第30章:美絵子ちゃんも通っていたであろう、駄菓子屋のお話(4):チイちゃんち(その1)
・・・前章の「ヨネちゃんち」よりも、
ぼくになじみと思い出があったのは、
「チイちゃんち」でした。
拙作『たからもの』の中盤あたりに登場した、
駄菓子屋の女店主「大森チイさん」のモデルとさせていただいた人物です。
・・・しかしながら、
このチイちゃんもまた、ヨネちゃん同様、
謎のベールに包まれた人で、
正式なフルネームや年齢は、まったく未知のものでしたね。
もっとも、
ご近所のおじさん・おばさんあたりは、当然ながら、ご存じだったとは思いますが・・・。
とくに、
昭和時代の田舎って、そこの家の家族構成やら、家庭の事情やら、
家族が過去に遭った事件だの、夫婦間や親子間の問題まで、詳細に知られているものなんです。
・・・せまい「ムラ社会」だったから、
うわさ話が伝わる速度もまた、
いまの「SNS」顔負けのものがありましたね。
あとでも触れますし、
『たからもの』での作中にも、それとなく書きましたが・・・
その「ムラ社会的情報網」のおかげでぼくは・・・
美絵子ちゃんに関する貴重な情報を、手に入れることができました。
彼女はきっと、
「いい顔」はされていないはずですが、
「そうだったんだ。・・・だから、しげおくん、知ってたんだね。」
と、ご理解くださることでしょう・・・。
m(_ _)m




