12話 初めて見た魔法的なもの
「さて着いたぞ、一旦降りてくれ、ほれ」
馬を降りて手を差し出すアルト、それに従うライ。
「よし、んじゃ行くぞ」
「どこ?」
「ん? ああ坊やの事を鑑定してもらうんだ、まー問題はないと思うがそのフツマがどの扱いになるかがここで決まるからな、鑑定しないで街に入ると捕獲魔獣扱いで場合によっては殺されるかもしれないし、研究対象として解剖や実験されるかもしれん」
[キュッ!?]
解剖と聞いて恐怖しライの胸にしがみつく。
「!! ふちゅま、わたしゃない!」
「焦るな焦るな、かもだからな、まー鑑定で分かるしなんかあればラウル様が何とかするだろ…たぶん」
(不安な事言った! ぼそっと言った! くぅ仕方がない最悪街に入らなければ良いし、何があってもフツマと一緒なら乗り越えてみせる! …どうしようもない時はフツマを隠して街に入ろう。)
「アルトォ~! はぁはぁまだ鑑定、はぁ、して…ませんはぁ…か!? はぁはぁ」
「お、お嬢様、珍しいですね…、そんなに…慌てるなんて」
「護衛! まだしてないな! ガキの鑑定!」
「ラウル様まで、どんなけ気になってるんですか! まぁ俺も気になりますが」
「まだ、かんちぇい、ちてない」
「ああぁ、良かったです、わたくしも間に合いましたね」
「結局、皆さんで確認するんですね…」
「…あの~、流石に多すぎて、我々衛兵が見れないのはちょっと…」
申し訳なさそうに門番をしている衛兵が言ってくる。
「うむそうだな…ではメアとわたしが確認するのでそれ以外は外で待っていろ」
「いいえ! それではわたくしが見れないではないですか!」
「…ヘレナ、今回は仕方がないのです、諦めなさい」
「無理でございます! お嬢様、わたくしがライちゃんの保護者になるので確認させてくださいまし」
「「「…」」」「はぁ、分かりました今回だけですよ? ライ良いかしら?」
「あ、あい…」
長身の護衛はラウルが待っていろ、と言ったすぐに出ていき、ラウル、アルト、リサはここまで執着するかと驚きのあまり絶句していた。
「では我々は外で待っています、ラウル様間違っても衛兵に無茶な事言わないで下さいね、俺これ以上奥様に叱られる原因要らないですからね!」
「分かっている! わたしもこれ以上は要らん!」
「ヘレナさん、後で教えて下さね」
リサはヘレナに耳打ちした、アルトもそれに気づいたがリサが聞いた後に自分も聞くための口実が出来たと、あえて気づかない振りをした。
「アルト大丈夫です、私が居るのでお兄様には変な事はさせません」
そして護衛達は外へ行き、ラウル、メア、ヘレナ、ライとフツマそして衛兵が残る。
「それではえ~と坊ちゃん?のステータス確認します」
「あい!」「ええお願いするわ」「うむ」「はい!」
「…では」
衛兵がライを持ち上げ鑑定水晶に手を置かせる。
「ふぉぉ!」
光る水晶に興奮するライ、魔法的反応を見るのはこれが初めてだから興奮するのも理解できる、水晶の上に光った文字が浮かび上がる。
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ライ 3歳 ヒューマン レベル12
MP215
SP43
称 無し
罪 無し
スキル
雷属性1、土属性1、無属性1
テクノロジー
剣術12、柔術5、軍師2、美術6、芸術10、速読術20、記憶術23、数学20、疾走6、持久17、料理32、調合25、処世術17、洞察力17、観察力17、直感10
従魔
獺 フツマ
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「……ん? …え? なんでスキルが有るんだ? しかもテクノロジーも歳の割に異常な量なのに修練値も高い、この子一体何なんですか!?」
ライのステータスを見て困惑してしまい、貴族に対して失礼な態度になる衛兵。
「あ~わたしは知らんぞ? 正直予想とは違ってちょっとびっくりしてるが」
「お兄様の予想とは違うは気になりますが、私もびっくりしてます」
「ふふ、わたくしの予想より上でしたが、概ね予想通りでした、やっぱりライちゃんは賢かったです!」
「「…」」「へれにゃしゃん、こわい」
「と、取り敢えず罪は犯してないので入門は許可できます」
衛兵は失礼な言葉に気づかれなかった事に安心した。
「う、うむ、では早速屋敷に帰るぞ!」
「ええ、後の事はお父様とお母様に任せましょう、私ではどう扱えば良いのか分かりません」
「うふふ、これでライちゃんはわたくしと一緒に過ごせるのですね」
(身の危険を感じるが行くしかないのか、なにがなんでもあの変態侍女と過ごすのは避けよう、それよりもステータスに出てるのMPとSPだけってHPは無いのか? てか俺レベル上がってる?もともと? 上がったなら絶対サーベルライガーだっけ?アイツを倒したからだよな…。)




