ヘルドッグフレンズ
「ん、朝?」
シルエッタが目を覚ます。いつもぐちゃぐちゃにしてしまっていたベッドは綺麗なまま、目の前には穏やかな表情の玄斗……クロト!?
「な、なんで!?あ、そうか」
昨日、自分で一緒に寝ようと提案して、OKを貰ったんだった
自分の頭にクロトの手があり、頭を撫でていてそのまま眠った感じだ
「今日は、よく寝れた、クロト、ありがとう」
いつもの虐められる悪夢は優しい声のお陰で見た記憶が無い。
「こんなに、ゆっくり、眠れたの、初めて」
頭に乗せられた手を自分の両手で包み、その手を頬に動かす。
「へへへ……」
クロトの手を自分の頬に当てると自然と口角が緩んでしまう
「んん……ほあぁあ、んぅ?あぁ、おはよぅシルエッタ」
今日は若干寝ぼけているクロト、こんな姿今まで見たことない。
今まではクロトの方が先に起きていたのでかなりレアな物を見れた気分だ
「おはよ、クロト」
「はっ!?俺は何を」
意識がはっきりした事により、今の自分の状態が中々ヤバい状態だと気付いた。一緒のベッドで寝ながら何故かシルエッタの頬に手を当てている。おかしい、俺はシルエッタの頭を撫でていたハズだ。あれ?でも確か俺はヴァイスを待ってたんだよな?あぁ駄目だ頭回らない。
ベッドから跳ね起きる俺、ゆっくり後を付いてくるシルエッタ。とりあえずヴァイスから事情を聞かないと……
「ヴァイス?起きてる?おーい」
ヴァイスの部屋をノックするが返事が無い。
(ヴァイスー?)
(あぁ、クロトか……すまん今はちょっと疲労で動けなくてな)
どうやら結構疲れているみたいだ。
(朝ごはんどうする?部屋に持っていく?)
ひょっとして昨日の夜、シルエッタの為に色々やってくれて疲れているのかもしれない
(いや、我も居間に向かう)
ヴァイスが返事をしたと思うと扉が開き、疲れているヴァイスが出て来た。目の下にはクマも出来ている。
「大丈夫か?昨日はもしかして結構俺達の為に頑張ったのか?」
もしそうなら今日はヴァイス感謝デーにしなければならないが……
「おはよーなの!」
ケルが部屋から出て来た。今一番元気があるのは間違いなくケルだろう
「おはよう、部屋はどう?しっかり眠れた?」
ヴァイスの事は一旦置き、ケルに部屋が問題無いか聞いておく
「とっても良かったの!ベッドもふかふかでぐっすりなの!お部屋気に入ったの!」
ケルは家の部屋を気に入ってくれた様でなにより……そうだ、ヴァイスに話を聞かなくては。ダメだなまだ頭が起きていないみたいだ
「それは良かった。で、ヴァイスは大丈夫か?俺達の為に頑張ったのなら休んでても良いぞ?」
「あ、あぁ、ちょっと燃え尽きてしまってな……」
燃え尽きる……そんなに頑張ってくれたのか
「ご主人様?そういえば「この武器凄いよぉ!」ってなんです?」
「ちょ、ケル!それは内緒だ!」
武器が凄い?そういえばヴァイスは今良い所だからもう少し待っていてくれとか言っていたな?
「ヴァイスゥ?ひょっとして徹夜でゲームしていたなぁ?」
俺達を放置して徹夜でゲームしてたのか!?
「ちょちょちょっと待て、誤解だ、ちゃんとクロト達の所には行ったのだ!」
「言い訳を聞こうじゃないか」
ちゃんと来たらしいならどういう事があったのか知りたいし
「我はシルエッタの悪夢を消す為に魔法を掛けに行こうとしてクロトの部屋に入ったら二人とも気持ちよさそうに寝ていたのだ!だから態々起こすかもしれない行為するのも忍びないと何もせずに部屋から出て自室に戻ったのだ」
事情は分かった。ヴァイスは俺達が何もなく寝ていたから起こさない様に何もせず戻ったと、それは分かった。
「それと徹夜でゲームは関係ないよなぁ?」
「それは……済まなかった。コンプが、コンプリートがしたかったのだ……」
コンプ間際で熱中して時間を忘れたと
「まぁしょうがないか、許してあげよう。昨日は夜だったのに急に声かけた俺にも非があるしな」
きっと収集率98%とか99%の時に声を掛けてしまったんだろう
「とりあえず皆で朝ごはん食べよっか」
「うん」「はいなのー」「うむ」
正直ヴァイスが徹夜でゲームをしても怒る様な事でも無いしな。皆でご飯食べて昼から買い物に行こう。