第16部 ボリショイ・モスクワ国立サーカス
1947年9月(昭和22年9月) 東京都・港区
ボリショイ・モスクワ国立サーカスの日本公演が九月十五日から上野動物園で開催される。その前日の十四日に象の移送が行われた。
生活安全課・港区の事務所の連中が隠れて見ている。二十一時からだからもう三時間は見張りを続けていた。すると港の方からか象と三人が現れたのだった。夜に大きなものを輸送していて、新幹線も船にも載れば大きなトレーラーにも載るのだからね。
前方からコスプレの二人が歩いて来ているのが見えている。今日はピエロ服か? 団子鼻がある、いやいや離れてもう一人居るようだ。暗い夜なのに色々な描写があるのがこのラノベの良いところよね、真夜中の森で乱闘とか、考えたらあり得ませんわ。
「何だ? あれは。象に乗ったお姫様か!」
「ですね」「ですよ」「だな」
「おいニキータを呼んでくれ」
「署長どういたしますか、様子を見ますか」
「ニキータが来るまで隠れてような」
「おい、おい、おい、おい!何だあいつ等は。あぁ? ん?」
「ニキータさんよ。遅いじゃないかい?」
「これも神さんの思し召しさ、女将さんじゃね~よ」
「ね~ソフィア、あの三人組は何かな」
「ソフィア! ワカンナイ!」
「姉ちゃんも! ワカンナイ!」
「私たちも隠れていようね」
「うん、そうね」
ピエロ服と猫耳があるコスプレの二人が急に左の路地に入って、続いて人狼の六人は居るようだが二人を追うようにして姿が見えなくなった。それから直ぐに路地裏で戦闘が始まった。
「署長、様子を見ますか」
「ニキータさん! どうする?」
「キャーなに! このバケモノは。イヤ、来ないで」
「そこに居て下さい、直ぐに追い払います」
「ガゥルゥゥ、襲わせろ!」
「イヤだよ、帰りな」
ガゥ……。ボテ! ガチャン!
「もうお仕舞なのかな? 見世物にもならないわ」
「姫さま直ぐに行きます」
人狼兵は4人か、象に乗った人が襲われて苦戦しているように見える。
「パオーパオー」
「4人だからヤバイよ、私たちも戦うよ」
「ソフィアはまた後方に飛んで!」
「一人では無理みたい、二人で行くよ」
「OK! グレートファイン、Wショット!」
「どおかしら、砂と海水の味は」
「あらあら、あの三人組はなにかしら? 巫女のようね」
「まあ、ギコチナイ、変な動き! ダメですわ。美しくない。そうね、今度、扱いて、ア・ゲ・ル!」
「ロシアン・ショット!」
「序でにセメントを振り掛けたからね!」
「なに? ソフィア。どこからセメントを持って来たの」
「おかげで一発で済んだでしょう?」
象に乗った人は驚いていて声が出ない。
「………………、」
「ねぇ、お姫様! お怪我は無いですか?」
「はい、ありがとうございました」
「早く二人も助けに行くよ! 二人は跳んで!」
「OK」 「OK!」
二人は直ぐに戻ってきて、あっけらかんとした顔で、
「もう済んでるよ。転がってた」
「お話ししたいけれども、アイツが走って来るからまたね」
「ニキータさんよ、どうする?」
「署長、突撃しましょう。人相の確認も必要ですよ」
「そうだな、古田、行ってこい」
「ガウウウゥゥ!」
「あいつはいつから犬になったんだい?」
そこは「コスプレ三人組……御用だ!」と、言っているのだがな。
「ソフィア、私たちは早く逃げましょう」
「OK,姉ちゃん、今晩は退散ね!」
ニキータは二人の所に走って行った。ピエロ服と猫耳のコスプレ二人は路地に走り込む、ニキータは追いかける。ニキータの後方より象が迫る!
「ちょっと! 待ちな」
象と二人が揃った処で消えてしまった。象が消えてゾッとした。
「でかい象と三人をどうやって消せるの? クロでも出来ないよ」
「署長、いつもの通りにです」
「そうか逃げたか」
「シン、帰ろうか」
「だな」
研究所のトラックが着いて倒れた人間を回収していて、イカレ所長も来ていたが会わずに逃げてきた。
「ほらほら急いで。今日は大漁ね、帰ったら早く目玉をくり抜きたいわ」
「署長~署長はどこかしら、変ね~今いたのに」
生活安全課・港区の事務所で反省会が行われた。酒の瓶がまたも転がる。
「ニキータさんよ興奮するなよ」
「あ、子供が居たのを忘れてた。ねえシン……どうしよう、干乾びてるよ、きっと」
「あんたが産んだんだろう、覚えてねーのか。いい母親だ」
「明日から登場させるからさ。年は? いつ生まれた? あぁ? ん?」
「育児放棄だな。あんたらはそれでこそ刑事だな、親は失格だけど・・・・」
ソフィアと沙霧、澪霧は一旦ミーシャの家に飛んだ。
「お母さん只今!」
「お邪魔です」「します」
「お帰り三人とも、疲れただろう」
「お母さん、今日は象に乗ったお姫様が現れたよ」
「? そうかい。明日からはその像と一緒に働くんだよ」
「なんで?」
「剣の修行に行くんだよ」
「剣の修行ですか?」「ですか」
「ところで三人して私をお風呂に連れてっておくれ」
「もう閉店してるよ」
「だから三人でだよ。あんた達もまだ済ませてないだろう?」
四人でスーパー銭湯に行くのでした。
「お母さん、お金が古くて足りないよ」
「あら、困ったね」
「中のトイレに飛べ、 これは命令だ!」
サウナから大きな悲鳴が轟いた。一方番台では、
「この1円札は綺麗だ、十万で売ってくれ!」




