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人狼 Zwei (ツバイ)  作者: 冬忍 金銀花


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第67部 モンゴルの濡れた大地

 UP後、直ぐに読んで頂いております。ありがとうございます・・・・。


 1952年8月(昭和27年)モンゴル・ヘンティー山脈


 翌朝、三浦教授とゴルバチョーフは、地図とこのヘンティー山脈で見つけた3本のポールとの位置関係を討議している。おおよその位置は把握できたようだった。



 クリナは二人に朝食へ来るよう促した。


「三浦教授・ゴルバチョーフさんも、朝食の用意が出来ましたわ!」


 朝から豪勢な焼肉であった。丸々とした肉がこんがりと焼かれている。カムイコロは手際よく切り出し、全員の皿に盛っていく。アナスタシアは超絶技法で塩と胡椒を振りかける。


「そうなのよ。昨日、巫女が野菜や果物を全部食べたからね。他には何も無いの」

「すみませんね、全部食べちゃって! ヒグマがあんな事を言わなければよかったのよ。クマの所為よね」


 大人たちは大笑いになった。


 それは、昨日に鹿などの獲物をホロにより解体されていく様子を見て、巫女は食欲が無くなり野菜や果物を食べてしまったからである。


 モンゴル・ヘンティー山脈は高地だから、8月だというのにとても寒かった。調理のたき火を全員で囲んでいる。みんなは食べ終わると、ほっかりとした表情になっていた。少し離れた所には骨の山が築かれている。


「さ、みんな。出発しようか」


 三浦教授が全員の安寧(あんねい)を打ち破る。


 ゴルバチョーフは安部教授を見て、


「今日からは全員で一か所ずつ攻略しましょう。会話が分かりにくくなります」

「そうですね。3本目が見つかってますから、最後に方向を確認しましょうか」


 4本目・5本目は直ぐに見つかる。だが、行く手を阻むように4本目と5本目のポールは湿地帯に聳え立っている。4本目と5本目のポールは、20m位の距離で近くに立っていた。


 桜子が酷なことを言う。


「カムイコロさん、あんたはこのような土地には強い”と聞き及んでおります。さ、行きなはれ!」

「バーロー! この俺様でもここは通れないよ! 生き神にする気か!」


 カムイコロは強く怒り出す。ヒグマでも無理だと言う。



 綾香と彩香がテレポートして4本目に。デルフィナとソフィアがテレポートして5本目に飛ぶことになった。


「あ、待ってくれ。先にあのポールの根元に大木を置いたらいいよ。飛んで着地したら、埋まるのは困るだろう」

「そうですよね。きれいな服が台無しになりますわ」


 全員がカムイコロを見る。カムイコロは、


「はいはい、仰せのままに! 今大木を投げて見せます」


 この後にトンでもない結果になろうとは、誰も想像出来なかった。


 根〆用の木材が切り出されて用意された。カムイコロは次々に大きな木材をポール目がけて投げつける。5本10本と投げるうちに、5本くらいが何か硬い物に当り跳ね返った。


「何だい、石でも在るかいな!」



「いいよ、カムイコロ、頑張って! トーテムポールには無事に立てそうだよ」


 双子らはカムイコロを煽てた。これが一番悪かった。調子にのったヒグマは、とうとうポールに当ててしまい、ポッキリと1本のトーテムポールをへし折ってしまう。誰も苦情は言えなかったが桜子は、


「あんた、責任とれるの?」

「いいや、ゼンゼン! だよ。これは不可抗力だね。全体責任さ!」

 

 ヒグマは双子に声をかけた。


「さ、もう大丈夫かい?」

「そうですね。あと2本を右に投げて貰えればいいです!」

「OK! 今投げるよ。・・・・これでいいかい」


「はい、ありがとうございます」


 綾香と彩香がお礼を言う。


 同じように5本目のポールの周りにも、足場の木材が投げられて積まれた。


 綾香と彩香が4本目に、デルフィナとソフィアが5本目にテレポートして跳んだ。クリナとアナスタシアは、4人とのテレパシーの仲介を行う。こうして、6人の巫女と教授らの会話が成り立つ。


 安部教授は双子の巫女とテレポートして、4本目のポールの図柄を写し取った。


 あーでもない、こーでもない、とても交差する地点が判らなかった。三浦教授は4人の巫女を呼び戻した。


「疲れたでしょう。少し早いですがクリナとアナスタシアが昼食を用意しています。お昼にしましょう」


 全員は当然に賛成する。



 クライは母のルカに何気ない一言を言った。


「あのポールは機嫌が悪いんだわ! 横向いてプイ! をしているのよ」

「なにバカな事を言うのよ。おかしな子だね~ぇ」


 クリナは、・・・・・?


 この会話を安部教授は聞いていたが別段何も思わなかった。こうして今日も先には進まず終了した。昨日のベースに戻り夕食を食べ、酒が飲まれた。


  クリナは三浦教授とゴルバチョーフの広げている地図が変に見えた。だから、


「ゴルバチョーフさん、もう一度地面に書いてくださいな。教授の地図と同じとは限りません。縦横が違う? とかしていませんか」


 そう言われてゴルバチョーフは足元に図を書いてみた。三浦教授は再度地面の図と見比べる。縦・横? と、どうにでもよいような感じに見えた。


 安部教授が眺めていたが、口を挟んだ。


「確かにどのように見ても、同じように見えますな」

「そうですね。クリナさんはこの地図と地面の図とどう違うように見えるのでしょうか」


「はい、このように違います。と、」

「ほら、こうして見ると、この5本目が最初のポールに見えますわ!」


 クリナは地図を裏返して見た。そこには紛れもない事実が隠されていた。なんと、5本目のポールが1本目、いわゆる出発点だったのだ。


 各ポールの顔の方向は書き留めてあった。これらのメモ書きを広げて見ると、たちどころに交差する地点が見えてきた。


「あ、!!!。ここだ。あの山脈の中腹にある聳え立つ山がそうなんだ!」

「もう、教授。冗談はよしてください。暗くて見えませんわよ」


 桜子は三浦教授の言葉を信じなかった。カムイコロは、


「いいや、桜子さん。アソコには聳える山がありますよ。私には見えますもの」


 カムイコロはヒグマの視力で確かに見えるという。そして、


「この山にはここの湿地帯を通らなければなりませんよ。でしょう? 三浦教授」

「そうですね、そのとおりです。また、巫女さんにテレポートして頂きますか」


 明日になって行く道は見つけるという事で、今日の打ち合わせは終わった。



 翌朝になり、大きな弁当が作られた。持ち運びはとても出来ない程の分量がとにかくルカとニキータの進言で作られた。総員で制作に携わるも、多くの時間が費やされた。お日様も少し高く昇った頃に一同は出発した。最後の湿地帯のポールに向かう。ここから聳え立つ山に向かうのだ。


「ねぇ教授。三浦教授!」


 聞こえない三浦教授に向かって怒鳴るゴルバチョーフだった。


「あ、すみません。考え事をいたしておりました。なんでしょうか」

「あの湿地帯に道が在るんだろうか」

「さぁ、どうでしょうか。なにせ、あの老婆は[交わる処へは、歩いてのみ到達できるであろう!]と言ってますから、道は探せばあるでしょう」

「そうでしょうか・・・・」


 全員はポールのある湿地帯に到着した。見渡しても道らしき道は無かった。カムイコロが野生の感で湿地帯を探り出してみる。少し図太い木を2本切り出していた。


「三浦教授。道ならありますよ。私が先頭で行きます、付いて来てください」


 カムイコロは湿地の端に行き、地面を木で小突きだした。


「ここだね、ここからあのポールに続く道があるよ」


 そして全員には細い杖が配られた。


「ありがとう、双子ちゃん。人数分があればいいよ」


 カムイコロは綾香と彩香に杖を作らせていた。出来上がった杖を配る。


「いいですか、昨日木材を投げた時に数本が弾かれたのよ。だから、この部分に石で道が作られていると考えたの!」

「カムイコロさん、すご~い!」


 全員は感嘆してカムイコロを褒め称えた。これは大きな意味に繋がった。


 桜子はカムイコロに先導を改めてお願いした。


「カムちゃん、お願いね?」


 カムイコロはおかしくて吹きだした。笑いながらも見えない道の先導を始めた。


 カムイコロは湿地を棒で突きながら進んだ。他の者はよろけながらもカムイコロの後に続く。湿地を無事に通ることが出来て全員は安堵する。カムイコロが言うように湿地帯には石畳の細い道が隠されていた。


 安部教授は途中のポールの絵図を描いていた。描き終ると急いで合流する。


「誰かポールを折るから半分も写せなかったよ!」



 安部教授はこの山へ登る道筋を見つけていた。老婆が言うように徒歩で進まないと見えてこない道筋だった。ただし、この道筋には、文様が刻まれた石があるのだが、誰も気づかなかった。この文様は陵墓の秘密が隠されている・・・。


「ここでしばらく休憩にしよう。綾香さんには申し訳ないが、全員の靴を乾かしてはくれないだろうか」

「こんがりとなってもしりませんわよ。それでよろしければ火あぶりにします」


 綾香は姉の沙霧から、炎の魔法を教わっていた。姉ほどではないが使える。


 綾香は並べられた靴に炎を浴びせた。1足だけが燃え出した。


「わ! 綾香さん、もうよしてくれ。燃えてしまうよ」


 安部教授は慌てふためいた。そして水を掛ける。意味の無い行いだ。


「俺は水虫だからな。十分に乾燥させないと困るんだよ・・・・・・」


 そう言いながら安部教授は山に向かう登山道を説明する。


「かくかくしかじか。どうだい分かったかい!」


 一同は大きく頷いた。それも、桜子の言葉にだった。


「安部教授! 先頭で案内してくださいな!」



 急峻な山の崖を登りだす。三浦教授は長いロープを何処からともなく取り出した。そして巫女に声をかけるが、誰も返事はしない。返事をした者が実行する事が明白だったからだ。テレポートに失敗したら転げ落ちるのが嫌なのだ。


「もういいよ。どきな! 俺さまがよじ登るよ」


 カムイコロがロープを首に結んで、ヒグマに戻り登り始める。


「これでいいかい!」

「ああ、すまないね。上には広場が在るはずさ。そこまで頼んだよ」

「お~い、無事に着いたよ! 上がってきな」


 巫女らは一斉にテレポートして行く。腹を立てたカムイコロは、上で巫女らを山の下に薙ぎ払った。


「きゃー、なにすんの。いやだ! もう勘弁して。ヒグマさん、可愛い!」

「おうそうかい。全員、ロープで登ってこいや。テレポートしたらぶっ飛ばす」


 こうして全員が中腹に登りつめた。ここには祠らしきものがあった。石で出来た石版には、こう標してあった。カムイコロが読んでみると、


「汝らの後ろを見よ!」と、書いてあるようだった。


「なぁ、みんな。後ろを見ろとさ!」


 一同は後ろを見た。雄大な景色が、遠い山々の頂きが目に入ってきた。


「わぁ~、いい眺めです」

「気持ちが晴れやかになりました」

「元気が出ます」


 これ以上は何も分からなかった。二人の教授も頭をひねるが分からない。


「汝らの後ろを見よ!」????。


 地元のゴルバチョーフ一家も理解出来ない。本当に何も無かった。全員は遠い山々を見ている。


 昼をだいぶん過ぎたから、クリナとアナスタシアは昼食にしましょうと声をかけた。全員は勢いよく後ろに振り向く。そして驚いた。


「なんだい、いつ洞窟が出来たんだい!」

「わー、凄いわ!これは魔法かしら」


 等々、めいめいは好き勝手なことを言っている。祠の後ろにはいつの間にか洞窟が在った。


「ちょっと見てくるさ!」


 カムイコロは一人で入って行った。そして直ぐに戻ってきた。


「行き止まりだったよ」


 全員はがっかりして、本当にしょんぼりと昼食を食べ始めた。しばらくして全員はまた驚く事になった。


 しばらくして、カムイコロは祠をブッ叩いた。


「このやろう! 熊をバカにしやがって!」


 その瞬間に地響きが起こった。地響きで全員は驚いたのである。祠の後方が崩れだして、大きな洞窟が出来たのだ。


「これは素晴らしい! とても綺麗だ。どれも工芸品の逸品だよ!」


 通路には金箔で拵(こしら)えた人物像が金の鏡を持って佇んでいる。


「素晴らしい眺めだけれども、先に昼食と休息をとろうではないか。探検はその後で十分だよ」


 ゴルバチョーフさんが言い放った。が、三浦教授だけは両手に肉を持って洞窟に行った。そして奥は深くて見えないと分かると、みんなの元へ戻った。


 全員は十分な休息をとった。目は爛々と輝きを増している。太陽はもう少しで沈もうとしていた。



「さ、入ろうか!」


 幾筋もの光が後光となって、洞窟の奥深くまで照らしてくれた。


 次章は、「桜子倒れる!! 緊急招集そしてターニャの救出へ!」 です。ターニャが

囚われている処は未だに未定! 救出作戦もいい案もなにもありません。

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