第17部 剣の鍛錬! 部活は、弓道・薙刀・剣道・体操部?
1947年9月(昭和22年9月) 東京都・神田
*)見取り稽古
東京高等師範学校の新学期になった。三人は昨晩の不甲斐なさに剣の鍛錬に励むことにした。剣の修練だけでは強くはなれない、同時に身体の筋肉を強くしなければならない。宝石を弓・槍・薙刀・両手剣にも変える事が出来る。
したがって部活は弓道・薙刀・剣道・新体操に決めた。いよいよ鍛錬の開始だが部員は三名、場所は芝生の上。時々公園でミーシャの四人で行う。三者三様の自己流だから強くなれる筈も無い。本当に残念な娘らだ。
練習風景は弓対剣。一人が弓を射る、対して剣は矢を打ち落とす。間違えば命を落とす。新体操はバトンの替わりに薙刀を使う。落とせば足の指を落とす羽目になる。剣を振り回して落とせば命も落ちる。何とも乱暴な稽古だろうか。竹刀とかは使わない。剣VS剣は腕を落としそうで怖い。
1947年9月(昭和22年10月) 東京都・上野
ボリショイ・モスクワ国立サーカスの日本公演が九月十五日から上野動物園で二十日間に亘り開催される。ミーシャは三人をバイト兼、雑務係りの名目で入団させた。授業はどうする? 心配はいりません。
時間跳躍で過去に飛べば済む事です。一日に十六時間を授業に当てれば済むというなんとも簡単で残酷な日々を過ごすだけですから、同情はご無用!
公演開催地は福岡・松江・福井・富山・新潟・秋田・札幌と東京。いつもの日本海側の地方都市だけだ。日本攻略地の見聞を見ているのだ。太平洋に面する都市には行かないのがロシアたる由縁だ。
翌日、署長とニキータはサーカス一座を訪ねた。象を見せて貰うも象には職質が出来ない。女性に職質するも「知らぬ」の一言。例の三人組はピエロに変装で難を逃れる。見つかってもバイトがホロお婆ちゃんにばれると困るがそれまでの事である。
沙霧と澪霧、ソフィアはサーカスの団員のみなさんから親切丁寧に指導を受け、目出度く白免を頂いた。
ナイフの的は何回もチビッてしまった。一輪車にも上手に乗れるし双子ピエロの演技は喝采ものだった。他には火の輪潜りも出来る。公演が済めば観客席の清掃! いいお小遣いが出来た。特に綱渡りは最高だった。落ちるのが上手と褒められた。
残念な事に剣の修練には役にたっていない。つくづく残念な娘たちだ。ミーシャは何でサーカスに入れたかが謎だった。
「んな事は分ってますぜ、精神の鍛練でさぁ」
三人の言葉使いや行儀作法がはるかに良くなっていた。
作者に至っては三行先に何と書くのかが未だに判らないのだ、非常に残念な人だ。ボリショイ・モスクワ国立サーカスの団員から剣の修行を受けて上達したと書けば済むのに書かない、かなり捻くれているのだろう。
最終公演日。団員の若い女性が三人に向かい集まれの合図を送った。三人は集まる。
「今までお疲れ様でした。私からあなた達にお礼を贈ります。受け取って下さいまし」
「お礼? ですか」
「はい、いつぞやのお礼です」
「何時ぞ夜?」
団員の若い女性が三人の手を取る。一つ手が足りない。澪には、おでことおでこ、で対応した。
「いいですか、驚かないで下さい。私は今からあなた達に「念」を送ります。心を静めて感じてください、では行きますよ」
女性は色々な武術の心得、武術の練習・修得。武術の組手の方法。まさしく頭脳に武術全般をプログラムをインストールするが如く知識と体得を贈った。
三人は時々瞼をピクピクさせているが、落ち着いて受けている。顔は恐い形相をしていた。陰で見ているミーシャは笑い転げるほど笑っていた。
「はい終わりました。これで武術全般の事は出来ます。試しに剣の練習をして見てください」
「沙霧さん澪霧さん、貴女たちは宝石と身体が交わっていますね。分離させますからお座りください。いいですか?」
二人の手の中に赤のロザリオと青のロザリオが具現化して現れた。
「これでお二人はすっきりするでしょう、ロザリオに念じてください。武器に変身します」
「あ、ホントだ。ロザリオがソードになった」
沙霧と澪霧はソードを出していつもの様に我流で稽古を始める。
「何これ、凄い。相手の動きが見える。勝手に身体が反応して動く」
「ソフィア! 凄いよ。ソフィアもお出で!」
「姉ちゃんが言うなら行っくよ、トリャ!」
「ノロいよソフィア、もっと速く出来ないの」
「アン! そこ、ダメ!」
「ドゥ! コテ!」
「トワ! ち!」
三人は練習を始めた。飛んだり跳ねたり宙返りにバク転も出来る。もう夢中で稽古にのめり込んでいる。高くジャンプして上段の構えで切りかかる。受け身も軽く受け流す。優劣は点けられない。
武器も念じた一瞬で剣から槍に、薙刀に両手剣に出来てしまう。ミーシャは目を丸くして見ていた。若い女性は姿を消していた。
女性は最後に一言。澪霧は聞こえないのだが。
「澪ちゃん頭のおでこは無くしておいたわ、代わりを大きくしたからね」
三人は汗だくで練習を終えた。ミーシャは手を叩きながら物陰から出て来た。三人は終始ニコニコと笑っている。とても綺麗になった三人だった。二人の視線が澪の胸に注がれた。澪だけは息切れを起こしているからどうしてだろうか。
「あの巫女さんはどなたでしょう? ミーシャさんのお知り合いですか?」
「私は知らないわ」
「名前は、ちょっと団員さんに訊いてくる」
「名前はアナスタシアさんです」
*********免許皆伝!*********となった。良かった、良かった。




