコロは魔法自体が使った事は無いので、甲斐も無くおろおろするばかりだった。
「ファイヤー・バードスプラッシュ!」 「ファイヤー・バードスプラッシュ!」
「ファイヤー・バードスプラッシュ!」 「ファイヤー・バードスプラッシュ!」
「ファイヤー・バードスプラッシュ!」
巫女らは最後の呪文を唱えた。しかし・・・・・・。相手には、女の人狼が二人いるのだ。合わせて巫女が5人になり、相殺の呪文の詠唱には遅れはとらない。
ガガガッ、ガガガッ。銃弾が地面でさく裂した。
「全員! てった~い。撤退する。てった~い」
遅れて来た課長が何度も叫ぶ。署長は機動隊の元へ行き銃弾の補充を手伝う。
「全員! てった~い。てった~い」
ヒューン、ドカ~ン。砲弾が地面でさく裂する。ガガガッ、ガガガッ。次々と銃弾が地面でさく裂した。
初戦の開戦は巫女らの敗退で決定した。巫女も機動隊も課長・署長も必死で逃げていた。何が何でも生き抜くのが大事だ。クリナとアナスタシアの張る魔法に助けられてかろうじて逃げる事が出来たのだった。
「・・・・・・・」
トラックの荷台でうつむく巫女たち。魔法が使えなかったターニャ、ニキータ、ルカ、綾香、彩香は唇を噛みしめる。ただ、マラルだけは初陣だったので、最初から頭を抱えて林に潜んでいた。
「とても怖かったわ~、もうイヤよ。魔法を放つことも出来なかった~~~」
とうとう泣いてしまう。桜子が居ないだけでこうも戦況が不利になるとは考えられなかった、のだ。
「・・・・・・・」
トラックの荷台でうつむく巫女。とても可哀想だった。マラルにつられて泣く巫女も出てしまった。
1952年9月(昭和27年)モンゴル・ウンドゥルハーン
命からがら逃げて来た巫女。四人の巫女は寝ている桜子の両脇に寄り添い、泣きながら今日の戦況を報告する。他の四人の新しい娘の巫女は、四人に遠慮して部屋には入らなかった。
ガガガッ、ガガガッ。ヒューン、ドカ~ン。砲弾が地面でさく裂する音が耳元から消えない。少し大きなドアを閉める音がしただけでも、巫女らはびくついた。
署長も課長も慰める言葉も出なかった。出てこないのである。
署長はまた100円札を握り締め、宿屋の主人に夕ご飯を全部お願いした。宿屋の主人は、帰って来た様子を見て早々と準備は始めていたのだった。臨時雇のメイドを三人に色々と命じている。一人のメイドがやって来た。
「さ! みなさん。シャワーのお時間ですよ。お湯が無くなる前にサッパリとなさって下さいな」
しかし、聞く耳を持たない巫女たち。メイドは怒り出す。
「コラーッ!!」「あほかー!!」
バシャー!バシャー!バシャー!もう一つ、バシャー! 全員に冷たい水をバケツでぶちまけた。宿屋の主人が驚いて飛んで来た。
「あんたも水を掛けるのよ。さ、早く!」
廊下には宿屋の全バケツに水が張られ置いて在った。投げられたバケツの水は、瞬時に補充される。他のメイドが廊下を走る、走る。
署長も課長も言葉も出なかった。ただ、ただ、笑って見ている。
「お前ら! 最高!! 最高だ~!」「ワッハッハ~!」
「ヒィ、ツ、ハッ! ヒ~!」
何度も何度も笑って大声を出す。巫女らは、ついにつられて笑い出した。
「きゃっはっは~」「きゃっはっは~」「きゃっはっは~」
「きゃっはっは~」
「さ、シャワータイムです。お嬢様方。気を取り直してください」
三人のメイドは、男の目を気にもせずに巫女の服を剥ぎ取った。
「ギャー!」
大きな悲鳴が起きる。女か男の悲鳴かは判らない。のだった。それでも三人のメイドは、気にせずに巫女の服を剥ぎ取る。
「キャー!」「ギャー!」
女気の戻った巫女。屋外のテントでは男ら全員が宿屋を見上げている。
シャワーを浴びて少しは元気になった四姉妹。母の右手に握りしめた紙きれに初めて気がついた。そこに書かれていた文字とは。
「・・・・・・・・・・:」




