第25部 東京 乱戦
1947年10月(昭和22年) 東京都・神田
隅田川の河川敷で練習に励んだ翌日。二日酔で頭が痛い事だろう。北海道の実家で騒ぎになっているとは思わない四人であるが、今日には母の桜子が一団を引き連れて東京に来るのだ。ひと波乱では済まされない。
「お母さん、ちょっと飲み過ぎじゃないの? もう起きれないとは情けない」
「しょうがないだろう、私の力はお前に譲っているのだから」
「そうね、どうもありがとう」
「双子はちゃんと帰っているよね。何かあったら怖い親が飛んでくるからね」
「うん大丈夫。着いてるよ。学校で確認もしておくから、いってきま~す」
「いってらっしゃい」
「オハー……ソフィア。筋肉痛になってないかしら?」
「うんオハヨウ。若いもん何ともないわよ。今日の午後は退屈な児童心理学なんだから眠りそう。あなた達は家庭科の実習かしら?」
「そうね課題もちゃんとして来たし、・・」
沙霧が言い終わらないうちから澪が騒ぎ出した。
「あ、お姉ちゃん課題の服を忘れた! どないしょう」
「あんたはまた忘れたん? これで何度目よ後で付き合ってあげるね」
「優しいお姉さまです事、私も姉妹のどちらがを欲しいわ。母は私を産んであまりの苦痛に嫌がってるのよね、ご存じでしょう?」
「あからさまにイヤ! という顔なさってました」
「産みの苦しみは大変ですよね、経験ありませんが」
始業のチャイムが鳴り出して三人とも急ぎ足で教室に行く。一時限目は教養の時間だ。女たるもの男に尽くすべしとか、んな事はあり得ない。2時限目は体育の時間だから体操服に着替えて走って回る。意味ないよね。
お昼になり二人は今朝に飛んだ、澪の忘れ物を取りに帰ったのだ。その時、
「電報で~す、受け取りの名前下さい」
「は~い」
顔面蒼白になった二人だ、この電報の文面は後々まで残されている。そう、妹たちに教える必要があるからだ。
「妹たちもやるわね~姉の私たち以上かもしれない」
「ほんとね……やる~」
「ほんじゃ学校行こ!」
「ちょっと待って、私たちも新幹線に乗りに行かない? みんなはびっくりするよね。ソフィアを誘って行くとか!」
「ダーメ!」
「ちょっと待ってお姉さま。電報は2通ありますの? 意味が通りませんもの」
「ハハ……ばれたか。妹たちからの電報は母をなだめるから安心して! と書いてあるのよ。これでいいかしら?」
「はい、これで読書のみなさまにも理解出来ます」
「ダーメ!」
「ちょっと待ってお姉さま。電報はなぜ2回目の朝に届いたのです? 意味が通りませんもの、おかしくはありませんか?」
「そうよね最初の朝には電報が届いていないわ」
「お姉さま、優の成績のお姉さま考えて下さいまし、なぜですの?」
綾香と彩香が力を持って初めて魔法を使ったのだ、時間を遡るのに間違いも起きようというものだ。今晩に飛んで来るのである。
学校が終わり二人は皇居の北側を帰宅していた。まだ明るいのに通せん坊をする人が数人いて、きっと他は隠れていよう……一人の男が布に包んだ少し大きめの長い物を持っている。
「ねぇこのまま飛んで帰ろうよ、無理に戦う必要は無いわ」
「そうしましょうか」
二人は回れ右! で後ろを振り向いた。
「あらあらどうしましょう、このまま逃げますか? お姉さま」
「無理ですよね、あの目隠しされた女性は助けないと食べられちゃうし……」
「そうよね、でも逃げちゃおうよ、離れて監視するとかさ」
二人は飛んで逃げる方を選んだ。が、直ぐに戻ってしまう。
「こらぁ~その譲ちゃんを離さんかい。何してんだい、おめえらはよ」
正義感が漂う酔っ払いは絡みだしたが酔っ払いは一発で伸されてしまう。
「どないしようか?」
「そうよね~あん? あれはソフィアじゃないかしら? あの服は見覚えがあるわ」
「どうして捕まってるのかしらね。ちょっと訊いてくるね」
澪は瞬間移動で女性の眼の前に飛んだ。
「あんたはソフィアなの? なんばしょうるとね、はよ逃げるばい!」
「うんうううぅ・・、ううううぅぅうぅうぅ!」
「喋れないのかな少し待ってて、姉さんに報告して来る」
目の前に巫女が現れたので人狼兵は驚いてしまった。一瞬動作が遅れた。
「おまえから来るとは上等だ、捕まえて食ってやる。おめえら~かかれ~!」
「うん、また直ぐに来るね、待ってて」
そう言って澪は人狼兵の前から消えてしまう。
「やっぱりソフィアだったよ。どうして跳んで逃げないのかしら不思議ね」
「そうよね、手足を掴まれているせいじゃないのかも」
「目隠しかな、見えないからどこにも飛べないとか。このさい池の上に飛べばいいのにね、後が悲惨だけれども」
「そうね車の前とか、後が悲惨だけれども?」
「家に帰り着替えてきましょうね、お姉さま」
二人は家に戻り着替えて来た。瞬間移動に時間移動、この場から帰っても何ら問題も無い筈だがな、二人は戦いを始めた。
「私がソフィアの横の男を倒します、お姉さまは左の五人をお願いね」
「OK~妹、行くよ~」
戦闘が開始された。
「ギャッ! ギョェ~! おめえ~ら~このう」
「それ! はぁ~っ! たぁー! そんで終わりっと」
「あんたたちは何で早く助けに来ないのよ」
「なに寝ぼけてるんだい、ソフィアが捕まって5秒後に来たでしょう?」
「どうしてお捕まりになられたのでしょうか? ソフィアさま?」
「落ちているお財布を見て拾おうとして下を向いた瞬間に茂みから飛び出されて驚いて、つい、その、捕まっちゃった、てへ!」
「へ~そうなんですか、お財布はこれかしら」
「あ、そうだ。これだ!」
「空っぽでしたわよ。時間を遡って先に拾っておりました」
「雀の罠ですね」
「そうね雀のわな! ですわ」
「う~~~~~~悲しい、そこまで貶さなくてもいいじゃありませんか」
「そうねごめんなさい。お礼がまだですけれども」
「もう次が見えてましてよお姉さま。お礼がまだですけれども」
「団体さまね沢山だわ。お礼がまだですけれども」
「ソフィアはどうして逃げれなかったの? お礼がまだですけれども」
「はいはい助けて頂きありがとうございました」
「感謝が足りないわ、ぜんざいをご馳走してね」
「どうする? あの数は面倒そうだね。ソフィアがまた捕まるなら戦うけれど?」
「もう私は捕まりません、たとえ舌を抜かれてもです」
三人は退散するに決めた。それぞれの家に跳んだ。
「あれれ? ソフィア! ここは貴方の家ではありませんのよ。どうしました?」
「服貸して……だから服を貸してちょうだい」
「ソフィアの服はどうしましたの?」
「母が着て行ってしまいました。全部を試着したいからとデパートに行ってますの、帰ったら書置きがありました……あのババァめ」
「まぁ~ませたとても若いお母さまです事、羨ましいですホホホ・・・」
「私たちは胸が小さいからソフィアには着られませんわ」
「えへん! 君たち二人は残念な程にチッパイだからな。でも一着だけあるでしょう? つくりオッパイ用のメイド服がある筈よ」
「そうだ! あるわね。あれはいっぱい詰め込まないと着れないし、詰め込んだらずれて気持ちが悪くなるしで着らないわ」
「それね、いっその事私に下さらないかしら。ぜんざいにおしるこを付けるわ」
「それ着てまた行くの? 戦いに」
「リベンジよ、このソフィアさまを捕まえてオッパイを揉んだお返しをしたいの」
「ほほぅ揉まれましたか、このプヨプヨをね~」
「ええ気持ちよかったわ、じゃないの仕返ししなと気が晴れませんわ」
「じゃあ、また行きますか、ぜんざいの為に」
「おしるこの為に、エイエイオー!」
三人は戦装束で戦いに臨んだ。先にソフィアが挑み背後から二人が串刺しにする。
「お待たせしましたわ。さぁ……かかってらっしゃいませ」
「おうおうおう! いい胸してるじゃないかい。また揉まれたいのか、あ、あん?」
「度が抜けてますよ、度胸でしょう?」
「キャーーーーっ! キョエーッ! ばきん、ガチャン。ザブン! あ、落ちた」
「投げておいて落ちたはないでしょう。弓で援護するから澪は突っ込むよ!」
「OK~お姉ちゃん」
「久しぶりに聞いた」
「OK~ソフィ!」
「まぁソフィ? 省略しないでよ。もう~」
「たー、バキン! がちゃん! 勘弁して~」
「この前からは人狼兵が喋ってるね、どうしてかしら」
「ギャン、キャィーーーン! パーン。どて!」
「もう多すぎ、ぶった切っていいのよね」
「だめよ突き刺すのよ、ぶった切ったら死んじゃいます」
澪と合流する。
「そうなんだ、それっ」
「澪~向こうに逃げるのを仕留めて」
「OK~姉ちゃん。姉ちゃんはソフィの手伝いに飛んで」
がちゃん、ばったん、ばっちん、となぎ倒して回った。
「後少しよまた向こうから沢山来るわ、女も大勢いるよ?」
「ギャー! お母さんだ。どうしようお姉ちゃん。妹たちも来てるよ」
「わ~お父さんもだ、あの子はだれよ巫女なの?」
以後は時間が違うが杉田一家の七人の再会につづく。




