3の詩、秋の声
今は初秋に入ったか
夕暮れ時になると、少しずつは涼しい風が吹くようになった
どこからか、そこはかとなく聞こえてくる
リリィ、またはリィンリィンと
コオロギか鈴虫か
違う声も聞こえた
賑やかな蝉の声より、控えめだ
少し、儚げとも言える
しんみりと響く
私の気持ちも揺さぶられた
ちょっと、昔のほろ苦い記憶が思い出される
幼い頃、よく私は家で一人でいた
父は仕事があるからいない
寂しく、かと言って文句は言えなかった
今はあまり、孤独を悪いものとは思わないが
ある物語にこんな言葉があった
人は一人で生まれ、一人で命を終えるのだと
だから、より他者と関わる事を大事にして、接しなさいとも
確か、ある女性の主人公が夢の中で言われるのだが
これを教えた人物は明らかにはされていない
けれど、私はこの言葉にはっとさせられた
本当にそうだなと
私は一人で生まれ、最期も一人だろうが
これは自然な事であり、怖がる事ではないと
ただ、受け入れたらいいのだ
何と言うか、一筋の細くはあるが光が見えたような気がした
この言葉だけが正しいとは思わない
けれど、有りだとは感じた
だったら、一人であっても生きてやろうじゃないか
自らで命を終えるのも馬鹿らしくなった
せめて、家族を看取る事はしたい
そう、せっかく与えられた命だ
燃え尽きるまではこの世にいてやる
不思議と生きる気力が湧いたのだった




